プロジェクト概要

 

新しい映像手法の研究を結実させた
短編映画群 " filmlet C " の第1作目を製作したい

 

短編映画群 " filmlet C " は、東京藝術大学大学院映像研究科の佐藤雅彦教授と、佐藤雅彦研究室卒業生からなる映画研究プロジェクト「c-project」が生み出す短編映画の作品群です。私たちc-projectは、新しい映画表現の研究を目的として2011年から活動を始め、「手法がテーマ性を担う」というコンセプトのもと、日々、映画表現の研究・製作に励んでいます。

 

これまで、2本の短編映画「八芳園」「父帰る」を製作してきました。そして今回は、その発展として短編映画群 " filmlet C " の製作を企画しており、皆さまのご協力のもとその第1作目を製作したいと考えています。

 

新しい「映像手法」による映画作品を世界に投げかけたい、その一歩としてカンヌ国際映画祭パルムドールを目指しています。

 

< c-project >

佐藤 雅彦  東京藝術大学大学院映像研究科教授

関 友太郎  東京藝術大学大学院映像研究科 佐藤研5期生

豊田 真之  東京藝術大学大学院映像研究科 佐藤研5期生

平瀬 謙太朗 東京藝術大学大学院映像研究科 佐藤研5期生

木村 優作  東京藝術大学大学院映像研究科 佐藤研9期生

 

週に1度開催される c-project 研究会

 

何を伝えるかではなく、どう伝えるかに興味があります。
         —— 新しいコミュニケーションを作りたい

 

この映画プロジェクトのリーダーを務めます佐藤雅彦です。私の研究室の大きなテーマのひとつに、新しい表現手法を用いて新しいコミュニケーションを生み出すということがあります。

 

大学に研究室を持つまでの約30年間

 

そもそも、私自身、大学に研究室を持つ前から、ずっと、この事を実験的にやってきました。例えば、TVーCMでは、どうやったら、その商品名が伝わるか、商品特徴が伝わるか、キャンペーン名が伝わるか、などを目的にして、新しい表現手法を生み出し、それによって、ポリンキーやドンタコスと言ったスナック菓子のCMやサントリーのモルツやトヨタのカローラⅡやNECのバザールでござーるといったCMを作ってきました。書籍でも、どうやったら、経済学や哲学や数学が伝わるかということを目指して、「経済ってそういうことなのか会議(日本経済新聞社)」「プチ哲学(中央公論新社)」「日常に潜む数理曲線(小学館)」などを著しました。

 

PlayStation ソフト「I.Q」も、冷静なる判断力を養うために、どのような表現にしたらいいのかという観点から開発しましたし、NHKの幼児教育番組「ピタゴラスイッチ」に至っては、子供たちに知識ではなく、考え方・作り方というものをどうやったら伝えられるかということを目的にして、すべての番組コーナーが企画・構成されています。例えば、アルゴリズムという考え方を伝えるために「アルゴリズム体操」や一対一対応という考え方を伝えるために「おとうさんスイッチ」といった手法を考え出したのです。これらは、ほんの一握りの実験例に過ぎません。

 

これらの例のように、今まで行ってきた表現活動は、すべて何かを伝えるためのものでした。その為に、数多くの手法を研究・開発してきたわけです。しかし、その活動を通じて、新たなテーマが見えてきたのです。単なる伝えるためだけの手法が、それだけに留まらない可能性を持っていることが見えてきたのです。それが、この c-project で行いたいと思っていることなのです。

 

TV-CM「ポリンキー」 / TV-CM「NECのバザールでござーる」 / PlayStationソフト「I.Q」

 

手法がテーマを担う

 

私たちc-projectは、何故ここまで表現手法にこだわるのでしょうか。その大きな理由のひとつは、冒頭に書いたように、新しいコミュニケーションを生み出したいからです。ちょっと固くなりますが、コミュニケーションというものを定義すると、次のようになります。

 

【コミュニケーション】情報を「何らかの方法」で送り手から受け手に移動させることによって、両者の間に意味の共有を図ること 

 

つまり新しい表現方法を作れば、新しいコミュニケーションが生まれることになります。言い換えれば、今までは、とても伝えることの不可能だと思われていることも、もし新しい方法によって伝えられるようになれば、その時初めて、その価値やテーマが見えるようになるのです。

 

