カピバラが温泉に！？湯田温泉のリラクゼーション効果はいかに。

 

 

 

 

 

 

ページをご覧いただきありがとうございます。山口大学共同獣医学部 実験動物学の木村透と申します。

 

私はこれまで30年間、実験動物医学分野で皮膚科学の研究を進めて参りました。この3年間は、地元「湯田温泉」の協力を得て、動物園動物カピバラと一緒に冬期の温泉入浴試験を進めております。

 

 

湯田温泉は還元力の非常に高い温泉であり、国内に数ある温泉でも珍しい非火山性温泉です。1400年前の伝承では、「白狐が見つけた美白」といわれ、傷の治癒に効能が豊かとされています。

 

ここ数年、湯田温泉や地域の方のご協力をいただき、カピバラに温泉に入浴してもらうことで、彼らの皮膚の状態の改善効果を確かめ、皮膚の測定機器を用いて改善指標を数値化し、湯田温泉の日焼けの防止効果、美白剤や発毛促進剤の評価、しみやしわを含めた皮膚への作用、傷の治療促進を研究しています。

 

この研究の最終的な目的は、分析した温泉入浴効果をヒトや動物に結びついていくことです。湯田温泉がもたらす効果効能をどう人に活かしていけるかを地域の方々と一緒に考え、実現していくための研究でもあります。そしてそれが結果的に、地域の観光産業や健康増進に結びつくことを期待しています。

 

 

 

 

カピバラは、元来高温多湿の地域に生息する大型のげっ歯類です。南アメリカのアマゾン川流域に暮らすおとなしい動物で、もともと湿地帯に暮らす動物のため、日本の冬期の気候は彼らにとって厳しく、寒く乾燥した冬は体が冷えて、皮膚や被毛が荒れてしまい体調を崩すことがあります。

 

 

これまで携わってきた動物は意外とお風呂に入ることは苦手の子が多いようでしたが、カピバラは水浴びや水中で過ごすことが好きなため、喜んで温泉に入浴してくれます。カピバラの毎日継続した入浴試験成績からは次のことがわかりました。

 

1.皮膚の水分含量が増加しました。

温泉入浴をして翌日の試験前に測定しますが、カピバラの肌の水分量が増加しました。

 

2.皮膚のpHが正常に戻りました。

肌荒れを起こした皮膚は酸性に傾くのですが、温泉入浴を続けると正常な中性から弱アルカリ性に復しました。水分含量とpHの指標が肌荒れ改善効果を示してくれます。

 

3.メラニン値の低下がみえました。

南アメリカ原産のカピバラは皮膚にメラニン顆粒をもっており、強い紫外線から体を守っています。温泉入浴を続けることで、少しずつ皮膚の色素沈着が改善しました。美肌に結びつくようです。

 

4.入浴後の保温効果が高いことが分かりました。

サーモグラフで計測し、入浴後の保温状態を証明できました。入浴後の保温効果（湯冷めがしにくい）は多くの方が経験されることですが、動物実験でも同じ現象が確かめられました。

 

この結果から、湯田温泉の電子分布が高く、還元力が非常に高い温泉であることがわかりました。国内でも極めて珍しい還元性^※を持ち、体の錆びついた機能を元に戻してくれる力を持っていると推測されます。

 

 

 

 

これまでは年末年始の限られた時期にカピバラの温泉入浴試験を行い、保湿や水分量の研究をメインに実施してまいりました。今後はそこからさらに進展させ、温泉浴後の保温効果をサーモグラフで数値化することで、どの程度カピバラがリラックスした状態になるのかを視覚化して判断できるようにします。また、冬期だけではなく夏期に水浴びをする時期のリラクゼーション効果も追跡調査いたします。

 

実験動物を用いて、温泉入浴効果を皮膚性状およびリラクゼーション効果の面から証明した研究はわずかです。成獣で体重が60 kgほどになるカピバラを用いた試験成果は、イヌやネコなどのコンパニオンアニマルおよびヒトへの温泉療法を行う上で、貴重な根拠資料となると考えています。

 

 

これまで年末年始の期間だけだった研究期間が年間を通しての実施となり、子どものカピバラにも協力をしてもらいます。その分必要となってくる研究費用をこの度クラウドファンディングで皆様にご寄附いただき、研究にお力添えをいただきたく存じます。

 

そして、このような山口大学の取り組みをクラウドファンディングを通して地域の方々にも知っていただき、まだまだ県内でも知る人の少ない湯田温泉の効果効能の認知向上にもつなげたいと考えています。

 

 

【資金使途】

皆様にいただいたご寄附は、2021年4月30日までにカピバラの入浴による温泉効果の研究費用に充てさせていただきます。

臨床検査試薬    200,000円
消耗品    200,000円
医薬品    50,000円
動物飼料    50,000円
外部への検査    100,000円
論文投稿料    100,000円
手数料等    300,000円

 

 

このプロジェクトを通して、研究のデータをさらに積み上げることは必要ですが、その成果を間もなく山口市で建設予定の温泉施設の機能の中に盛り込むことも今回の大きな目的です。

 

ヒトや動物のヘルスケアの施設が誕生すれば、地域の方々および観光・インバウンドで訪れる国内外の人たちが楽しみながら健康改善を無理なく目指せるようになるはずです。それが地域の産業が賑わうための第一歩になればと思います。

 

 

 

 

山口大学へのご寄附に対しましては、確定申告を行うことにより税制上の優遇措置が受けられます。

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