プロジェクト概要

「町が壊滅しても私たちの仕事はやめられない」
避難生活をおくりながら訪問看護を続ける真備町の看護師たち​

 

特定非営利活動法人アジアパシフィックアライアンス・ジャパン(A-PADジャパン)事務局長の根木佳織と申します。私たちは、災害時に、NGO・企業・政府などが国境を超えて相互に協力する国際機関「A-PAD(エーパッド)」の日本法人として、2015年11月に設立されました。

 

国内外問わず緊急支援活動を展開し、2018年7月の西日本豪雨では発災翌日にヘリと水陸両用車で被災地に入り、水没した病院の入院患者らを危機一髪のところで救急搬送しました。

 

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私たちは、被災者の搬送や行方不明者の捜索、緊急支援物資の配布などのほか、復旧・復興に向けて立ち上がった被災地の人々の取り組みを後押しすることも、大切にしています。外からの支援だけでなく地域の人たちをサポートすることで、長期的な視点を含むよりよい復興につながると信じているからです。

そんな中長期的な復興支援として、西日本豪雨で被害を受けた岡山県真備町の看護師集団、NPO「そーる訪問看護ステーション」にトレーラーハウスを貸し出し、活動を応援するために今回プロジェクトを立ち上げました。

 

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発災前後から訪問看護利用者の安否を確認し、支援を継続


A-PADジャパンを含む災害緊急支援チームには医師も含まれていますが、発災直後から岡山県倉敷市で続けてきた医療支援の活動では、避難所周辺での診療が中心で、在宅避難者や特別なケアを必要とする人へのサポートは遅れがちでした。

 

そんな中、訪問看護を続けてきた実績を持つ看護師たちが、在宅で生活する高齢者や障がい児者など特別なケアを必要とする町民の安否を確認し、発災直後も訪問看護を続けていました。それが、真備町で活動する看護歴15〜25年の看護師集団、「そーる訪問看護ステーション」です。

 

利用者は子供から高齢者まで幅広く、真備町を拠点に、”地域で活きること”に重点をおいた看取り看護を積極的に行ってきました。しかし、今回の豪雨でスタッフ全員が避難を余儀なくされました。事務所や代表の片岡さんらスタッフの家も含め、町全体が壊滅的状態となってしまいました。

 

水没したそーるの拠点。写真は事務所として使っていた2階の事務所


しかし、訪問看護をストップすることはできません。24時間体制の活動をやめてしまえば、それは利用者の命にかかわることもあります。利用者や家族と連絡を取り合って全員の安否を確認し、発災直後から在宅や避難所で生活する利用者へのサービスを続けています。A-PADジャパンは、訪問看護を早急に再開させる必要性を確認し、昼夜休まず働き続けるそーるへの支援を決めました。

 

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そーる代表の片岡さんとA-PADの根木事務局長(右)

 

「24時間体制の活動が止まること」

それは利用者の命にかかわること

 

訪問看護を必要とする人やその家族は、災害が起きる前から様々な課題を抱え、毎日生活することさえも大変です。そうしたなかで災害にあい、家を失ったり、以前のような看護支援を受けられなくなったことで体調を崩したり、その家族も疲労がたまるなど限界に達していました。

 

訪問看護は、食事や入浴など日常生活の援助に加え、服薬やカテーテル、人工呼吸器の管理、点滴、注射、リハビリなど24時間体制で利用者とその家族を支える、体力的にも精神的にも忍耐力が求められる仕事です。

 

訪問看護の利用者にとって、そーるが訪問看護を続けていることで、看護師にしかできない技術的なケアはもちろん、一人で飲食や排泄などが難しい人の生活面でのサポートも可能となっています。そして、こんな状況のなかでも「見捨てられていない」という安心感につながっています。

 

利用者の中には、親子二人で生活していましたが、今回の水害の影響で親が亡くなり統合失調症の息子さんが一人残されてしまったケースもあります。発災後、そーるの看護師はSOSがない利用者のもとにも様子を見に行きましたが、そのとき初めて亡くなった事実が判明し、これまで以上に頻繁に訪問看護を続けています。

 

そーるは、発災後の混乱のなか、ある高齢者の”看取り”も行いました。

 

 

トレーラーハウスが地域の人々が集まる拠点に

 

被災しながらも昼夜休まず活動するそーるのメンバーが少しでも快適に仕事ができるよう、A-PADジャパンは7月末からトレーラーハウス3台を貸し出し、仮の事務所や仮眠スペースとして利用されています。

 

災害から1カ月半が経った8月中旬、そーるはこのトレーラー近くで、「ケアカフェinまび」を開催しました。震災前、地域の誰もが参加できる集まりとして月1回行っていたこの会には、40人以上が参加し、災害の経験や現在の課題などを共有し合いました。また、トレーラーの周辺には全国から寄せられた支援物資などを置き、在宅避難者ら支援が届きにくい人々のニーズも聞きながら物資の配布を続けています。

 

地域の人々の困りごとを把握し、解決のために奮闘するそーるとの連携を通じて、無駄のない効率的な支援の実現につながっています。

 

 

訪問看護を通じて、真備町の現状を発信し復興へ

 

「そーる訪問看護ステーションの役割は、真備町の現状を発信し地域の皆さんと一緒に這い上がっていくこと。一人でも多くの真備町民が戻って来れる町づくり、コミュニティの再建、訪問看護を通じ、多職種との連携を継続していくことが使命だと考えます。訪問看護の仕事は、地域に出向き、生活を見守り、顔馴染みの関係を作り、お互いがお互いを認めあい、共存していく役割であると確信しています」

 

そう語る、そーる代表の片岡さんは、避難生活を送りつつ昼夜訪問看護に邁進しています。片岡さんは、「将来的には、在宅で最期まで過ごしたい方のためのホームホスピス事業を展開したいと考えていますが、当面はまだまだ厳しい状況にある被災地での訪問看護に力を入れたい」と話しています。そして、地域の人々のニーズを理解し、人々がもう一度一緒に暮らせる地域づくりも力を入れています。

 

発災後の危機的な状況にもめげず、なんとか訪問看護を続けるそーるのみなさんが、これからも元気で活動を続けられるよう、A-PADジャパンは、支援が必要なくなる日までサポートしていきます。そーるを通じた真備町の復興を、ぜひ応援してください!

 

 

支援金の使徒内訳


今回のReadyforのプロジェクトでは、長期化が予想される真備町の人々の避難生活を支えるため、そーるに貸与するトレーラーハウスの輸送費やメンテナンス費用、そーるの活動のバックアップなどをカバーする計画です。

 


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