プロジェクト概要

“ガリ版印刷” 謄写版を「伝える」から「残す」挑戦へ。

 

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こんにちは、版画家の神崎智子です。

 

私は2006年より謄写版を主にした版画制作を始めるとともに、2008年より謄写版専門webサイト10-48.net(トーシャドットネット)を開設・運営しています。

 

運用期間10余年に渡るwebサイトでは、技法の紹介、出会った作家の紹介なども行い、2015年以降は美術館などで講座やワークショップを開催する活動をしています。

 

 

謄写版は別名「ガリ版」と呼ばれており、ヤスリの上の和紙にロウを引いた原紙を置き、その上から鉄筆などでガリガリと描画することで穴を開け製版します。

 

繊細な線の表現ができ、まるで鉛筆で描いたような優しい線を表現することのできる謄写版。日本で独自に成熟したこの簡易印刷の技術は、しかし、今日ではめっきり見かけなくなってしまいました。

 

そんな謄写版の魅力を広げ、ゆくゆくは、誰もが謄写版を手に取れるように。

 

そんな想いから挑戦した前回のクラウドファンディングでは、79名の方から764,000円のご支援をいただき、新しい謄写版を楽しんでいただくきっかけを作ることができました。

 

 

今回のクラウドファンディングでは、前回の「伝えたい」想いから一歩前進、謄写版を「残す」ための挑戦です。

 

近年、謄写版の美術作品としての評価や美術史における位置づけについて議論し始める動きがこの10年で国内・国外問わず深められつつあります。

 

謄写版の美術作品としての価値を、今後も「残していく」。

この秋に、新しい謄写版のスペースを開きます。

 

そのためには、私のこれまでの作品・知識・情報を、冊子にしてアーカイブ化していく必要があります。ですが、そのための資金が足りていません。

 

どうか皆様のお力を、お貸しいただけないでしょうか。

 

 

懐かしい謄写版から、自己表現のための謄写版へ。

 

今回は冊子を製作しまとめることで、これまでの文化としての謄写版の立ち位置と、これからの謄写版のあり方を示すものとなれば、と考えています。

 

冊子では、国内外の謄写版への知見がある方からの寄稿や、これまで集めた情報、コレクションの写真を撮影し、それらを紹介していきます。

 

また、冊子の刊行と同時に展覧会も開催することで、謄写版のこれまでとこれからを振り返るきっかけを作ります。展覧会イベントでは、寄稿いただいています植野比佐見さんによる謄写版の美術についての講演会も開催する予定です。

 

初出の展覧会といえばコレクション展が定番ですが、10-48でも初めの展覧会はコレクションから案内したいと考えました。本展では収蔵品と調査した制作方法を元に紐解きながら制作された作品・実験品を紹介します。

 

展示予定のコレクションを一部ご紹介

 

ネットオークションではお目にかかれない「複式刷り台」。
入手したらすぐに使えるわけではありません。修理するところからはじめます。
19世紀末イギリスのゲステットナー発売の謄写版機「ネオサイクロスタイル」を実験中の様子
(本物ですよ!)
日本の手製版はロウ原紙+鉄ヤスリが主流ですが、海外はどうであったのか。
道具を入手してまず観察します。

 

 

これまで私が感じた「一般的な反応」から推測するに「文化としての謄写版の立ち位置」とは、いうなれば「記憶の中の謄写版」かと思います。

 

あまりにも身近な印刷機であったために、懐かしいという言葉が形容詞として付いてくる謄写版。ですので、謄写版を使った版画作品を制作しても、懐かしさからくる「物珍しい」作品として見られてしまいます。

 

書籍の中でも紹介予定のハンドメイド原紙の制作の様子

 

現在、これから謄写版をこれから始める方は、「懐かしさ」という部分について、年齢や世代的にも共感できなくなってくることと思います。そうした場合、「これからの謄写版のあり方」はより一層「自己表現のための道具」として残していくことが大事です。

 

作家が自分の作品を作るために、新たに謄写版を使ってみる。

そんなことが起こって欲しいと思い描いています。

 

ハンドメイド原紙による謄写版作品

 

 

術作品としての謄写版の価値を確立し、
その価値を「残していく」ために。

 

私が版画に向き合い始めて、かれこれ17年になります。


技術的なことはもちろん、版画の基礎的な考え方、作品の考え方なども母校である京都精華大学版画専攻で学びました。卒業後も制作を続けていますが、私自身こんなに長く「版画」を続けているとは、当時想像もしていなかったことです。

 

学部で卒業した私は制作場所に困ります(アート活動をしている方は大多数の方が通る道ですね)。ここからそれぞれが切り抜けて続けていくことで作家として成長していくわけなのですが、私はここで「家でもできる」謄写版に魅力を感じ、選択しました。

 

様々な謄写版製版方法を学ぶことができる「表現講座」ご受講の様子

 

