宇都宮大学きのこ個性化プロジェクト ー食感と香りー

　この度はクラウドファンディング「宇都宮大学きのこ個性化プロジェクト-食感と香り-」へご寄附いただき、誠にありがとうございます。おかげ様で当初の目標金額からNEXTGOALの150万円を超え、184万5千円を達成する事ができました。心より御礼申し上げます。

　クラウドファンディングを始める当初はとても不安でした。目標金額を達成できるかもそうですが、自分たちの研究内容に共感いただけるのか。広く寄付を募り評価されることへの不安です。ですが、このクラウドファンディングを通じ、多くの皆様に応援いただけたことは、我々にとって大きな喜びであり、現在の研究活動のモチベーションとなっています。研究資金の外部からの獲得が必須となっている現状もありますが、自らの考えや研究成果を広く一般の方にも示していくことは、大学や研究者の存在意義についての周知を図る上でも重要だと感じています。

　

　本プロジェクトでは、「シイタケ」を一括りにせず、品種ごとの個性を見出すため、香りと食感の解析をシイタケ品種ごとに行いました。シイタケ品種ごとの香気成分を気体分析装置（ガスクロマトグラフ質量分析計 GC-MS）で分析しました。菌床栽培されたシイタケ（４品種）を用い、保存状態等（常温保存、冷蔵保存、冷凍保存）を変えながら計12種のシイタケサンプルを分析した。本解析から、１）品種ごとに香気成分の含有量のみならず種類も異なること、また、２）保存の仕方によっても成分は大きく変化することが明らかとなりました。今後サンプル数を増やし、統計的なデータも出せるようさらなる解析を進めていく予定です。

　また、シイタケの食感に関するデータを得るために、本クラウドファンディングの予算を活用させていただき、食感試験機（テクスチャー試験機 TEX-100N、日本計測システム株式会社）を購入しいたしました。TEX-100Nに付属のくさび型プランジャを用いて、見た目ではわからない違いを数値化し、「シイタケの品種ごとの個性」を明確化できれば、生産者（開発者）だけでなく、消費者、地域にとっても様々な利点を生むと考えています。さらに検討が必要な箇所はありますが、概ね測定可能な条件については確立できました。現在様々なシイタケ品種でデータを集めています。


　皆様からご支援いただいた資金は、食感試験機（テクスチャー試験機 TEX-100N、日本計測システム株式会社、605,000円）の購入に使用させていただきました。また、学会参加費（日本きのこ学会等、計117,460円）にも使用させていただき、研究の質の向上のみならず学生の教育にも使用させていただきました。その他、本プロジェクト運営にかかる人件費（１名）に83,600円使用させていただきました。残りの予算は引き続き分析のための試薬代等として活用させていただきます。

　

　本プロジェクトのリターンである、成果報告書、ステッカー、きのこの教科書は11月末に発送させていただきました。また、ラボツアー、成果報告会等は12月中に順次開催予定です。

　

　本プロジェクトの成果は、新しい品種の開発、栽培方法の工夫からシイタケをブランド化していく上でも重要な指標となり、生産者の方々のつくる楽しさにも貢献できるのではないか。そして、きのこ産業の活性化は地域を盛り上げる一つのきっかけにもなるのではないかと期待し、さらなる研究成果を生んでいきます。

　今後も、きのこ研究を通じて様々な課題を解決できるよう、研究に精進いたします。これからも、宇都宮大学、そして「きのこ」をよろしくお願いいたします。