女性に対する暴力のない世界へ　マンスリーサポーターとしてご支援を！

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン・モンゴル事務所のツォルモン・エンフバット氏にインタビュー

モンゴルでは、女性と少女に対する暴力をなくすための法律が最近制定されたにもかかわらず 、女性は依然として高い割合の暴力を経験しています。実際、彼女らの58%近くが、生涯に少なくとも何らかの形態のジェンダーに基づく暴力を受けているのです。

国際的なNGO（非政府組織）で子どもの権利団体であるセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、国連女性に対する暴力撤廃信託基金の支援を受けて、モンゴルでプロジェクトを実施しています。このプロジェクトは、首都ウランバートルの5つの社会経済的に低い地区に住む思春期の少女たちをエンパワーすることを目指しています。具体的には彼女たちの知識を増やし、さまざまな革新的なテクノロジーを利用した活動やツールの使用などを通じて、サバイバー（被害者）中心の支援サービスへのアクセスを改善することを目的としています。

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン・モンゴル事務所の子どもの保護・子どもの権利ガバナンス・プログラム・マネージャーのツォルモン・エンクバット氏にお話を伺いました。

モンゴルでは現在、女性と少女はどのような暴力に直面していますか?　パンデミックは彼女らの現実にどのような影響を与えましたか?

モンゴルの女性の10人に一人が、15歳になる前に性的虐待を経験したと報告しています。ほとんどの場合、彼女らは誰に助けを求めるべきかわからず、利用できるサービスが何かも分かっていません。

さらに、多くのサバイバーは、社会的規範と、夫への恐れのために助けを求めません。通常は夫が唯一の稼ぎ手だからです。

モンゴルの社会経済危機に加え、COVID-19のパンデミックは、ジェンダーの不平等を悪化させ、女性と少女に対する暴力を増加させました。特にDV（ドメスティックバイオレンス）が50%も増加しました。ロックダウン中は移動も難しくなり、ソーシャルディスタンス措置の導入により、サバイバーへの支援サービスが減り、サバイバーの一部は虐待者と一緒に家にいることを余儀なくされました。

このDVの大幅な増加は収まらず、今日でも懸念の源となっています。 ジェンダーに基づく暴力に立ち向かい、前向きでかつ変革を起こせるような男らしさを提唱し、サバイバーにより良いサービスを提供するために、男性と女性の意識を高めることが急務です。

あなたのプロジェクトのトラウマに基づいたアプローチについて詳しく教えていただけますか?　このアプローチは、暴力のサバイバーである女性と少女のための安全な支援サービスへのアクセスをどのように確保しますか?

これらのスキルと知識の欠如と過重な作業負荷のために、サービスプロバイダーは意図せずにサバイバーのトラウマ的な経験を再現する可能性があります。対応として、我々は、サバイバーが質の高い支援サービスを受けられるよう、モンゴルではまだ広く用いられていないのですが、トラウマ情報に基づいたサバイバー中心のアプローチを採用することにしました。

このアプローチは、サバイバーの経験、トラウマの身体的、社会的、感情的な影響を理解し、個人の偏った判断力に頼らない支援を提供し、サバイバーが与えられた情報に基づいて選択できるようにすることに焦点を当てています。

このアプローチは、プロジェクトの受益者とサービスプロバイダーの両方が、サバイバーのニーズを優先し、安心感とコントロール感を回復することの重要性を認識するために大切であると考えています。現在、289人のサービスプロバイダー(医師、警察官、ソーシャルワーカー、スクールカウンセラーなど)に、この特定のアプローチをどのように取り入れているかのトレーニングを行っています。

どのようにしてテクノロジーが、あなたのプロジェクトの目指す若者のエンパワーメントの不可欠な要素になりましたか?

女性と少女の多くは、学校の仲間から、またはさまざまなメディアやオンラインチャネルから情報を入手しています。私たちは、ジェンダーに基づく暴力、予防、利用可能なサービスに関する幅広い情報源を青少年に提供することが重要であると考えています。

この目的のために、私たちのパートナー組織であるBeautiful Heartは、子供に優しいSMSコンテンツを開発するために、学校環境でのオンラインおよびオフラインのディスカッションに女の子を参加させました。3つの携帯電話事業者と協力して、女性と少女に対する暴力の防止と助けを求める方法について、テキストメッセージを3回送信しました。このSMSキャンペーンは、ウランバートルの高校生から農村部の遊牧民の少女まで、全国で347,000人以上の少女に届いています。

私たちは現在、性的虐待と搾取に焦点を当て、思春期の少女、その両親、介護者、およびサービスプロバイダーが、ジェンダーに基づく暴力のリスクと指標についての意識を高めることを目的とした大規模なオンラインコミュニケーションキャンペーンを開発しています。

また、「You Are Not Alone」（あなたは一人ではない）というモバイルアプリを開発し、女の子が記録を作成したり、支援や心的外傷（トラウマ）後のサポートを求めたり、暴行を受けた場合に、信頼できる友人に相談できるようにすることを目指しています。このモバイルアプリは、ユーザーを児童保護ホットラインまたは警察の緊急通報番号に自動的に接続します。さらに、ガールズクラブや生徒が開発した参加型予防キャンペーンを通じて、対象校で仲間主導の予防活動を組織することにより、プロジェクトの活動に対する女の子のオーナーシップを確保します。

セーブ・ザ・チルドレンはまた、研究者と協力して、モンゴル政府が児童保護システム、特に性的虐待と搾取の被害者に関するデータを収集するために使用している既存のデータ管理システムとプログラムをレビューしています。

https://untrustfundevaw.medium.com/using-technology-to-prevent-violence-against-adolescent-girls-in-mongolia-interview-with-ms-475d4d0b8989