寸進尺退

 こんにちは。しょうぶ学園の福森伸です。私たちが創る新施設「Bushland House」のためのクラウドファンディングが、12月22日、ついに目標額達成となりました。深く感謝いたします。ご支援をいただいた方、応援くださっている方、改めて心より御礼申し上げます。ありがとうございます。プロジェクトは 12月27日まで続きますので、それまでチャレンジを続けたいと思います。

 さて、しょうぶ学園では毎年、その年の標語を四文字熟語で表しています。新施設が始まる記念すべき2018年の標語が決まりましたので、今日は「Bushland House」への決意を標語に絡めて、お話しさせてください。

 老子の言葉に「寸を進まずして尺を退く」という教えがあります。こちらが押せば、相手も押し返してくる。こちらが攻めようとすれば、相手も攻め返してくる。敢えて攻め手とならず受け手となり、無理して僅か「一寸」前進することよりも、はっきりと退いたことが分かるよう「一尺」は下がりなさいと。

 今年は、新事業開設へ向かうという新しい局面に向かう年。直感的に思いついた言葉は謙虚である年であろうと、これは平成30年の標語にと思い、四文字熟語の「一進尺退」を辞書で調べてみた。「少し進んで、多く退くこと。得るところが少なく、失うところが多いこと。」「利益よりも損害のほうが多いことのたとえ。」とある。

 

 ここでは、あまり前向きな良い意味ではない。ふさわしいとは言いがたい。しかし、今は敢えて、頭でっかちな知識や情報が選考しがちなこの時代に、「理性より感性に頼る」ことを利用者から学びつつ、結局この標語に決めた。

 


 新施設「Bushland HOUSE」に向けて課題や不安は多く、やらなければならないことが山積する中、成功に向かってひたむきに取り組まなければならないのがセオリーだ。経営として、後ろに下がる目標を立てるのは大きな矛盾かもしれないのだが、私が考える最善の状況とは、難しいときには身の程を超えず、飽和状態の水(エネルギー)が溢れこぼれないように、法人の力に余力を作ること。つまり次へのエネルギーの溜まりを作るために目標の達成が遅れたとしても、十歩退くことが大切だと直感した。

 

 "退く"ということは、むしろ、逆に信念を守ることであり、今は俯瞰的に将来を大きくみるのではなく現実をしっかりと受け止め、日々やるべきことをまじめにこなしていくこと。そしてわかりやすい"成功"を目指すのではなく、その信念を形にするために攻められても十歩までは下がれるように自分自身の懐を深くしていく時であると。

 一般的に、企業の経営目標は、常に前年度より目標を上に掲げ、その会社の目標に人の力を引き上げていくことが常識である。つまり、会社に人が合わせることが重要で、人や局面が変わっても会社の目標は変わらない。

 

 社会福祉法人の経営はそうではない。人や局面が変われば、一生懸命に向きあっていてもその目標と質と量も変化するものだ。会社に人を合わせるのではなく、会社が人に合わせることも必要なことだとつくづく思うところである。ただし、たとえ時に利益が減ったとしても、利用する人や働く人間のその人なりの精神性が、より高いところに向かう心意気を大切にしたいと願うところである。

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