農業体験型宿泊施設を通じて、南信州と農業の魅力を発信したい！

 

 

 

 

こんにちは！長野県飯田市で農業を営んでいる殿倉由起子です。ブナシメジ、りんご、野菜などを生産販売しています。2011年にUターンして就農12年になります。

 

 

太陽農場HPはこちらから

 

今回は私が生まれ育ったこの地に南信州の恵みを感じてもらえるような宿泊事業を始めるプロジェクトにご支援していただき、ぜひ南信州を訪れるきっかけにしていただきたいと思いクラウドファンディングを立ち上げました。

 

4月から宿泊施設が着工し、10月中旬のオープンに向け準備中ですが、今回のプロジェクトを成功させるためにもぜひみなさんにご支援いただきたいと思います！

 

 

 

 

 

 

長野県飯田市の専業農家に生まれた私は小さい頃はじつは農業が嫌いでした。そんな私が両親、祖父母が農作業の合間の時期に旅行に連れて行ってくれたり、旅行に行ってきた話を聞くのが楽しくて、いつかは観光に関する仕事につきたいと思うようになりました。

 

特に海外へ興味を持つようになり、小学生から英会話を教えてくれた先生の紹介で中２でイギリスへホームステイに行ったことをきっかけに留学を志すようになり、高校卒業後にイギリスの大学に入学しました。

 

イギリスの大学では国際観光学科を専攻し、１年間のインターンシップをエディンバラのホテルで経験しました。ホテルで世界各国から訪れるお客様を迎入れ、笑顔で送り出すことはとても楽しい体験でした。

 

 

帰国後はイギリスで働いていたホテルと同じ系列の東京のホテルに就職し、3年ほど働きました。外資系ということもあり、インバウンドの宿泊客が当時も半分くらいで一緒に働く仲間にも恵まれました。

 

東日本大震災が起きた2011年に夫が農業をしたいという思いを支えるために地元である飯田市へUターンし、就農しました。

 

就農当時から思い描いていたのは「自分たちが作った農産物を提供する場を作る」ということ。小さいころは農業の作業部分しか見ていなかったのですが、イギリスに留学し地元を離れたことで、日本の食の豊かさ、飯田市の河岸段丘と山々に囲まれた自然の豊かさに気づきました。

 

そしてその豊かさの源は「農業」であるということにも気付かされました。そこで今まで嫌いだった農業への目線が変わりました。農業には食材を提供するという機能だけではなく、農地を管理することによって景観を保持するという役割も果たしているのです。

 

ホテルでの仕事は天職だと思っていたくらい好きでしたが、夫に農業をやりたいと言われた時に、だったら自分たちが作った野菜果物を提供することで農業や南信州の魅力を発信できるのではと思いました。

 

 

 

プロジェクトを実働させるまでには思った以上の年月がかかりました。

 

自分たちが作った野菜果物、南信州の野菜果物を使うなら、まず知ることから始めよう、と思い「野菜ソムリエプロ」の資格を取得し、南信州の野菜果物の魅力を発信することから始めました。

 

同じ野菜ソムリエプロの資格を持つ相方と出会い、「南信州ベジフルユニットYUISAI（ゆいさい）」を結成し、やさいwaveという市民団体に参加して、生産者、地元の飲食店、生活者をつなぐイベントを開催したり、地元新聞誌面にて2013年から10年に渡りコラム掲載をしていただいたり、飯田市の公民館活動に参加し、自治体の皆さんと一緒に南信州の魅力を発信するイベントの企画運営を行ってきました。

 

野菜ソムリエ活動を続ける中で、地元の若手農家さんとの繋がりができたことをきっかけに若手農業者団体に参加し、2016年～2017年の２年間は長野県農業青年クラブ「PALネットながの」の会長を務めさせていただき、全国規模の若手農業者イベントの企画運営、農業関連会議への出席、長野県の５ヵ年計画への参画などを通じて、長野県農業の魅力発信、若手農業者の育成にも尽力し、全国にたくさんの農家仲間ができました。

 

 

またりんご農家としてりんごで作ったお酒「シードル」の普及活動も行っています。NPOりんごシードル振興会や南信州シードル協議会の主催するイベントへの参加、シードル仲間たちとイベント企画運営なども行ってきました。

 

2020年からは太陽農場のりんごを使ったシードルを地元の酒蔵「喜久水酒造」、先輩農家が立ち上げた「サノバスミス」へ委託し、自社HPやイベントでの出店販売も行っています。

 

 

 

 

このような活動を通して、たくさんの方々と出会うことができました。今回のプロジェクトの実現には今まで出会ってきた皆さんとの繋がりが今後大切になると信じています。

 

 

 

就農する前から「自分たちの作った農産物を提供する場を作りたい」という想いはあったものの、なかなか思うようにプロジェクトは進みませんでした。今回プロジェクトを行う場所は飯田市のシンボルでもある風越山をと飯田下伊那を一望できる絶好の場所なのですが、もともとここは農業振興農地といって、簡単には農地転用ができない場所でしたが、2021年にやっと許可が降りました。

 

 

この場所は父が、私が幼い頃に仲間と一緒に手作りのログハウスを建てた場所で、小さいころからこのログハウスで仲間たちと一緒に飲み会をしたり、焼肉をしたり、農作業の休憩をしたりと、私にとっても思い入れが深い場所です。

 

