プロジェクト終了報告
この度は、暖かいご支援をいただき、どうも有難うございました。最終的に1434名もの方にご支援いただき、エボラ治療薬候補化合物の薬物動態試験を行う事ができました。この実験には、専門的な技術と機器類を必要としますので、薬物動態試験を実施してくれる会社を探すところから始め、まずは化合物の検出方法を決め、次に動物実験を実施しました。先月、最初に予定していた試験が完了しましたので、報告させていただきます。
まずは、当初の目標金額の予算(約350万円)を使ってマウスでの実験を行いました。その結果、今回の治療薬候補化合物は血液中での半減期が少し短い事が分かりました。半減期が短いという事は、投与後に薬の分解が早めに進み、効き目が持続しない可能性を示しています。しかし、この結果はマウス体内での動態ですので、人の体内では必ずしも同じとは限りません(試験管内の実験結果では、人では半減期がもう少し長い可能性が示唆されています)。この結果を受けて、マウスより人に近いサルに投与した場合に、ウイルスの感染を抑えるために充分な濃度で血液中に維持されるかどうかを、次に調べることになりました。皆様からのご支援による研究資金が予想以上に多く集まっていますので、このサルの試験も近いうちに実施できる予定です。
ページや新着情報でもお伝えした通り、薬の完成には数年〜数十年の時間を要します。開発段階で存在する数多くの候補化合物のうち実用化までたどりつくのはほんの一握りです。エボラの治療薬はどのくらいで完成できるか?本当にできるのか?というところは、現時点でお伝えするのは難しい状態です。今後の試験の結果によっては、薬の改良がもっと必要だと判断されるかもしれませんし、さらに新しい候補物質を探す必要が出てくるかもしれません。今後どのような結果が出たとしても、研究者として最後まで諦めずに、将来のための知見と成果を積み上げていきたいと思います。
改めまして、クラウドファンディングでの暖かいご支援、心より感謝申し上げます。
北海道大学 髙田 礼人