プロジェクト概要

バリ島のアニマルシェルター

 

はじめまして、澤田真一と申します。一介のフリーライターとして各企業様から依頼をいただき、身を立てている者です。東南アジアの経済情報などを記事にする機会があり、そのためインドネシアにもたびたび渡航しています。

 

バリ島デンパサールに『Pondok Perlindungan Satwa Bali』(以下PPSB)というアニマルシェルターがあります。このPPSBを運営するのは、ジャワ島スカブミ出身のベラ・ボニータという女性です。ベラは、あるひとつの目標を胸に抱いています。

 

それは「バリ島から野良犬をなくすこと」です。

 

ジャワ島スカブミ出身のベラの目標は「野良犬ゼロ」だが、現実は……。

 

アニマルシェルターという施設は、日本でも少しずつ認知度が上がっています。欧米ではもはやスタンダードな存在で、これから犬を飼いたいと考える人はまずシェルターへ顔を出します。

 

『ロッキー・ザ・ファイナル』という映画があります。ロッキーシリーズの第6弾です。その中でロッキーは「パンチー」と名付けた犬を飼い始めますが、そのパンチーはペットショップではなくアニマルシェルターから引き取った動物です。

 

この施設はそれだけ一般市民と近い距離にあるということですが、残念ながらインドネシアではそうしたことが難しい状況にあります。

 

ベラがアニマルシェルターに入った途端、すべての犬が屋内から飛び出しベラに駆け寄った。

 

突然の退去命令

 

バリ島には「バンジャール」という地域コミュニティがあります。敢えて日本語に訳せば「町内会」あるいは「組合」でしょうか。ですが、インドネシアでは「犬を保護する」という概念があまりにも希薄です。ベラの運営するPPSBは、ある日突然バンジャールから退去命令を下されました。

 

PPSB、というよりもアニマルシェルターという施設が、いかにその地域に貢献しているか。そうしたことが一切理解されず、PPSBは命令に応じざるを得ませんでした。当然ながら、その活動も大幅な縮小を余儀なくされています。

 

これだけの犬の保護には、当然ながら莫大な苦労と資金が必要になる。

 

ここで、「なぜ衰弱した動物をわざわざ助けるのか」という問いかけに立ち返ってみましょう。動物たちが可哀想だから? いいえ、違います。都市衛生のレベルを保つためには、「動物の管理」が必要不可欠だからです。

 

日本では飼い犬の登録と狂犬病予防ワクチンが、法律で義務付けられています。それ以前に、ブリーダーたちの常識として「登録とワクチン」という言葉が意識に焼き付いています。ですが、インドネシアではそうしたことがほとんど徹底されていません。そのツケが、人への狂犬病伝染という形で降りかかっています。

 

バリ島にはキンタマーニという地域があり、そこはキンタマーニ・ドッグの原産地でもあります。しかし彼の地では、犬が土産物屋で売られているという光景が繰り広げられています。

 

動物を売る以上は保健当局の厳正な管理下に置かれなければならないのですが、都市衛生の概念が未成熟の国ではそうしたことはほとんど施されていないのです。

 

ベラはイスラム教徒。だが、毎年行われる家畜屠殺の宗教儀式は「直視できない」そうだ。

 

犬を食べるバリ市民

 

さらに、バリには今も犬食文化があります。

 

「その民族が何を食べるか」の議論は、下手をすれば国際問題に発展してしまいます。ですが、バリの犬食は極めて危険な行為と言わざるを得ません。

 

この問題については、私の同業者でかつ生涯の恩人でもある岡昌之氏がすでに記事にしています。伝統文化とは、現代人の健康と都市衛生に調和していなければならないのですが、岡氏の記事を読む限り決してそうではないようです。

 

そもそも、狂犬病という人獣共通感染症が蔓延する限り、犬肉は決して他人に勧められるものではありません。にもかかわらず肉の卸売業者は、その犬が狂犬病にかかっているか否かということなどまったく考えないのです。

 

日本とオーストラリアに就労していた経験から、「先進国の動物管理」について考えるようになった。

 

インドネシアという国は、国民の知識レベルが均質ではありません。いくら保健当局や学者が警鐘を鳴らそうと、「狂犬病はウィルスが原因で発病する」ということすら知らない人もたくさんいます。

