国連の定める女性への暴力撤廃デーに向けて、一緒に考えてみませんか？

レイプの逮捕と女性の権利研修がナイジェリアの法律・規範改正・強化につながる

ナイジェリア北東部ダマツルで暴力予防について学ぶコミュニティーメンバー、写真：UN Women提供

ハリマは13歳で、自分が妊娠していることを全く分かっていませんでした。実際には妊娠８か月で、近所の人が警察に届けました。そして彼女がレイプされたことが分かったのです。でも支援を受けるどころか、彼女は逮捕され、不倫で起訴されてしまいました。彼女を襲った犯人と違い、彼女は罪状を認め、6ヶ月の禁錮刑を言い渡されました。でもこのケースにかかわっている行政長官がスポットライトイニシャティブ（主にEUが拠出し、UN Womenも支援している大規模な投資基金）の支援を受けた女性の権利についてのオリエンテーションに参加して、ハリマの運命が変わりました。彼女が子どもでしかも暴力の被害者であるため罰せられるべきでないと考えた長官が同じセッションに参加していた弁護士に頼み、その弁護士が犯人の逮捕につなげてくれたのです。

ハリマは無事赤ちゃんを産み、報復の恐れのない安全な家で赤ちゃんと一緒に暮らせるようになりました。彼女はこう言っています。「支援には本当に感謝しています。これから学校に行って弁護士になりたいです」ハリマのストーリーは女性・少女に対する暴力を当たり前とする態度や法律を変えなくてはいけないことを如実に表しています。

ナイジェリアは、2003年に子供の権利法が制定されていましたが、すべての州がそれを施行しているわけではなく、ハリマの住む州では実施されていませんでした。スポットライトイニシャティブはこのような課題を解決するために、暴力を経験した女性・子どもの保護に投資しました。前述の長官が参加した研修もその一つで、ソーシャルワーカー、警察官、医療従事者、教師が被害者のニーズに十分答えていけるよう支援しています。ユニセフの子ども保護スペシャリストはこのように述べています。「被害を訴えない文化が少しづつ変わっていくと、女性が暴力や有害な慣習から解放された未来像が見えてきます。そこでスポットライトイニシャティブは被害者の救済に介在するようになりました」政府が、法制を変えたり強化したりするのに必要な、データの収集・管理もこのような研修を通して培われました。コミュニティーレベルでは、暴力を誘発する有害な慣習や社会規範を撤廃するための研修が行われています。ハリマが正義を手にでき、明るい未来が約束されたのは、様々なセクターが暴力に対応し続けてきたからにほかなりません。

UN-Women-Impact-story-Nigeria-Changing-harmful-rape-laws-and-norms-en.pdf (unwomen.org)