支援総額
目標金額 15,000,000円
- 支援者
- 2,317人
- 募集終了日
- 2022年12月16日
国内育成の本格スタートに向けて<前編>
ファシリティドッグ・プログラムマネージャーの村田夏子です。
私が主に担当しているのは、プログラムの全体を見通して、育成から導入への全体的な計画を立てること、動物行動学者として育成に関わり、外部の専門家(アドバイザリー・ボード)との協働、導入後のハンドラーとファシリティドッグへのフォローアップを計画・調整を行うことの3点です。今回は、本格スタートする国内育成に向けて、ファシリティドッグ・プログラムの導入から今に至るまでのプロセスもまじえて、お話しさせていただきます。
持っている素質を伸ばして、成長をサポートできる犬を選ぶこと
病院に常勤するファシリティドッグのいちばんの特長は、患者さんやご家族、医療者の誰に対しても、「ありのままでいいんだよ」と伝えられる存在だということだと思います。患者さんと医療者は、一緒に治療を進める仲間ですが、時に緊張感をはらむ関係でもあります。でも、犬はほがらかで、目があった人に愛想よく尻尾を振って、気分よさそうに歩いています。その場所が街中ではなく、病院の廊下という点が違うだけ。どこにいても変わらない犬に接すると、自分たちもありのままでいいんだ、と思わせてくれると思いませんか? 誰に対しても、空気をふわっと緩める力を持っているのが、ファシリティドッグなんです。
そんなファシリティドッグになる犬は「人のことが好き」、「人と一緒に働くことが好き」、かつ穏やかで優しい性格を重視して、ゴールデン・レトリバーとラブラドール・レトリバーから選ばれています。犬の適性には、遺伝的な要素も大きく影響するので、最初の段階で適した犬を選ぶことは、育成にかかる時間や技術、コスト面からも重要です。犬の人生の限られた時間を大切にするためにも必要なことといえます。
プログラムの開始時からご協力いただいてきたハワイのAssistance Dogs of Hawaii(アシスタンス・ドッグス・オブ・ハワイ 以下、ADH)の創設者モーリーンさんの言葉で印象的だったのが、「私たちは犬を変えることは出来ないし、教えることも出来ない。だからこそ、本来の気質が適した犬を選ぶことが大事」というものがあります。
(日本初のファシリティドッグとなったベイリー(写真右)の引退セレモニーで撮影。アシスタンス・ドッグス・オブ・ハワイの創設者モーリーンさん(右)や、パピーレイザーのシャロンさん(左)が駆けつけた。ベイリーの左は、現在活動中の後任犬アニー)
これは、無理に教え込むのではなく、素質のある犬が元から持っている力を生かせるように、成長をサポートすることで、ファシリティドッグになっていくということ。そのためにも、私たちが求める役割に適した気質の犬を選ぶことが最初の一歩なんです。
ADHではファシリティドッグだけでなく、介助犬、裁判所で活動するコートハウスファシリティドッグなども含めて、複数の仕事に就く「働く犬」の育成を行っています。候補犬として選ばれた犬たちは、生後約2カ月頃からトレーニングを始め、いくつものチェックを経て、どの仕事に向いているかを判断されます。
犬たちの共通点は、人との共同作業やトレーニングが好きということ。一方、違いとしては、人との関係性の築き方にあります。盲導犬や介助犬は1人のパートナーを支えることが大事ですが、ファシリティドッグは多くの人を支え、良い関係を築けることが重視されます。初対面の相手にも、自信を持って明るく、人当たりよく、コミュニケーションがとれるタイプがファシリティドッグにぴったりなんです。
ADHが多種多様な約1年半から2年にわたるトレーニングを経てファシリティドッグとして育成したのが、初代ベイリー、ヨギ、アニー、アイビーの4頭です。彼らの活躍については、皆様ご存知の通りです。
「ポジティブトレーニング」を軸に
それまでは、ADHが育成したファシリティドッグを譲り受けていましたが、日本中の子ども病院への導入を目指す上では、国内での継続的な育成が必要になります。そこで2019年、試行的に国内での育成事業をスタートしました。
