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通常医療が提供困難な状況で、1人でも多くの命を救うプロジェクト

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2024年07月02日 15:05

「令和6年能登半島地震」から半年。現在の被災地の様子と活動レポート

1月2日、捜索・救助活動を行った現場の現在の様子(2024年6月29日)Caption

 

空飛ぶ捜索医療団の活動を応援していただき、誠にありがとうございます。奥能登を震源とした「令和6年 能登半島地震」の発生から半年が経過した今も、珠洲市内を拠点に、現在も看護師をはじめとした支援チームが支援活動にあたっています。

 

街では、道路の復旧か進み、お店も徐々に営業を再開しはじめていますが、その一方で、がれきが撤去されていない地域や、未だに断水が続いている地域など、被災地にはまだ多くの震災の傷跡が残っています。

被災者に寄り添った支援を続けてきたからこそ見えてきた、現在の被災者を取り巻く課題や状況をお伝えします。

”問題がたくさんあり、どこから手を付けてよいか分からない”

珠洲市の高齢化率(65歳以上)は人口の5割以上を占める

石川県の調査によると、珠洲市では、65歳以上の方の人口が51.7%を占めています(2023年)。必要とする助けを求められず、必要以上に耐えてしまうことで、本来であれば適応できる制度へもアクセスできず、孤立してしまうことが問題となっています。

「共助」のチカラで、支援が行き届かない人々を支える

珠洲市では、全人口のほとんどの住民が被災しました。これは、被災者を支える行政の職員の方も例外ではありません。また被災による人口流出は、被災者を支える人員リソースの確保にも大きく影響しています。

私たちは、発災直後から市が運営する「保健医療福祉調整本部」の立ち上げから運営までをサポートし、現在も社会福祉協議会が運営する支援チーム「ささえ愛センター」と連携して戸別訪問やコミュニティ支援などを続けています。

「令和6年能登半島地震」地震回数は1,880回

珠洲市内にある避難所敷地内の様子(2024年6月29日)Caption

 

気象庁で定めた「令和6年能登半島地震」を対象とした震度1以上の地震が発生した回数は、2024年1月から6月までに合計1,880回を記録。回数のみを比較すると、この約半年で2023年に日本国内で発生した震度1以上の地震回数2,227回に対してすでに8割以上も発生しています。

また、国土交通省が実施した地震活動の調査では、1月1日に発生した最大震度7の地震の発生以降、地震活動は低下しているものの発生前と比較すると地震活動は依然として活発であるため、引き続き、強い揺れに注意するよう発表されています。

余震によって床に落ちた珠洲事務所に設置された時計(2024年6月3日)Caption

余震によって床に落ちた珠洲事務所に設置された時計(2024年6月3日)

令和6年6月3日(月)6時31分、またしても石川県能登地方を震源とするM5.9の地震が発生しました。現地に常駐している空飛ぶ捜索医療団のスタッフ全員の無事を確認しましたが、住民の方々の不安は計り知れません。現地スタッフは、市などと手分けして戸別訪問を実施し、住民の方々の安否確認などに奔走しました。

石川県珠洲市の現在の様子

空飛ぶ捜索医療団 珠洲市事務所付近(2024年6月29日)Caption

 

被害にあった建物の修復、がれき撤去の状況は?

珠洲市での家屋調査済件数のうち、全体の約1/4が「全壊」と判定されています。損壊が全くない家屋はわずか100件ほどしかなく、そのほか度合いに違いはあれどほとんどの家屋が損壊しています。

また、代わりの住居として仮設住宅への引っ越しを選択されるなか、その仮設住宅の建設自体が大幅に遅れています。仮設住宅への入居申込者数1,850件のうち、建設が完了している戸数は6月16日時点でわずか903件しかありません。仮設住宅がすべて完成する時期は今年8月末を予定しており、避難所などで暮らす人々が日常を取り戻すには更なる長い月日が必要です。

【避難所支援】遅れる仮設住宅の建設。未だに避難所生活の住民も。

珠洲市内の避難所は現在も25カ所開設されており、合計370人以上の被災者の方々が不自由な暮らしを強いられています。また避難所の運営管理は、本来それぞれの避難所ごとに自治体が主体となっていますが、実際に暮らしの場として避難所が機能するためには、あらゆることを管理運営していくことが必要です。

私たちは、市が避難所として指定している「指定避難所」、住民たちが集会所などに自主的に集まり暮らしている「自主避難所」など、形態にかかわらず、運営管理を行っているそれぞれの自治体から日々の運営に関わる課題のほかにも些細な問題などの相談を受け、必要に応じて物資支援なども続けています。

