虐待、性暴力に遭った子どもたちへ　世界基準のＣＡＣ普及を目指して

 

 

 

【当法人の理念と『子どもの権利擁護センターかながわ』について】

当法人は、「子ども虐待・ネグレクトの防止と対応を普及・促進させ、子どもの人権擁護、健全育成に努めます。」という理念のもと、さまざまな活動を行っています。その中心的な事業は、「子どもの権利擁護センター（Children’s Advocacy Center: CAC）」の運営です。ＣＡＣとは、子どもが虐待・ネグレクトなどの人権侵害を受けたり、DVや犯罪を目撃したりして、子どもから事情を聞かなければならない場合に、そこに行けば、調査・捜査のための面接（以下、司法面接）と全身の診察（以下、系統的全身診察）、および、こころの診療を受けられるワン・ストップ・センターのことです。当法人は、『子どもの権利擁護センターかながわ』（以下、『CACかながわ』）における実践の中でも、とりわけ、身近な大人から性虐待を受けた子どもたちと他の子どもや見知らぬ大人から性暴力を受けた子どもたちへの支援において専門的な知識と高い技術を培ってきました。

 

 

【欧米のCACと比較した日本の現状と課題】

このCACモデルは、現在、欧米で普及しており、特に、CAC発祥の地である米国には　９６１のCACが活動しており、そのうち７７５は、連邦司法省の外郭団体であるNational Children’s Alliance (NCA)の国家認定基準を満たして、高い水準のワン・ストップ・サービスを提供しています。

 

 米国の場合、多くのCACがNPOや医療機関等、民間によって運営されています。そして、その運営資金の一部は、連邦法である子ども虐待防止法（Child Abuse Prevention and Treatment Act: CAPTA）や各州法を根拠に資金援助を受けています。ちなみに、欧州では、Barnahus（アイスランド語で「子ども(Barna)の家(Hus)」）という名称のCACが普及してきています。米国との違いは、民間よりも行政が運営しているCACが多いという点です。しかし、日本には米国のNCAのような認定組織やCAC認定基準がないばかりか、そもそも、日本の法律にはCACが規定されていません。そのため、CACにおける司法面接や系統的全身診察を児童相談所・警察・検察と連携して実践することすら困難ですし、セラピーが必要な子どもたちはたくさんいるはずなのに、CACに紹介されてきません。そうは言っても、児童相談所・警察・検察の３機関連携による『協同面接』（２０１５年１０月２８日から運用されている日本型の司法面接）では対応が難しいお子さんの司法面接・系統的全身診察が『CACかながわ』に依頼されることもときにはあります。

しかしながら、たいていは、非加害親からのご依頼です。その場合、非加害親や子ども本人に経費を負担していただいたのでは、『CACかながわ』の中立性が損なわれます。そこで、ある財団法人に助成していただいたり、当法人の他事業の余剰金を充てたりして『CACかながわ』を運営してきました。

 

 

 

 

 

  子どもの権利擁護センターかながわ  

 

【司法面接・系統的全身診察・こころの診療をワンストップサービスとして子どもたちに提供する『子どもの権利擁護センターかながわ』】

CACは本来、司法面接と系統的全身診察だけでは不十分です。この２つの機能にこころの診療を合わせた３つの機能があって初めて、NCA認定基準のCACとなります。そこで、当法人は２０２４年４月に『子どものこころとからだのクリニックCACかながわ』を併設して、司法面接・系統的全身診察・こころの診療の３つの機能をワン・ストップ・サービスとして提供する体制を構築し、『CACかながわ』は完全型CACになりました。日本には、当法人の他、CACを運営するNPOがもう一つありますが、この完全型CACは当法人の『CACかながわ』のみです。

 

             

子どもの権利擁護センターかながわ　面接室・診察室

 

CACかながわの司法面接と系統的全身診察について（YouTube動画）

 

【こころの治療とクリニック経営の課題】

虐待、特に性虐待を受けた子どもたちの多くがトラウマ障害を負っています。トラウマ治療は薬物療法だけでは十分ではなく、時間をかけた心理治療が必要です。ところが、日本の保険診療では、この心理治療に対する保険点数が極めて低い設定となっています。

どのくらい低い保険点数になっているかという点について具体的な数字を挙げて説明いたします。２０２４年６月の診療報酬改定で、公認心理師がトラウマ治療を実施した場合に、通院精神療法 心理支援加算２５０点を月２回まで保険請求できるようになりました。たとえば、トラウマ焦点化認知行動療法（以下、TF-CBT）という心理治療の場合、１回に９０分を要し、それを少なくとも週に１回は実施する必要があります。ですので、月に６時間〜７時間３０分を要します。しかしながら、この治療に対する保険点数はたった５００点/月、すなわち、５,０００円/月で、最低賃金すら満たしません。

 

このような診療報酬体系では、トラウマ障害を負った子どもの治療を積極的に取り組みたいと思っている医療機関があったとしても、経営が成り立ちませんから、トラウマ治療を断念せざるを得なくなります。