自分が新しく事業を行うならここしかない！とずっと思ってきた場所でもあります。隣には太陽農場のアスパラハウス、野菜畑が広がっており、自分たちの農産物を提供するならここしかない、と思える絶好の場所です。

 

農家カフェ、そしてせっかくなら宿泊して農業をもっと身近に感じてほしいと思いが募り、カフェを併設した農業体験ができる宿泊施設を建て、ここから南信州と農業の魅力を発信したいと思っています。

 

 

■ 農業体験型宿泊施設 「Cider Barn &more　～Farmstay and cafe/bar～」とは

 

 

12年の構想を経て出来上がる宿泊施設は「Cider Barn &more（サイダーバーン アンドモア）」と申します。&more（アンドモア）と呼んでください。

 

Ciderとは英語でシードル（りんごのお酒）のこと。Barnとは農家の納屋、倉庫という意味。

飯田下伊那地域を中心とする南信州はりんご農家も多く、りんごで作られたシードルの醸造所が５軒あります。それだけでなく、りんご農家さんたちが醸造所に自分たちのりんごを持ち込んでシードルを作ってもらい、自分たちで販売する農家も増えています。

 

私もそのうちのひとりなのですが、まだまだ地元でもシードルの認知度は上がってきたものの、「ここに行けば南信州のシードルが色々飲める！」という場所がほとんどないため、私たちがそういった場を作りたいという想いを込めています。

 

&moreとは英語で「もっと、これ以上に、この先に」という意味があります。私がこの場所で宿泊体験、私たちの農産物を使った食事を提供することで、この施設をきっかけにして、もっとこの先の農業の可能性を感じてもらいたい、南信州のことをもっともっと知ってもらいたい！という想いを込めています。

 

イギリスや東京へでたことから気づいた南信州の農業、野菜果物の豊かさ•美味しさ、日本でも珍しい河岸段丘でできている街並み、農業から得られる人との繋がり、など農作業の先にある農業の秘めている大きな可能性を&moreを訪れる皆さんに感じてもらいたいと思います。

 

&moreを作る時に思い描いていたのが、イギリスでよく利用していたB＆B（Bed＆Breakfast）のスタイル。今までのゲストハウスとは違って、レストラン、水回り部分は共有であるものの、寝室は個室にすることでほどよいプライベート感を大切にしています。

 

 

この場所だからこそ感じてもらえる農業、南信州、野菜果物の魅力を宿に来ていただいたみなさんに感じてもらいたいと思います。

 

 

 

今回のプロジェクトでは、この私たちの農地に宿泊施設を始めるにあたってどうしてもかかってしまう建設工事に対してご支援をお願いしたいと思います。

 

元々畑だった場所、周りの民家は私たちと同じように酪農や農業を営んでいる数軒の農家のみ、周りにはほとんど建物がありません。そのため、この土地に新しく建物を建てるということは実際に今回のプロジェクトを進めるにつれて思った以上に大変だということがわかりました。

 

まずは農業振興農地の除外手続きに市役所に相談してから取り掛かるまでに6年以上、手続きを初めてから1年以上かかりました。しかし大変なのは建築計画が実際に始まってから。計画が進むにつれて、何もない場所に建物を建てるからこその予想していなかった経費がかかってきました。

 

建物の建設を行う上で、地盤調査、基礎の補強、水道加盟金、合併浄化槽の設置、排水処理工事など、農地だったからこそどうしてもかかってしまう費用をみなさんにご支援いただきたいと思います。

 

今回ご支援いただきたい費用の総額は以下の通りとなります。

 

 

 

 

私たちが耕作している飯田市下久堅は中山間地にあり、平な農地がとても少なく、狭い農地で里山の景観を守りながらいかに高収益をあげて私たちが農業を続け、後世へ繋いでいくことがとても重要だと考えています。

 

小さな地域だからこそ、地域のみなさんとの連携を今まで以上に強くしていきたいと考えています。下久堅地区はＩターンで移住して農業を生業としている人たちも多い場所。ひさかた和紙という歴史をもった魅力ある伝統産業も今認知度を広げようと奮闘しています。

 

私もUターンしたから気づいたこの地域の魅力を今回のプロジェクトを通して発信したいと考えています。

 

今年度、飯田市から「飯田移住コンシェルジュ」を任命していただきました。飯田市農業課、移住定住推進課、観光課などと連携し、就農希望のみなさんや移住希望者のみなさんが気軽に訪れ、一緒に移住定住について考える場としても活用してほしいと思います。

 

 

 

今とても厳しい状況の産業としての農業。次世代に繋いでいくためにも、今回のプロジェクトを行うことにより、小さな土地でも農業で収益を上げていく新しいロールモデルとなることも目標としています。

 

 

■ ここまで長文を読んでいただき、ありがとうございました！

 

実は、ここまで私を支えてくれた父が今年1月に急死いたしました。

私の夢を応援し続け、倒れるまでずっと一緒に仕事をしてくれた父の存在はとても大きく、正直なところ、まだまだ会社も私一人のチカラではどうにもできないことも多くあります。

 

今本当に厳しい農業という世界、でも私たちが頑張ればもっと日本の農業の未来は明るくなると信じています。

 

生まれ育ち、一度外にでたから感じる南信州の魅力と共に、農業の可能性を発信していける場所を目指しています。

 

ご支援いただいた皆さんにも「ぜひ訪れたい南信州の特別な場所」になりますように。