日本発の確かなエビデンスの構築へ！

本クラウドファンディングを開始してから10日あまりが経過いたしました。早くも多くの方々から温かいご支援をいただき、心より感謝申し上げます。

「大動脈弁狭窄症」という病名は、あまり聞きなじみのない方もいらっしゃるかもしれません。心臓は4つの部屋から成り立ち、各部屋の間には血液を一方向に流すための「弁」があります。大動脈弁はその一つで、心臓から全身へ血液を送り出す“出口”にあたります。この弁が石灰化などの変性によって硬くなり、うまく開かなくなる状態が「大動脈弁狭窄症」です。

弁が十分に開かなくなると、心臓が血液を全身に送り出すのに非常に大きな力を必要とします。重症になると、左心室には””通常の約2倍（200mmHg以上）””の圧力がかかることもあり、心不全や、時には突然死に至ることもある、命に関わる疾患です。

症状が出現した患者さんに対しては、開胸による外科手術またはカテーテル治療のいずれかが選択されます。当初は高齢者や手術リスクの高い方に限定されていたカテーテル治療ですが、技術の進歩により、適応が次第に拡大しています。

そして2023年には、欧米から「低リスク患者においてもTAVRは外科手術に劣らない中期成績（5年）を示す」とする研究結果が発表されました。この成果により、より多くの患者にカテーテル治療が選択されるようになってきています。

しかしながら、この欧米での結果をそのまま日本に当てはめてよいのか、という点には慎重な検討が必要です。日本と欧米では、平均寿命、体格、医療制度など多くの側面で違いがあるためです。そのため、日本人における長期成績を明らかにし、より適切な治療選択を導くためのエビデンスが必要とされています。本研究はまさにその一助となるべく、多くの国内施設のご協力のもと立ち上げられました。国内で、外科治療を対象としたこのような前向きランダム化比較試験が実施されるのは極めて稀であり、本プロジェクトを必ず成功させ、日本発の確かなデータを示すことが重要であると考えています。

引き続き、皆様からのご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。