ところが、謄写版の機械(刷り台)自体は大学時代に「興味本位」で入手をしていたのですが、いざ制作になるとわからない。当時も現在でもですが、謄写版で「版画」を作るプロセスは、授業で教えていない芸術大学がほとんどです。

 

そうして私はこの時、「ものから学ぶ」ことが多くなりました。

 

ものから学ぶことは試行錯誤の連続です。

製版、刷り方法、インクすら違う。原紙を分解し、全てのインクを試し…。

そんなことを行なっていましたら、今まで多作であった私も、その年は1年がかりで小さな作品を制作するといった状況に。

 

初期の頃はシルクスクリーンといった他版種を入れた作品が特徴です。

 

こんな状況に陥ってまで、なぜ制作を続けられたのか。

そこには、制作の可能性を模索し続ける、恩師の姿がありました。

 

大学時代の恩師による「主流でない版画制作法」の実演を拝見する機会に恵まれ、恩師は制作方法についてものすごく考える方だったことを改めて思い出しました。制作方法はセオリー通りの銅版画やリトグラフではありませんし、もちろん謄写版ではありません。

 

「版」を作り「プリントする」。

単純であるけれども様々な可能性を試すことを、恩師の姿から学びました。

 

「もの」だけでなく、「人」から学ぶということを、恩師の背中が教えてくれたと思っています。

 

最近の作品

 

試行錯誤の時期は今でも続いていますが、続けていると自然と古書店で製作本を入手することができたり、これまで謄写版に携わっていた方と出会うことができました。その度に、答え合わせをするように、自分の技術と他の方から提示された製作方法を再確認していました。

 

すでに貴重な存在となった原紙の製作現場に伺い取材もしています。
そして実際に手を動かして体験します

 

10-48.netの活動では、版画家・作家が一つの美術技術の技術を紹介するにあたり「新たな手を提供すること」を心がけました。従来の謄写版の紹介だけではなく、オリジナル技術の紹介を行っています。

 

従来の鉄ヤスリによる製版以外に、レーザーカッターを使った物や紙やすりを使ったもの…などなど、ワークショップや講座、10-48.netサイト上でも、色々とお伝えしています。

 

10-48オリジナル技術を一部ご紹介

 

レーザーカッターによるオリジナル技法の様子
コピックペン(アルコールマーカー)による製版方法の様子
技術者の技を実際に見せていただいて技術の検証をしたりしています

 

ですが、従来の謄写版を使った上記のような技術は、先人があってこその技術です。
「人から教わること」、「ものから学ぶこと」はすべて財産となりました。

 

そして、この秋、新しい謄写版のスペースを開きます。そこではこれまでのワークショップといった教え伝えることはもちろん、小さいながらも、展示スペースも併設いたします。

 

新スペース(外観イメージ)
外観のイメージです。

 

 

写版を、様々な美術表現について考えるきっかけに。

 

今回のプロジェクトの書籍や展覧会、イベントといったアクションを起こすことで、謄写版をはじめとした様々な表現に対する議論のきっかけを生み出せると思っています。

 

あらゆる表現に対する議論が起こることは、新たな作家を生み出せることはもちろん、埋もれつつある表現者たちを、改めてより深く見つめなすことにも繋がっていくと思います。

 

この作業を「アーカイブプロジェクト」と私の中で言っているのですが、これを行うことで次へつなげることができると考えています。

 

10年前に情報提供者だった10-48は、前回のクラウドファンディングの挑戦からサプライヤーとしての10-48になりました。そして現在、小規模ながらご支持をいただき、次はより深く「謄写版」に興味を持っていただけるような案内が出来る「段階」に進めます。

 

これから先、新たに作家が自分の作品を作るために、謄写版を使ってみる。

作品を作るために「銅版画」や「木版画」を選ぶように。

謄写版をきっかけに、そんな、様々な表現方法に挑戦する動きが起こって欲しいと思い描いています。

 

幅1メートル近くの作品も工夫次第で制作できます

 

今の時代から見ると、どうしても謄写版を議題になると過去を思い出して「謄写版の活躍していたあの頃は、こんな時代だったなあ」と保守に陥りがちですが、ひょっとしたら、謄写版の魅力は過去にはおさまらないのかもしれません。

 

あらゆる議論を起こすことも残し方の一つだと思っています。

謄写版をアーカイブとして残すこと。きっと今なら間に合うと思います。

 

今回のプロジェクトは、そのための第一歩です。

 

 

ターンにつきまして

 

今回のプロジェクトで製作する冊子をメインリターンに、前回も好評だった作品リターンもご用意しました。

 

購入後もお部屋にすぐに飾れる、額装込みでございます(額はこちらでお任せ選定とさせていただきます)。

 

冊子をご購入いただくリターンにつきましては、11月16日(土)開催(東京都内)予定のイベントにて、直接お渡しもさせていただけます。

皆様からのあたたかいご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

新作の作品もリターンとして登場です。(額装はイメージ)

 

このプロジェクトのために新作の水口菜津子作品もご用意いたしました(額装イメージ)

 

リターン早見表

 

 


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