2017年11月18日武蔵台病院にて

 

皆さんの話を聞いて今とても感激しています!

 

レインボーチルドレンの取り組み、そして日本チベット学生会議の開催に対して、感激の言葉を仰ってくださった西蔵ツワンさんへのインタビューレポートです。

 

 

「懐かしいなぁ〜!」
毎日大学に通うために使っていた西武池袋線。もう25年前にもなるのかぁ。

と思い出に浸りながら、池袋から急行電車に揺られて約1時間、埼玉県日高市にある武蔵台病院を訪れてきました。
 

武蔵台病院は、最寄駅の高麗駅から徒歩で10分ほど、自然に囲まれた長閑な場所にあります。

 

こちらの武蔵台病院の院長でいらっしゃる西蔵(にしくら)ツワンさん(65歳)。流暢に話す日本語と優しそうな風貌からは、同じ日本人と全く見分けがつきませんが、実は日本に帰化した元チベット難民です。

 

 

1965年に13歳でチベット難民の第一号留学生として来日

 

先日毎日新聞に掲載されていたツワンさんの記事を読んで、ぜひレインボーチルドレンとしてお話を伺わせていただきたいと連絡を取ったところ、快諾のお返事をいただき今回訪問の機会につながりました。

 

1965年に13歳でチベット難民の留学生として来日したツワンさんは、今では在日チベット人のリーダー的存在です。しかし来日するまでの道のりは想像を超える困難の連続でした。

 

ツワンさんの留学を控えた1965年冬、インドの写真館で撮影した家族写真

 

------------------------------
1959年の中国政府によるチベット支配に抵抗した『チベット動乱』を期に、ツワンさん一家はダライラマ法王を追ってチベットを離れ、1ヶ月かけてヒマラヤ山脈を越えてインドに亡命。また、チベットから持ち込んだ全財産を知人に騙し取られ、インドでの生活は裸電球一つの極貧生活を強いられます。そんな生活の中でも「形ある財産は残せないが、学問を身につけてほしい」と教育に熱心だったお父さんの思いを胸に、ツワンさんは勉強に励みます。そしてチベット亡命政府が海外で積極的に若者を学ばせる方針を打ち出した時、成績が優秀だったツワンさんは日本への留学メンバー5人の中に選ばれたのでした。
(毎日新聞2017年11月12日_デジタル版 https://mainichi.jp/articles/20171112/ddm/001/040/127000c
------------------------------

 

とにかく必死で日本人の2倍勉強しました

 

日本で医師として働けるようになるには、日本人の2倍の時間をかけて必死で勉強をしてこなければならなかったそうです。

 

一緒に来日した4人の男子留学生も共に励まし合いながら頑張り、中学・高校・大学と進学し、2人は医師、そして政治学者、大使館職員、SPとそれぞれのエキスパートの道へと進みました。

 

だからこそ、来日するチベット留学生の気持ちは、ツワンさんには手に取るように分かります。ツワンさんは「日本に来た留学生は寂しい思いもしたり気持ちが落ち込むこともあるが言ってもらえればアドバイスはいくらでもする」と仰ってくださっています。

 

日本人の2倍の時間をかけて必死で勉強をしてきたと語るツワンさん


チベット人は医療や介護が適職

 

医師としての思いもツワンさんにはありました。

 

「日本の医療の現場は現状高齢化していて、日本政府としては海外からの雇入れをしたいと考えている、その受け皿となるパイプもあるので、看護師や介護士としてチベット人も呼びたい。」

 

今、移民先のヨーロッパや米国で医療従事者として働くチベット人は周りからものすごく評判が良く、そもそも利他主義が浸透しているので、患者さんとの接し方が違う、まさに適職だそうです。


「チベット人のものの考え方は、困っている人に限りなく尽くすというのが基本なので、他人から見ても素晴らしいと思うでしょうし、患者さん自身からも評判が良いんです。」

 

という話を伺って、今レインボーチルドレン奨学生の中で看護師を目指して勉強している子供たちは、将来世界中で重宝される存在になるのは間違いないと思いました。これから、看護師や介護士になる奨学生を増やし、日本へも呼びたいですね。

 

困っている人に限りなく尽くすチベット人看護師は世界で評判が高いんです

 

これまで無かった日本とチベットの学生交流の場

 

そして100名のチベット人奨学生を支援する数値的目標を達成した今、レインボーチルドレンの想いも伝えました。

 

卒業後の彼らの未来を考え、世界の行った先々で周りを照らせる人間になって、リーダーとしてどんどん世界に羽ばたいて欲しい。しかし、ビザが下りにくいチベット人奨学生の代わりに日本人学生がインドへ赴き、『日本チベット学生会議』を来年春に開催する予定をお伝えすると、ぜひ開催して欲しいとレインボーチルドレンの取り組みにも賛同していただきました。

 

これまでチベット学生と日本の学生が交流する学生会議はなかった

 

また『日本チベット学生会議』は、2020年開催予定の『アジア学生会議』につながっていることもお伝えすると、その時には中国からの参加を含めてぜひ実現して欲しいとの思いも。

 

もともとツワンさんは、中国人とチベット人の対話に対する強い願いを持っていました。実際にツワンさんは、在日中国人チベット人友好協会の会長もされています。

 

2020年に開催予定の『アジア学生会議』は、チベットを含む異なる民族が一堂に会することに意味があります。
若いリーダーの卵たちが地球規模で問題解決に向き合うこの取り組みは、非常に意味のあるものだと確信しました。

 

日本は立ち位置的にその間に入ってできる民族なんですと語るツワンさん

 

ツワンさんの言葉は、自分たちの想いを伝えるのでなく、常に相手のことを考慮した上での発言です。実際にツワンさんにお会いして感じたのは、チベット人特有の温かく包み込むようなオーラでした。

 

私たちが年に2回訪れているインドのダラムサラには、同じようなオーラを感じさせてくれるチベット難民の方々が多数生活しています。

チベット人の思想の根底には、チベット仏教の『利他の精神』があります。
この思想が日々の生活の中に根付いているため、もともとチベット人にとっては自然と体に染み付いているものなんですね。
 

 

「世界のチベット難民が今いる場所でエキスパートを目指す。それには教育なんです。今はそうしてエネルギーを充填する時期なのです。」

 

52年前にダライ・ラマ法王の期待を受け来日したツワンさんに、インドにいるチベット奨学生100名と、彼らに会いに行く日本人学生20名に対するメッセージ動画の撮影をお願いしました。

 

それが終わり、帰ろうと病院のエレベーターに乗った時、こんな光景に出くわしました。


車椅子に乗せられた入院患者さんが一緒になったのですが、患者さんがツワンさんに握手を求めてきたのです。
この患者さんは病気のため言葉は発することができませんが、ツワンさんと握手ができて満面の笑みを浮かべています。

 

「気をつけてね。頑張ってね。」

 

ツワンさんも患者さんに優しく語りかけます。
とても自然に、そして当たり前のように。
ツワンさんが周りの人々や患者さんたちに日々どのように接しているのか、ツワンさんの人柄を象徴するような光景でした。

 


院長としてご多忙の中、1時間以上も私たちのために時間を割いていただき、しかも最後は病院の入口まで送ってくださったツワンさん。

 

2020年に開催予定の『アジア学生会議』は、ツワンさんの長年の願いにもつながっていることがわかり、レインボーチルドレンとして必ず成し遂げなければと、改めて決意させてもらうきっかけをいただきました。


(副代表:北條直樹)

新着情報一覧へ