「北海道百年記念塔」解体差し止め住民訴訟にご支援を！

建築史家の駒木定正先生から応援メッセージをいただきました

 

駒木先生は、小樽運河保存運動で建築史専門家の立場から運河と周辺景観の価値を明らかにされ、運河保存運動を先導されました。現在は北海道を代表する観光地となっている小樽運河ですが、昭和40年代に運河を含め周辺の古建築を解体撤去して道路を道路を通そうという計画でした。そこで駒木先生はじめとする有志が保存運動に立ち上がり、全国的な広がりを持つにいたって、結果として運河の半分は埋め立てられてしまったものの周辺の倉庫群などは残り、現在の景観となっています。そうした駒木先生からの応援メッセージは北海道百年記念塔保存運動においても大変力強い励ましです。みなさまどうぞご一読ください。

 

 

北海道百年記念塔は北海道民の財産です！

 

駒木定正　駒木定正建築史研究所 代表

 

北海道民が愛着を感じる北海道百年記念塔は、今解体の危機にあります。
北海道民の総意をもって「先人の偉業を長く後世に顕彰し、慰霊の誠を捧げるとともに、輝く未来を創造する決意の象徴として」北海道百年記念塔が計画されました（「建立記」）。北海道民の財産である北海道百年記念塔の大切さを確認し、今後とも健全に維持する方法を考えるべきと思います。

 

１.北海道民のシンボルとしての大切さ
北海道百年記念塔は地域のシンボルとして親しまれています。丘陵地の野幌森林公園にそびえる塔は地元の校歌や校章、町内会の徽章に取り入れられて地域の文化に根を下ろし、多くの北海道民が愛着を感じる存在です。

 

2. 優秀作品と調和の大切さ
北海道百年記念塔は公募公開競技の応募299件の中から井口健氏の案が最優秀作として建築されました。佐藤武夫審査委員長は北海道開拓記念館（現 北海道博物館）の設計にあたって、北海道百年記念塔との調和を考えました。２つの建物が一体として野幌森林公園に建つことに意義があります。

 

3. 工学に裏付けられた大切さ
北海道百年記念塔は高度な実験を経て吟味した建築材料を用いています。地震の振動と強風の振幅を想定し、建設省研究所（当時）と東京大学宇宙航空研究所で実験を行い、記念塔としての永続性と耐久性を考慮して耐候性高張力鋼を採用しました。

 

4. 有形文化財としての大切さ
北海道百年記念塔は建築から50年を経過し、日常生活の風景として広く親しまれています。北海道の記念塔として建築された歴史的モニュメントでもあることから、北海道および国の有形文化財としての価値があります。

 

 

《駒木定正先生プロフィール》

 

【略歴】
1951年　釧路市生まれ
1974年　近畿大学理工学部建築学科 卒業
1977年　北海道美唄工業高等学校 教諭
1983年　北海道小樽工業高等学校 教諭
1990年　北海道職業能力開発大学校 講師・助教授・教授・特任教授を歴任
2017年　北海道職業能力開発大学校 特別顧問
2018年　駒木定正建築史研究所 代表

【学位】
1999年　北海道大学にて博士（工学）取得
　　　　「明治前期の官営幌内炭鉱と幌内鉄道の建築に関する歴史的研究」

【資格】
1978年　一級建築士免許

【受賞】
1992年度　小樽市都市景観賞受賞「駒木邸」
2014年度　一般社団法人住総研 研究選奨受賞
「北海道における漁家住宅の歴史・地域的特性を活かすための研究」

【活動】
小樽市文化財審議会 会長
小樽市文化芸術審議会 委員
2007年　マサチューセッツ州立大学講演（日本領事館招聘）
「North-American Style Buildings : Japanese Invention」

【著書】
共著：総覧日本の建築 第１巻 北海道・東北、新建築社、1986年
共著：北海道の開拓と建築、第一法規出版、1987年
単著：北海道の住宅形式の変遷過程について−炭鉱住宅（明治開拓期〜昭和20年代）の分析による一考察−、住宅総合研究財団、1993年
共著・監修：小樽の建築探訪、北海道新聞社、1995年
共著：建物の見方・しらべ方 近代化遺産、ぎょうせい、1998年
共著：おたる案内人、小樽観光大学校、2006年
共著：日本の町並み 上巻、山川出版社、2016年
他