プロジェクト概要

サラエボ事件から100年の節目に

サラエボ国立劇場で第九平和祈念コンサートを開催したい

 

私は旧ユーゴスラヴィアで活動を続ける日本人指揮者柳澤寿男です。2003年、戦後の旧ユーゴにたどり着き、マケドニア国立歌劇場やコソボフィルハーモニー交響楽団などの指揮者を務めて参りました。戦後の特に旧ユーゴ南部の地域では、今もなお戦前にはあった各民族間の交流が途絶えてしまい、2007年に本人達同士では難しくても、日本人が接着剤となる形で、旧ユーゴの民族共栄オーケストラ・バルカン室内管弦楽団を設立しました。活動は年に一度または二度行い、これまでにベオグラードやコソボ北部ミトロビッツァといった旧ユーゴ各都市、またウィーン、ニューヨーク、東京などで国連や警察、在外日本大使館の尽力のもとコンサートを行い、特に南ユーゴの貴重な文化交流の架け橋として存在してきました。このたびは第一次世界大戦のきっかけとなったサラエボ事件から100年の節目を6月28日に迎え、7月上旬にサラエボ国立劇場で民族混合のオーケストラ・バルカン室内管弦楽団の第九平和祈念コンサートを開催予定です。

 

この歴史的公演に是非皆様方のお力添えをいただけましたら幸いです。



(コンサートの様子)

 

コソボフィルハーモニー交響楽団に初めて客演した際のことです。リハーサルの休憩中、楽団関係者のひとりが私に「今、また紛争になるようなことがあれば、私は音楽を止め、間違いなく銃を持って戦争に行くだろう」と言ってきました。私は返す言葉もなく、唖然としましたが、彼は紛争で親戚を亡くし、そのような事を言ったようでした。

コンサートになり私が指揮をするベートーヴェン交響曲第7番を客席から聴いていた彼が終演後私のもとに駆け寄り、涙ながらにこう言いました。

「さっきはあんなことを言って悪かった。やはり音楽に国境があってはいけない!」その言葉に私も感激し、音楽の見えない力がお互いの心を繋ぎ、抱き合っていました。私はその言葉がきっかけで、バルカン半島(特に旧ユーゴ)の民族共栄のためのオーケストラ・バルカン室内管弦楽団を立ち上げました。



(コンサートの様子)


これまでの活動を通じ、お互いに会うことすら自由でないこのような地域で、人と人が会うことこそがお互いを理解し、ともに仲良く共存する第一歩になるということを学びました。楽団員の言葉で、初めて会う人を見るとき、それは国や民族、宗教で判断するのではなく、その人自身の性格で判断することが大事で、私たちはそれぞれの所属民族に関係なく「世界市民」であり、今同時に地球上に生きている同胞であると後世の子供たちにも伝えて行きたいという言葉が印象的に私の胸の中にも残ります。

音楽があらゆる壁を乗り越え人々の心を繋いでいくことを強く願っています。


(実行者と子どもたち)

 

バルカン室内管弦楽団は20名の弦楽器主体のオーケストラです。これまでは、まるで交流の無い地域に唯一といっていい音楽の架け橋的な存在であったこのオーケストラは存在自体に十分意義があったように思います。しかしこれから先10年の活動にはクオリティーの高さや活動内容を充実させることにも重点が置かれ、旧ユーゴ、東ヨーロッパを代表するようなオーケストラに成長し、楽団員本人達にとってもステータスと思えるようなオーケストラにしていく必要があるのだと思います。経済の悪化や紛争等で西側へ流れて行った音楽家との共演、一流ソリストとの共演や名コンサートホールで公演が出来るようになることもバルカン室内管弦楽団の大きな目標です。2007年の設立から活動8年目を迎え、サラエボ事件100年の第九平和記念コンサートを節目に次のステップに向かっていくことを一同楽しみにしております。


(メンバーです)