ロンギヌスの槍を月に刺すプロジェクト

【宇宙コラム③】民間宇宙開発について

近年、民間による宇宙開発が活発化しています。
宇宙ステーションでの実験や小型衛星を作る日本のベンチャー企業、宇宙ホテルのようなビジネスも検討されており、夢物語のようにも思えてしまいますが、米国では小惑星の鉱物資源の利用を目的とした企業が設立、法整備なども進められています。

先日、米国の大手IT企業が民間のロケット開発企業に巨額の出資を行うというニュースが流れました。宇宙は既に、将来の為の投資先として考えられ始めているようです。
そして現在、総額3000万ドルにも及ぶ賞金の出る民間月面レースが行われており、民間による深宇宙探査の可能性も広がろうとしています。

2004年に大きく注目を浴びたコンテストがありました。それは高度100㎞の宇宙飛行を行った民間団体に、1000万ドルの賞金を出すというコンテストで、世界中から26チームがエントリーし、米国のチームがこれを達成しました。このチームは英国の航空会社のグループ企業の中で、宇宙旅行の実用化に向けた準備を進めています。
このコンテストは、大西洋単独無着陸飛行コンテストで米国のリンドバーグが25000ドルの賞金と名誉を得た後に民間航空産業が発展した事を意識して開催されたものでした。

多くの人がイメージする宇宙旅行は高度400㎞の宇宙ステーション旅行かと思います。
現在の8名の宇宙旅行経験者がいますが、個人で莫大な費用を捻出するのは中々難しいのが実情です。かつて日本のＴＶ局から世界初のジャーナリストの宇宙飛行士がロシアの宇宙ステーションに派遣されました。この時の費用は複数のスポンサー企業の協力で捻出され、ロケットには企業の名前が塗装されるという非常に珍しいものでした。

宇宙旅行も国家から民間へ、そして現在では一部の個人へと、少しずつですが広がってきていると言えるのではないでしょうか。

宇宙旅行は、まだ少し手の遠い場所ですが、宇宙を利用した通信や放送の分野は、既に民間へと大きく広がった実例と言えます。
現在のように家庭用の小さなパラボラアンテナで衛星から直接ＴＶ放送が受信できるシステムを世界で最初に実用化したのは日本です。

今回のプロジェクトは民間で初の月面探査をめざす、HAKUTOとのコラボレーションです。
今回のプロジェクトをきっかけに、一人でも多くの方が宇宙へ興味をおぼえ、月を目指してほしいと、われわれ一同切に願っています。

（文責　「ロンギヌスの槍を月に刺すプロジェクト」実行委員会）