こんにちは。NPO高卒支援会でインターンをしております林です。

 

本日も前回に引き続き、当会でサポートした生徒の体験談を紹介します。

 

今回紹介するのは、スポーツ特待生として高校に進学したある男子生徒。スポーツ特待生と聞くと輝かしいイメージがあるかと思いますが、スポーツは常に怪我の問題を抱えています。

 

スポーツ特待生の制度が全て悪いわけではありませんが、怪我などでスポーツを続けられなくなったときの生徒の人生はしっかり考えなければならないと思います。

 

彼の体験を通して、一緒に考えてみてください。

 

 

 

 

彼が当会に相談にきたのは、ある年の4月の半ばのことでした。

 

バリバリのサッカー少年だった彼。9年間サッカーを続け、高校もスポーツ推薦でサッカーの名門校に決まりました。中3の夏にセレクションを受け、早い時期での決定だったそうです。特待生と認定され、授業料は半額以上免除されました。

 

しかしそんな彼を襲ったのが、怪我。元々腰を少し痛めていたのですが、高校での練習が激しすぎて悪化。ヘルニアを患い、骨盤を痛めたそうです。4月、入学早々のことでした。

 

地方にあった彼の学校では、寮の周りに良い病院はありませんでした。先輩たちは地元の病院に通わざるをえなかったそうです。彼も地元東京に帰り治療をしました。しかし練習と寮の時間を考えると、ほとんど病院に通うことは厳しい状況。骨盤は完治が厳しく、少なくとも継続的な通院が必要でした。

 

そのような事情もあり、彼はサッカーで学校を続けることが困難だと判断しました。しかしそのまま残ったとしても、寮の環境は良くない。加えて、サッカーで選ばれた彼はサッカー部のみのクラスに所属。勉強が重視されなく、大学進学もほとんどサッカーで決める彼らと一緒のままでは、自分の将来が危ういと考えました。さらに金銭面でも、寮の費用や奨学金の問題がありました。

 

そこでこのまま学校にはいられないと判断し、東京に戻り転校しようと決意します。母親が高校の先生と伝手があったこともあり、なんとか補欠募集の存在を知りました。そこで通信制高校か全日制高校で悩み、部活を続けたいこと、大学に進学したいこと、を理由に補欠募集で全日制高校を選びます。そうして、当初入学した高校には一か月も通わず、補欠募集がある夏までの期間は、当会の併設団体であるウィッツ青山学園高等学校東京キャンパスに通い受験勉強に励みました。

 

他の道府県では、一家転住(家族総出での引っ越し)以外の理由での転校は認められにくいです。このような制度がなかった場合、彼はどうなってしまったのでしょうか。一番有力なのは、通信制サポート校への転校。しかしこのような学校は比較的簡単に入れる反面、費用も年間100万円近くかかります。他にも、高卒認定をとる、浪人してもう一度高校を受けなおす、等の方法はありますが、朝から通える学校に学年を落とさず入る方ではありません。彼の前の高校で同じく辞めてしまった友人は茨城県在住だったため、学年を落として再度高校受験を目指さざるを得なかったそうです。

 

さて、こうして彼の受験勉強はスタートしました。転学試験の科目は、英語・数学・国語、そして面接。同い年の高校生に負けないよう、当会に毎日通い勉強に励みました。

 

真面目に勉強をする反面、教室ではムードメーカー的な立場でした。マイペースなところもありましたが、途中からは勉強に楽しさを見出し、積極的にわからないところは質問にきました。優秀でしっかりとした生徒で、私たちも安心してみていられました。

 

直前期には毎日遅くまで勉強を続けていたそうです。学校で5時間、家で最低1,2時間はやっていたとのこと。ずっと身体を動かしサッカーをしていた彼にとっては初めての経験で大変だったそうです。そのような努力を経て、見事8月の転学試験で志望していた上位の都立高校に合格。無事9月から全日制の高校に通えるようになりました。

 

そんな彼は、今後大学に進みスポーツ医学を学ぶことを目指しています。サッカーを好きになるように、サッカーを教えたいのだそうです。

 

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近年、スポーツ推薦で進学した生徒の相談を多く受けるようになってきました。怪我や体罰、監督・コーチとのトラブル、など様々な問題を抱えてしまうケースがあるそうです。中には、本人の問題とは言いにくいものも多くあります。スポーツ推薦が全て悪いわけではありませんが、スポーツを続けられない生徒が出ることが明白である以上、その生徒たちの受け皿は必ず必要でしょう。

 

都立高校の転校制度は、このような生徒の未来に希望を残す制度になります。やり直しがしにくい高校の制度の中でも、非常に先駆的な制度です。「普通の学校生活を送りたい」と願う生徒のため、積極的に当会もこのような生徒や学校にアプローチし、上手く制度を利用する方法を伝えていかなければなりません。

 

募集終了まで、残り7日間となりました。ご協力、宜しくお願いいたします!

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