水槽が設計されるまで①～第三者委員会の設立と事故原因調査報告書～

　現在、新しい水槽の設置工事が行われ始めているビワコオオナマズ水槽とコアユ水槽。これらの水槽は、前回のクラウドファンディングでアクリルパネルを交換した水槽と異なり、その姿かたちが大きく変わります。これから複数回にわたって、新水槽の設計が完成するまでの経緯をお伝えしたいと思います。
　2023年2月のオオナマズ水槽破損事故の後、水族館の水槽の構造や水族館の設計に詳しい有識者らが委員となった「滋賀県立琵琶湖博物館水槽破損事故に係る第三者委員会」が設置されました。複数回におよぶ会議や協議の結果として、同年9月「滋賀県立琵琶湖博物館水槽破損事故原因調査報告書」が提出されました。
　事故が起きた原因は複数の要因が重なって生じたと推察されています。おそらく塗料によって生じたアクリル表面の小さなヒビ、アクリルは特性として吸水・水圧により膨張しますが、それを抑え込んでしまった水槽外側の擬岩・鉄骨や水槽下部に設置された巾木などの構造物。こうしたものが積み重なった結果、ヒビが大きく走り、バランスを崩し、大破したと考えられています。
　しかしながら、個々の原因が生じてしまったのは、設計・設置工事当時に、建設業者、アクリル業者、展示業者、県（博物館）との間での連携、情報の共有が不十分であったことが根幹にあると、この報告書にて述べられています。そのため、私たちは、水槽の設計が始まり、工事が行われ、水槽が設置され、展示が完成するまで、そこにかかわる人たち全員でしっかりと情報を共有し、連絡を取り合いながら、安心で安全な水槽をつくるために業務にあたっています。
　詳しい内容は当館ホームページにもPDFファイルとして掲載されている調査報告書を読んでいただければ幸いです。次回は、新水槽の設計が始まり、どういう経緯で新しい水槽の形が決まったのかをお話ししたいと思います。

調査報告書はこちら：https://www.biwahaku.jp/2023/09/post_154.html

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