 

偉人がいたからこそ

 

「病気は呪いではなく、人間の英知で乗り越えるべきもの」

 

我が国日本の場合は、そうした意識を大衆化させるために幾人もの偉人が血と汗と涙を流しました。

 

170年前、緒方洪庵先生は人々の偏見に苛まれ石をぶつけられながらも、天然痘ワクチンを普及させました。その後、我が国初の細菌学の権威である北里柴三郎博士が、まさに命がけでペスト菌や狂犬病ウィルスの感染経路を解明し、同時に都市衛生の重要性を訴えました。

 

日本で育った人は、このふたりの偉人の影響を必ず受けています。

 

ところがインドネシアでは、「病気は呪いか天罰だ」という概念が未だにあり、お祓いで街を清めれば病気もなくなると考えられています。

 

犬にワクチン注射。こうしたことは、日本では北里柴三郎博士と梅野信吉博士の尽力で「常識」となった。

 

こう言うと、間違いなく大きな反発を受けます。ジャカルタに住んだことのある日本人からも「インドネシアはそんなに後進的な国じゃない。澤田は現地の人をバカにしている!」と言われるでしょう。

 

ですが、この国は大都市とその他の地方島嶼地域とで住民の知識量に大きな格差があります。日々新しい知識を吸収できる環境にある人は、インドネシア国民の何割ほどでしょうか。

 

ベラのPPSBは、知識の近代化と無縁の人たちからは「わけの分からない団体」「ヨーロッパかぶれの女が奇妙なことをやっている」という感じにしか映らないのです。

 

PPSBの動物たちは、当然ながら全頭ワクチン接種が施されています。逆に言えば、PPSBがなくなったら野良犬にワクチンを施している希少な団体がひとつ消えてしまうということです。

 

かつて我が国で緒方先生や北里博士が歩んだ稜線を、ベラは目の前にしています。ですが今、PPSBは存続の危機にあります。まずは新しい活動拠点と運営費用の目処をつけなければ、都市衛生確立のための活動は頓挫してしまいます。

 

この写真を撮影した時点で、すでに退去命令が下され仮拠点への移動を余儀なくされた。

 

アニマルシェルターは「個人の道楽」か

 

もっとも、アニマルシェルターが市民権を得ていないというのは日本でも当てはまります。

 

ですが犬という存在は、今や社会的地位を確立しています。警察犬や盲導犬などもそうですが、2011年の東日本大震災以降はセラピードッグの存在も注目されるようになりました。現在、日本を含めた各国政府はこのセラピードッグの育成に力を入れています。被災地だけではなく高齢者施設、障害者施設などでもセラピードッグが大活躍しています。

 

彼女が見つめているのは、祖国と先進国との都市衛生の落差だ。州政府には半ば失望しているという。

 

我々の祖国日本に貢献している犬が、これだけいるのです。それを踏まえたら、「犬を飼うことなど道楽に過ぎない」とは決して言えません。

 

そしてその下地にあるのが、アニマルシェルターです。

 

まずは50万円

 

今回、目標設定額は50万円にさせていただきます。本格的な活動を再開させるための最低額が、各費用込みで50万円ということです。

 

ただ、正直に言えばこの額ではまだ不安が残ります。

 

「『子供たち』のために、私は諦めない」が口癖のベラ。

 

調達額が大きければ大きいほど、PPSBはより安定したアニマルシェルターとして存続できます。狂犬病撲滅のための基金を設立することや、州政府に活動の意義を訴えることも額によっては可能になります。

 

そして何より、「アニマルシェルターが日本で巨額の出資を集めた」という既成事実があれば、市民の心は間違いなく動きます。徒党を組んでひたすら利益誘導を求めるだけの姿勢から、立ち上がって地域発展に乗り出すきっかけが生まれるはずです。「寄付があること自体が重要」だと、ベラも申しております。

 

まずは3,000円から、あなたの温かい支援をPPSBに施してください。

 

皆様から集めた資金は、澤田真一が責任を持って現地に届けます。私は、このプロジェクトに全身全霊をかける決意です。資金を出していただいた方々には、薄謝ながら私とベラから贈り物をさせていただきます。

 

どうか何卒、よろしくお願い致します。


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