これが私たちが、標榜している「手法がテーマを担う」ということなのです。


その具体例として、私たちc-projectが初めて作った短編映画『八芳園』があります。この映画の詳細は、この後で説明しますが、この中で、今まで映画を含め、どんな表現でも表すことが難しかった「ある時間」が、この映画ならではの手法により再現されています。この映画は、それを評価され2014年度カンヌ国際映画祭の短編部門で3450本の応募から招待上映9作品のうちのひとつに選ばれました。残念ながらパルムドール獲得には至りませんでしたが、映画制作が初めてだった私たちを、カンヌに連れて行ってくれたのは、この「手法がテーマを担う」というc-projectの考え方だと信じています。

 

短編映画『八芳園』撮影の様子

 

これまでの活動:c-project の短編映画2作品

 

私たちc-projectは、これまでの活動として、2本の映画を完成させています。

 

1本目は、2014年に完成し、第67回カンヌ国際映画祭短編コンペティション部門にノミネートされた『八芳園』という短編映画です

 

私たちは、人生においてごく稀に「どう振る舞えばいいのか分からない局面」に遭遇することがあります。例えば、特に役目を与えられてない儀式に参加している時とかです。この映画では、日本の結婚式の最中に生まれる、そのどうしようもない時間帯を、特殊な手法によって表現しています。全編にわたって人物を正面から捉えたバストショットのみによって構成され、セリフもほとんどないため、観客は画面に映る人物たちと同様に、どうしようもない時間、埋められない時間を過ごすことになります。それは、我々が誰しも経験していながら、普段はなかったことにして生活している特殊な時間なのです。

 

また、映画の内容と映画館の構造が同型を成していること自体が表現の一旦を担っているため、基本的に「上映」という形以外では公開していない作品です。

 

八芳園(2014年 / 12分) 第67回カンヌ国際映画祭短編コンペティション部門正式出品

 

2本目は、現在各国の国際映画祭にエントリー中の中編映画『父帰る  候補者 No.1-No.63 』です。

 

この映画は、実際に行われた映画のキャスティング・オーディションの記録映像を編集して作られた劇映画です。そのため、これはフィクションであると同時にドキュメンタリー作品でもあります。

 

原作は、菊池寛の『父帰る』。家を出て行った父と、残された長男、次男、長女、そして彼らの母。そんな一家5人に訪れたある宿命的な一夜の出来事を、この作品では総勢63名の役者が演じます。本来であれば一人が演じる役を複数人のオーディション参加者が紡ぐことによって、それぞれのキャラクターは役者の身体を離れ、鑑賞者の中に像として立ち上がります。この手法は、映画の新たな可能性としての文学的表現への挑戦であると同時に、この家族の物語が、誰にでも(あなたにも)置き換え可能なものかもしれないということ示唆しています。

 

父帰る 候補者No.1-No.63 (2016年 / 36分)

 

アイデアはどんどん湧いてくるのに製作できるものには限りがあります。

 

私達の活動は週に1回のペースで開催され、研究会を通じてさまざまな映画企画が生まれます。しかし、そのすべてが実際に製作できる訳ではありません。映画の製作には大変な費用がかかり、私達が研究会を通じて生み出した企画のほとんどは、まだ映像化する事ができていません。

 

過去2作では自己資金で製作を行いましたが、今後も継続的に製作を続けていくためにはその体制も限界を迎えつつあり、日々映画の研究と企画に励んでいました。そこで今回の短編映画群 " filmlet C " 製作プロジェクトを開始しました。

 

 

現在、短編映画群 " filmlet C " は構想段階ですが、具体例として以下にそのいくつかを紹介します。

 

[ カメラの授業 ]

美術高校の授業。生徒たちがフィルムカメラを手に課外授業へと繰り出していく。

劇場全体をカメラとして捉え、静止画と音声で物語が進む。

手法:Cinema = Camera

 

[ 認定眼鏡士の世界 ]

ある男の人生に起きたできごとを、数年にわたって交わされた認定眼鏡士との会話だけをつなぐことで浮かび上がらせる。全編主観映像のため、主人公の顔は最後まで映らない。

手法:主観映像(POV), フォーカス(Focus)

 

[ 修学旅行 ]

中学校の修学旅行。生徒たちの投票により”沖縄”か”北海道”のどちらかに行き先が決まった。旅先で繰り広げられる生徒たちのドラマが、どちらか一つに決まったはずの沖縄と北海道の二つのロケーションを縦横無尽に行き来しながら描かれる。

手法:アクション繋ぎ, マルチシナリオ

 

打ち合わせは黒板を使いながら行います

 

[ 誰も口を開かないサスペンス映画 ]

