南極での星形成研究

　南極10mテラヘルツ望遠鏡を用いた観測では星の形成の研究にも大きな発見が期待されています。先のお話にもありましたように、星は宇宙空間にさまようガスが密集して作られると考えられています。このガスが密集することで星形成の現場は高密度で高温な環境下になります。このため、星形成のより密接な領域の状況、物理状態を理解するには、この高密度で高温な環境下に存在するガスの情報を明らかにすることが重要です。

　電波望遠鏡は宇宙から来る様々な電波を受けることができるのですが、受ける電波によって得意不得意があります。我々が進めている電波カメラで検出しようとしているテラヘルツの電波は、高密度や高温のガスの検出に非常に適した電波なのです。このため、このテラヘルツの電波観測が可能な南極で、この電波カメラを用いた観測をすることが非常に重要になってきます。

　南極10m電波望遠鏡による観測から、星が形成されているごく近傍の高温、高密度領域の物理状態を明らかにすることで、星形成の研究を飛躍的に進展させることができると期待しています。この高感度の電波カメラと高感度の大望遠鏡の特性を生かし、宇宙に存在する様々な特徴を見せる星形成の解明を進めていきたいと思います。齋藤