私たちが培ってきた避難所支援での経験や知識を活かして、自治体のサポートを行うことで、可能な限り住みやすい生活環境を維持できるよう取り組んでいます。

【仮設住宅支援】入居後の「孤立」を防ぐ

住み慣れた地域コミュニティや避難所での共同生活を離れ、仮設住宅へ引っ越した方々が抱える重要な課題の一つとして「孤立」があります。

仮設住宅への入居によって日常に落ち着きを取り戻せる半面、震災で目の当たりにした悲惨な記憶が蘇ってしまったり、将来への不安に対して独りで悩みを抱えてしまうことで、深刻な精神疾患や持病の悪化を招いてしまうおそれがあります。

最悪のケースでは、悩みや身体の不調を訴えることが出来ないまま、人知れず自ら命を絶たれてしまう場合(災害関連死)も少なくないことが、過去の災害からも明らかになっています。(参照:厚労省|東日本大震災仮設住宅住民における自殺念慮の疫学調査

仮設住宅の集会所で行った和菓子作り教室(2024年5月23日)

空飛ぶ捜索医療団では、発災直後から被災者の方々に寄り添い、仮設住宅に移り始めた当初から戸別訪問を実施。今では入居する方々を対象に和菓子教室やお茶会など様々な催しを企画して、皆さんが気軽に立ち寄れる場を提供しています(コミュニティ支援)。

仮設住宅の暑さ対策のためのグリーンカーテン設置イベント(2024年6月30日)Caption

こうした催しものが、ささやかな日常会話を重ねる場となり、また仮設住宅への入居をきっかけに初めてお隣同士になられた方々との新しい関係性づくりにも繋がっていくことを願っています。

また、空飛ぶ捜索医療団の看護師が地域医療の知見も活かし、保健医療福祉の視点を軸にした生活相談にも定期的に取り組んでいます。「眠れていますか?」「持病の通院には通えていますか?」と近況を伺い、ときには血圧測定を行ったり最近の困りごとを伺うなど、生活環境の変化で起こりがちな不調を防げるように直接出向いて対話を重ねています。

【自宅避難者支援】戸別訪問で見えた格差

支援制度の狭間で被災者にのしかかる家計への圧迫

「全壊」や「半壊」と判定され、国などから出る補助金などの制度がいくつかありますが、その制度の対象外となった世帯、つまり制度から漏れて公費の補助がなく、自力で復旧・修復を余儀なくされている世帯(準半壊や一部損壊)は、珠洲市内だけでも約5,000件存在しています。その世帯ごとの経済状況や家庭環境は様々あり、抱える事情により復旧・修復作業や手続きを行うこと自体が容易なことではありません。

北陸地方でもつい先日、梅雨入りが発表されました。屋根の瓦が落ちて雨漏りする家屋で暮らす自主避難者のなかには、修理の手配が追いつかずブルーシートで屋根を覆うことで雨露をしのいでいます。このブルーシートも3ヵ月ほどで劣化してしまうため、修理ができるようになるまでに大きな負担がのしかかります。

空飛ぶ捜索医療団の看護などの現地スタッフが、市や社会福祉協議会が運営する「ささえ愛センター」と連携して被災状況などを把握し、住民が戸別に抱えている課題への伴走支援を行っています。

戸別訪問を通じた食事の支援や物資支援をはじめ、煩雑な法的手続きへの相談やサポートなども行い、被災者でもある市の職員の方々のサポートとなれるよう、日々取り組んでいます。

空飛ぶ捜索医療団 現地活動スタッフ紹介

橋本笙子
ピースウィンズ・ジャパン国内事業部 次長
珠洲市復興計画策定委員会有識者会議委員

現在は発災直後の物資支援や医療支援とは異なり、ただ目で見るだけでは分からない課題も増え、報道もされにくくなっています。被災地では7月に入った今でも水道が復旧していない地区も多く、順調に復興が進んでいるとは言い難い、苦しい環境の地域もあります。また、生活再建のための公的制度では、”方程式”では簡単に解決することのできない課題も多く抱えています。

今後も、これまでの経験や知見を活かし、被災者の方々に寄り添い、ともに歩んでいきたいと思います。

木下真由香
空飛ぶ捜索医療団 看護師
珠洲事務所 現地事業担当

私は看護師として保健医療福祉の観点を軸に被災者を支える活動を行っています。

災害から生き延びた人々の命を脅かす「災害関連死」を防ぐためには、仮設住宅など生活の場が変化を迎えている今こそ、支援活動を強化していくことが重要です。引き続き、コミュニティ支援や戸別訪問などを継続し、人々の健康を守っていきたいと思います。

 

 

復興までの道のりは長く、被災者の方々の不自由な生活は続きます。「必要な人に必要な支援」を届け続けるために、皆さまのあたたかいご支援をお願いいたします。

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