全編リアクションカットのみで構成。映画内で言葉(セリフ)を発する人は映さず、会話はあるものの常に聞き手の表情だけを見せることによって、独特の緊張感を生み出す。

手法:ノンリップシンクロ

 

[ 有料双眼鏡 ]

展望台で有料双眼鏡を覗く人と、覗いた先で起こる出来事、2つの場面だけで構成される。覗いた先の世界は、遠く音は聞こえないため、セリフに頼らない(ノンヴァーヴァルな)物語表現。

手法:主観映像(POV), ノンヴァーヴァル, 望遠撮影

 

[ 6つの銀行強盗 ]

様々な場所、時間、人で起きた6つの銀行強盗を、編集で時間軸に沿ってバラバラにつないでいき、総体として一つの”銀行強盗”を描く。

手法:アクション繋ぎ

 

アイデアがぎゅっとつまったノート

 

これらの映画企画は、今までに出た企画のほんの一部でしかありません。私達は、これらの映画企画をもとに、短編映画群 " filmlet C " を作ることを構想しており、その一作目の制作に取り掛かるために、今回のプロジェクトを起案しました。


今回の目標金額は短編映画を一本作るための制作費の一部と想定していますが、もちろん想定よりも集まった場合には、更に次の制作費への利用を考えており、より多くの企画を実現に繋げていきたいと考えています。

 

自然体で議論が行われます

 

表現手法を突き詰めた芸術映画をつくるこのプロジェクトが
若手のチャレンジの後押しになれればと考えています。

 

今回のプロジェクトでは、新たな表現手法による映画作品をもって世界に投げかける。その場として、実験的な精神を評価する「カンヌ国際映画祭パルムドール」を目標にしています。新たなコミュニケーション、つまりは、新たな表現によるこれまでになかった映像の価値を生み出していきたいと考えています。

 

また、今回c-projectとして映像・表現の可能性を探求し、世界から評価されることは、少なからずこの後の映画マーケット、特にじっくり各国の映画祭で評価されながら公開に至る芸術映画などに影響を与えることができるでしょう。海外に比べて、芸術映画への認知・期待度が高くなかったり、スポンサーがなかったりと、若手のチャレンジ機会が著しく少ないのが現在の日本という認識です。

 

これからを生きていく若者たちが、もっと自由に・深く突き詰め、表現ができる社会をつくっていくためにも、その一歩を踏み出そうとする私たちのチャレンジを応援してください。

 

多くの人のチャレンジを後押しできるように

 

 

◇◆◇ご支援金の使用用途◇◆◇

皆さまからご支援頂いた500万円は、短編映画群 " filmlet C " の一作品の製作に充てさせていただきます。

 

◇◆◇ご支援頂いた方々へ◇◆◇

ご支援頂いた方々へのリターンとして、私達が予定しているものの中から、いくつか主要なものを以下に紹介させて頂きます。

 

[ 完成試写会招待 ]

短編映画群 " filmlet C " の第一作目として、本起案にて製作した短編映画の完成試写会に2名一組で御招待します。

通常、映画の製作にはとても時間がかかりますので、本映画も2019年5月に開催されますカンヌ国際映画祭を目指して製作を予定しています。そのため、試写会の開催は最も遅かった場合は2019年5月頃になる可能性がございます。開催時期が確定しましたら新着情報にてお伝えさせて頂きます

 

[ c-project過去作品試写会招待(c-projectによる解説付き) ]

c-projectの過去の活動である、2本の短編映画(『八芳園』・『父帰る  候補者 No.1-No.63 』)を東京藝術大学馬車道校舎大視聴覚室にて上映いたします。

特に、2014年のカンヌ国際映画祭にて招待上映となりました短編映画『八芳園』は、映画館での「上映」という形以外では公開していない作品になりますので、視聴をご希望の方にとっては今回は大変貴重な機会となります。

短編映画『父帰る  候補者 No.1-No.63 』も、現在は各国の国際映画祭へのエントリーを行っているため、まだ公開していない作品です。

当日は、上映と合わせてc-projectによる作品解説も予定しております。
上映会日程につきましては人数の関係がございますので、後日詳細をご連絡させていただきます。

 

[ 佐藤雅彦集中講義「表現方法論Ⅰ」 ]

