命の格差をなくす。殺処分対象の命を救い続けるため医療費のご支援を

アリスには、新しい家族を待っている元野犬の子たちがいます。

その子たちは預かりスタッフ宅で室内環境や人との生活を学んでいます。

 

比較的早く人に馴れる子、なかなか人に馴染めず手強い子(^^;)...

十人十色… 十犬十色です。

 

今回は、後者,手強い(手強かった)メイの預かりスタッフ,久保田さんのご紹介とエッセイをご報告させていただきます。

 

生粋の野犬気質のメイと母犬ひなぎくの預かり奮闘中の久保田さん。

とても愛情深い方です。。。

 

 〜 久保田さんのご紹介 〜

⚫︎趣味

犬と暮らすこと　登山　エッセイを書くこと

 

⚫︎アリスの会の活動に参加した理由

以前、アリスから譲渡していただいたルナ（ラブラドール）と梓（ミックス）がとってもいい子なので、お返しに何かお手伝いがしたいと思ったから。

 

⚫︎プロジェクトをご覧くださっている方へ

たくさんの応援ありがとうございます。

アリスの会は他の団体が引き取らないワンコ達を引き取り、お金がかかっても預かりスタッフや譲渡先さんに命を繋いでいます。

今後ともよろしくお願い致します。

 

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〜野犬の仔を育てる　その１〜

「メイと暮らしはじめて」　久保田愼子

 

我が家の愛犬である梓(あずさ)は、９年前に保護団体「アリスの会」から譲渡された。

梓は私たちの大事な家族となり、いつか「アリスの会」のお役に立ちたいと思っていたところ、昨年の夏、那須に野犬の仔犬がいるとの情報が入る。

那須にいる会員が毎日ゴハンを与えて餌付けしたのち、数日がかりで４匹の仔犬を捕獲した。すでに産まれて数か月は経っていたようだ。そのうちの１匹を譲渡先が見つかるまでの間、我が家で預かることにした。

 

８月２９日、「メイ」と名付けられた仔犬を那須に引き取りに行く。

全体が白く、茶色の耳と、背中に丸い模様が２つあり、とってもかわいい。

会のスタッフがケージから出そうとすると手を噛まれる。結構な出血だ。

仕方がないので搬送用ケージに入れ替えず、そのまま車に乗せ、東京の動物病院に寄って健康診断をしてもらう。

この時もケージから出すと、夫の足に噛みついた。

病院のスタッフが、メイの頭にすっぽりとタオルを被せると不思議とおとなしくなった。健康は問題なさそうだ。

家の中にケージごと運び、いつもみんながいる場所に置く。

怖いのかブルブル震えて中でウンチを漏らしている。手を入れると噛まれる恐れがあったため、メイに恐怖心を抱かせないためにもタオルを被せてから処理する。

 

いやはや、とんでもないことになったと思う。

仔犬はかわいいし、すぐに譲渡先が決まるらしいので、それまで預かっていればいいと鷹を括っていた。

これまで何匹も犬を飼ってきたが、噛みつこうとする犬は初めてだ。

 

メイは、ケージの奥の方で固まっていて出てくる気配はない。ご飯はケージの中に入れると食べたが、トイレはどうするのだろう？　散歩は？　と次々と疑問がわいてくる。

噛まれないように頭にタオルを被せてからトイレシートを中に敷くと、そこでトイレをするが、身体がオシッコやウンチで汚れてしまい、そのたびにまたタオルを被せて身体を拭く。

毎回こんな事を繰り返していても埒が明かない。

どうにも困り果てて、いつも深大寺のドッグランのしつけ教室で講師をお願いしているＩさんに泣きつく。

すると、、、

「ケージの入り口だけは被せないようにして全体をシーツで覆って、ケージの隣にトイレシートを置いてください。そして周りをフェンスで囲ってください。」とアドバイスを受ける。

「ケージをシーツで覆うと、そこが自分にとって安全な場所になり、寝床になります。

寝床では絶対にトイレはしません」と言う。

 

私たちはそんなことで、こんな臆病な子がケージから出てトイレをするのだろうか、と半信半疑。

言われた通りにして、梓と散歩に出た。

 

帰ってきたら、トイレシートにちゃんとしてあった。

嬉しくて涙が出そうになる。

そして、Ｉさんて、なんてすごい人なんだ、と感心する。

メイが来てすでに１週間が経っていた。

 

トイレ問題は解決したが、お散歩はどうするのか。

アリスの会からは、「家の中で歩く練習をしてください」と言われるが、ケージから出てこないのに、どうやって練習をすればいいのだろう、とまた悩む。

 

まだまだ子育ては始まったばかりだ。。。続く