非常に遠方にある銀河を発見する場合、電波で観測すると可視光や赤外線での観測に比べて非常に有利な点があります。通常、遠くにある物体ほど暗くなって見えます。ところが電波で観測すると、銀河は遠方になってもあまり暗くならない若しくはさらに遠くなると逆に少し明るくなるという現象が起きます。

 図は近く(赤方偏移 z~0)にあって星形成が非常に盛んな典型的な銀河 Arp 220が赤方偏移zの遠方に存在した場合に地上で観測される銀河のスペクトル(周波数毎の明るさ)の計算値です。
 これを見てわかるように遠く(大きなz)にあるほど明るさは暗くなりますが(下方に移動)、同時にピークの位置が左側にずれるために、たとえば周波数 300 GHz 付近では赤方偏移がz=1~10で明るさが変わりません。遠くにあっても暗くならないのです!さらに周波数が低いところ(< 300 GHz)では、さらに遠くなると(z > 10)逆に明るくなるのです!
 これが、南極望遠鏡の観測する電波が遠方にある銀河を発見するときの非常に大きな利点です。ちなみに、赤方偏移 z = 10 は約132億年前、z = 20 は約135億年前に相当します。中井(2017.5.4)
(図:Totani and Takeuchi, 2002, ApJ, 570, 470のスペクトルを基に平下博之氏が作成した遠方にある銀河を地上で観測した場合に期待される明るさ。薄赤の領域は南極望遠鏡の観測周波数範囲)

 

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