東京藝術大学上野校舎にて、佐藤雅彦が「表現方法論 Ⅰ ”ルール”」の90分1コマの集中講義を行います。”ルール”は、佐藤が電通時代に研究開発した表現方法で、映像を作るルール(規則)、コピーを作るルール(規則)合わせて28の手法があり、その考え方と代表的なルールを実例をふんだんに入れて、解説します。佐藤が作ってきた広告の前半例えば湖池屋「スコーン」、NEC「バザールでござーる」などのCMや国民的歌謡である「だんご3兄弟」は、この方法論で作られています。

 

開催予定日時

- 2017年8月中の金曜日(20:00から)

- 2017年8月中の土曜日(17:00から)

 

集中講義「表現方法論Ⅰ」シラバス

面白いものには、規則がある。かわいいものには、規則がある。かっこいいものには、規則がある。という仮定から、生まれた表現方法。方法なので、手順がある。まず、自分で面白いものやかわいいものを蒐集する(その基準は個人個人で構わない、つまり恣意的なことを敢えて行う)。次に、蒐集した事象を概観し、共通した要素を抽出する。最後に、その抽出した要素を軸にして表現を作ってみる。この手順が、どのように実際行われ、どのような表現に至ったかを分かりやすく講義する。あの有名なCMが、このような過程で作られたのかを目の当たりにして、この方法論の有効性に驚くとともに、自分の仕事や学業や生き方に方法論を活かすことが可能になる。


[ 佐藤雅彦集中講義「 表現方法論Ⅰ・表現方法論Ⅱ」 ]

東京藝術大学上野校舎にて、佐藤雅彦が「表現方法論 Ⅰ ”ルール”」「表現方法論 Ⅱ ”トーン”」の90分講義を合わせて2コマ行います。表現方法論 Ⅰ ”ルール”の説明は前段を参照してください。表現方法論 Ⅱ ”トーン”とは、佐藤が作ったメジャーな広告を成立させた方法論で、その適用範囲や影響力は”ルール”を陵駕するものです。最終的に適用範囲が広告だけに限らないことまでも発覚し、後に佐藤が電通を辞めるに至る所以になった方法論でもあります。広告では、サントリーモルツ「うまいんだな、これが」、缶紅茶「ピコ—」トヨタ自動車「カローラⅡにのって」、湖池屋「ドンタコス」などのCM、広告以外では、PlayStaionのゲームソフト「I.Q」や絵本「もぐらバス」、テレビ番組では「ピタゴラスイッチ」の一部にこの方法論が使われています。

 

開催予定日時

- 2017年8月中の土曜日(17:00から)

- 2017年8月中の日曜日(15:00から)

※「表現方法論 Ⅰ ”ルール”」に加え、「表現方法論 Ⅱ ”トーン”」の講義も受講いただける内容となっており、2コマが重いと思われる方は、1コマずつの受講も可能です。その時は表現方法論 Ⅰ ”ルール”の方から受講されることをお奨めします。

 

集中講義「表現方法論Ⅱ」シラバス

表現で一番重要なものは、物語やキャラクターよりも「世界観(トーン)」である、という仮説からなる方法論である。キューブリックの「シャイニング」では整然としたホテルが舞台(世界)であり、その整然さに恐怖が宿る。絵本の「ぐりとぐら」でも物語よりもあの二人がいる世界にみんな魅了されてしまう。表現する時、まず世界観を作ることが重要なのである。では、その世界観をどう作り上げるかが問題となる。この講義では、映像を撮影あるいはアニメーションで作る場合での世界観の作り方を具体的に分析する。まずホリゾントから書き割り、スタジオセットからロケセットそしてドキュメンタリーというトーンに分類し、次にそこで何が起きたら面白いか(ストーリー)を構想する。例えば、PlayStaionのゲームソフト「I.Q」は、世界観を作り出すところから始まり、ゲーム性を完成したのは、その1年半も後のことである。ゲーム性を重視したゲームの開発と真逆な制作過程なのである。CMでも「ドンタコス」や「カローラⅡ」はトーンの中でまったく同じ手法で作られており、絵本の「もぐらバス」やCMの「ポリンキー」に至っては、メディアは異なるが同じ手法で作られていて、どれも世界観を作るところから始められたのである。

この ”トーン”という方法論は、すべてのメディアに於いて有効であり、修得して意識すると、今後、自分が関わる表現の良し悪しが作る前に判別できる。

内容的に、 ”ルール”よりも、やや難しいし、 ”トーン”を適用する時、 ”ルール”も使うことがあるので、可能なら ”ルール”を受講した後の受講を奨めます。

 


問い合わせ先

c-projectの活動や、映画に関する問い合わせは

以下のメールアドレスにご連絡下さい。

MAIL : c.prjct@gmail.com


 


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