その結果、ＴＦ－ＣＢＴなどトラウマ治療が必要な多くの子どもたちに心理治療が提供されていません。実際、『ＣＡＣかながわ』が司法面接や系統的全身診察を実施した結果、トラウマ治療が必要と判断された子どもたちの住まいの近くに適切な治療を提供できる医療機関がないという状況に多く接してきました。

したがって、この子どもへのトラウマ治療に関する診療報酬体系の問題を何としてでも克服しなければならないのです。しかし、問題はそれほど単純ではなく、多くのトラウマ経験者すべてにトラウマ治療を保険診療で賄おうとすれば、膨大な医療費を創出することになってしまいます。

そこで、一定の基準、たとえば児童相談所によって虐待被害が認定された子どもたちや警察・検察によって犯罪被害が特定された子どもたちについては、税金で医療費を補助する制度などの検討が考えられます。せめて、本来、自分を守ってくれるはずの親から虐待を受けた子どもたちの心理治療だけでも、保険診療では賄えない費用を税金で補填されることが望まれます。

 

【みなさまへのお約束とお願い】

さて、これまで述べてきた通り、CACが法律に規定されていない日本では、CACが運営する診療所に対して税金が投入されることはありません。そこで、税金による治療助成制度を構築するには、虐待、特に性虐待を受けた子どもたちのトラウマ治療にどれだけの費用がかかるのかをエビデンスとして算出して、国に提言していかなければならないのです。当法人として、日本のどの地域でも、トラウマ障害に苦しみ続ける子どもたちが身近で適切な治療が受けられるよう、税金による治療助成制度の構築を国に強く求めていくことをお約束いたします。それが実現するまでの間、『子どものこころとからだのクリニックCACかながわ』の運営のために、みなさまからのご寄附をこころよりお願い申し上げます。

 

　　　　　

子どものこころとからだのクリニックCACかながわ

 

 

【子どもたちの未来のために】

1. 虐待、特に性虐待を受けた子どもたちに必要なサービスと治療が提供されるために。
2. 当法人の『子どもの権利擁護センターかながわ』と『子どものこころとからだのクリニックCACかながわ』がみなさまのご寄附で健全に運営されるように。
3. 新たなCAC設置を目指している全国の団体・組織に対して当法人が支援できるように。

これらが達成されることこそが、子どもたちの未来に希望を与えることだと私たちは信じています。

 

【クラウドファンディング目標】

目標額：１,０００万円

内　訳：『CACかながわ』運営費 ２００万円

            『子どものこころとからだのクリニックCACかながわ』運営費 ６００万円

             新たなCACの設置支援費用 ２００万円

 

※本プロジェクトは、期日までに集まった支援総額に応じて、実行内容の規模を決定します。ご支援がたとえ目標金額に達しなくても、１件でもご支援いただければ、「子どものこころとからだのクリニックCACかながわ」におけるこころの診療については、本来であれば週に１回通院精神療法を提供することが望ましいお子さんの診療を２週に１回に減らすことで対応いたします。司法面接と系統的全身診察については、子どもの権利擁護センターかながわ』で実施することが望ましいお子さんであっても、児童相談所・警察・検察の代表者1名による協同面接を実施したり、系統的全身診察は他の医療機関を受診してもらうことで、支援額に応じられる範囲で司法面接と系統的全身診察を提供いたします。「子どもの権利擁護センター(CAC)」設置支援については、CAC設置を目指す医療機関や団体の中から、優先してCAC設置支援をすべき組織を支援額に応じて選択して支援します（※設置支援に関しては以下に具体的内容を記載しています）。以上、ご支援いただいた資金を、上記内容にて2027年3月31日まで運営を行います。

 

 

※ 設置支援についての詳細は、以下の通りです。

・設置支援対象：各地で中心的な役割を担っている医療機関等。

・募集方法：各医療機関に直接打診する。

・人数や対象数など：各医療機関において、司法面接者1〜2名、系統的全身診察医1〜2名、診察介助看護師1〜2名、アドボケイト1〜2名のCACチームを結成してもらって研修する。

・決定方法：ヒアリング

・適切に支援先を決定出来る理由：CAC設置のための人材育成状況を基に支援先を決定する。

 

 

特定寄付金による税制優遇について本プロジェクトを通じて寄付を行う場合には、以下の税制優遇を受けることができます。

＜内容＞

・個人の場合：2000円以上の寄付をされた方は、寄付金受領証明書を添えて確定申告を行うことで所得税に関する優遇措置として「税額控除」か「所得控除」のうち有利な方を選択できます。一部の住民税についても優遇措置の対象となる場合があります。

・法人の場合：「寄付金特別損金算入限度額」の枠が適用され、当該限度額の範囲で損金算入ができます。

※詳しくは自治体や所轄税務署、国税庁のウェブサイト等をご覧ください。

 

＜寄付金受領証明書の発行について＞

寄付をされた方には、後日「寄付金受領証明書」を送付致します。

証明書名義：READYFORアカウントにご登録の「リターン／ギフトの発送先の氏名」を宛名として作成します。

証明書発送先：READYFORアカウントにご登録の「リターン／ギフトの発送先ご住所」にお送りします。

寄付の受領日（証明日）：READYFORから実行者に入金された日となります。

証明書の発送日：2025年3月ごろを予定しています。発行までお時間をいただきますが、予めご了承願います。