こんにちは。NPO高卒支援会の林です。

 

生徒の体験談もこれで三度目となりました。今回ご紹介するのは、いじめを経験し不登校になったある男子生徒。不登校から立ち直り、都立高校への転校を目指した生徒の話です。

 

彼の経験を通して、いじめや不登校とどう向き合うべきか、一緒に考えてみてください。

 

 

 

彼は吃音症を持っている生徒でした。

 

考えてから言葉を発するのにかなりの時間がかかってしまい、人とのコミュニケーションが円滑にいかない場面がありました。授業で指名されたり、面接されたり緊張する場面ではなおさら、言葉にするまで時間が必要でした。

 

そのような事情もあり、中学時代はいじめにもあい数か月もの不登校になりました。学校に行けないため勉強も疎かになり、両親はチャレンジスクールへ進学させることを決意します。

 

チャレンジスクールとは、東京都立で3部制の定時制・単位制高校。不登校経験者たち積極的に受け入れ支援教育を行う総合学科の学校です。受験においても、内申書が不要で志願申告書と作文、面接のみを課されます。

 

両親ともにそのような学校の方が彼に合っていると判断し、受験に臨みます。しかし結果は、不合格。吃音症ゆえに面接試験でほとんどしゃべれなかったことも影響したのでしょう。そして進路が決まらぬまま、中学を卒業してしまいます。

 

そこで、当会に相談にきました。彼が三つ子であったこともあり、家庭的にも多くの金銭的負担ができる状態ではありませんでした。加えて、吃音症があるためそのような生徒の受け入れ体制がより整っているチャレンジスクールに行きたいとの願望が強く、夏にチャレンジスクールへ再挑戦することを決めます。こうして、当会併設のウィッツ青山学園高等学校東京キャンパスで勉強しながら、夏の転校を目指し始めました。

 

当会に入り、確かに会話をするうえで相手の理解を必要とする場面はありました。しかし元は野球部のスポーツ少年。真面目で、活発で、思うようにしゃべれない以外に全く問題はありませんでした。昼休みになれば友達とキャッチボールにでかけ、当会での友人関係は極めて良好でした。

 

こうして、チャレンジスクール転学に向け楽しく勉強に励んでいたのですが、6月の三者面談で思わぬ変化がありました。彼の口から、「普通の都立高校に進みたい」との言葉があったのです。野球が好きな彼は、高校でも仲間を作り野球を続けたいと思ったのだそうです。単位制の学校では、部活動はあるものの授業時間が異なるためになかなか盛んには部活ができない現状があります。

 

このままチャレンジスクールを受けるか、急遽試験対策をして全日制普通科の高校を受けるか、当会でもどちらを勧めるべきか非常に悩みました。そして両親を交えて話し合った末、全日制普通科の高校を受けることに決断します。彼自身、いじめを原因に不登校経験はあったものの、言葉を発すること以外は普通の高校生と何も変わりません。だから、あたりまえの高校生活を楽しんでもらいたい。そう思い、私たちも彼と一緒に挑戦することに決めました。

 

一か月。それから彼に残された対策期間はこれだけでした。それまでの学習内容は、中学校の基礎の基礎レベル。学科試験のない受験を予定していたので、試験で点数をとる訓練は全くしておりません。講師陣も急ピッチで、彼の受験指導をしました。

 

受験の経験が今までなかった彼でしたが、試験前には一所懸命追い込みをしました。そして努力の末、見事第一志望の高校に合格。偏差値でみると40後半の学校。中学校の最初の部分から勉強をスタートさせたことを踏まえると、大成功でした。ご両親も発表を聞いて泣いて喜んだそうです。

 

今後、真面目な彼はまず「勉学と部活の両立」をしていきたいとのこと。ゆくゆくは一人暮らしもし、自立して生きていきたいと言っていました。彼のような優しく真面目な人間が今後どうなるのか、私たちも楽しみでなりません。

 

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いじめや不登校の相談は、当会でも多く承っております。高校中退というと昔はやんちゃな子が多かったのですが、今は逆、真面目な子の相談が非常に増えております。そのような生徒たちが立ち直るきっかけとして、都立高校への転校は有力な選択肢となります。

 

今回紹介した生徒は、転校試験の受験を通して気持ちも前向きになり、大きく成長しました。また、中3に卒業しても進路未決定だった状態から、全日制高校に入ることができました。このようにやり直しの機会を与え、ニートや引きこもりにならず社会に出れるよう、当会では不登校やいじめを経験した生徒をサポートしてまいりました。

 

この制度を利用し、多くの生徒を支援したいと思っております。残り、あと3日になりました。ご支援宜しくお願いします!

 

 

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