育成するための犬は、上記のADHと連携している、働く犬に特化したブリーダーであるキャリア・ドッグス・オーストラリア(Career Dogs Australia 以下CDA)から、2頭を譲り受けました。これが、タイとマサです。
(羽田空港到着直後、クレートからタイとマサを初めて出した時の様子。この時から、”自分で外に出る”ことを優しく応援する、ドッグトレーナーのマリーナ*の声かけに感動しました)
2頭に初めて会った時に印象的だったのは、まだ生後3カ月の可愛い子犬でしたが、すでにトレーニングへの集中力を身に付けていたことです。ドッグトレーナーのマリーナ*は普段の生活の中からトレーニングを行っていて、始めた瞬間に2頭ともスッと集中モードに入れるんです。「sit(おすわり)」「down(伏せ)」といったコマンド自体はまだ覚えていないと思うのですが、すでに”人に意識をむける”という反応ができることに感動しました。犬の素質に加えて、ドッグトレーナーの専門的なスキルと、日々の努力なしには出来ないことです。
トレーニングの初期は、特に食事へのモチベーションを上手に生かします。マリーナによると、朝晩の食事前5分間が、一日の中で最も集中力が高い時間帯だといいます。トレーニング中の平日はドッグトレーナーと、週末はボランティアのパピーレイザー**さんに預かってもらいますが、キーワードとなるのが継続です。育成拠点を離れ、、雪遊びに遠出した日にも、食事前5分間のトレーニングを欠かさないマリーナの努力に頭が上がりませんでした。
(ドッグトレーナーの自宅兼、育成拠点にて。手前がマサ、右奥がタイ)
トレーニング方法としては、補助犬育成団体の世界的な統括組織であるAssistance Dogs International(アシスタンス・ドッグス・インターナショナル)の基準に則り、今までお世話になったADHの手法を取り入れています。ポイントとなるのは、正の強化を軸とする「ポジティブトレーニング」と働く場所に適応するための「十分な社会化トレーニング」です。
「小さな成功体験」を積み重ねて、自信を持てるように
「ポジティブトレーニング」とは、コマンド(指示)を与えて、出来た時はほめる、出来なかった時は見なかったことにしてスルーする方法です。決して、出来なかったからと罰を与えることはしません。トレーニングは1歩ずつレベルアップしないと成功しないのが当たり前ですから、成功できるように準備をした上で、成功体験を積み重ねることが大切なんです。
急に難度の高いものにチャレンジして失敗し、犬が落ち込んでしまわないように、ステップを踏んでレベルを上げていきます。最初は安心できる家の中でやってみる、次は外で、その次は病院内で、とシチュエーションを変えながら繰り返すことで、犬が自信を持って、どこにいても出来るようにサポートします。かつて一般的だった罰を与えるトレーニング(正の罰)に比べて、ポジティブトレーニング(正の強化)をした場合では、人との信頼関係がより強くなることも報告されています。
(罰を与えるトレーニング(正の罰)と、ポジティブトレーニング(正の強化)を比較した研究。ポジティブトレーニングを受けた犬のグループの方が、ストレスを受けていることを示す低い姿勢をとる犬が少なく、かつ飼い主により視線を向ける犬が統計的に有意に多いことが報告されている*1)
育成の段階では、ハンドラーが日常的に使う約60個のコマンドを含めて、100個ほどの基本的なコマンドに従えるようになるまでに、約1.5~2年のトレーニングを行います。ファシリティドッグならではのコマンドとしては、「snuggle(添い寝)」や「switch(スイッチ)」と言って、限られたスペースで体の向きを変えるものがあります。また、子どもが「バイバイ」と手を振った時に、犬が応えてくれるのは子どもたちにとって楽しいことなので、バイバイの練習もします。
トレーニング中の犬を見ていると、ずっと尻尾を振ってご機嫌です。見ているこちらまで、思わず笑顔になるほど。コマンドを覚えて、人とコミュニケーションがとれるようになることは、犬にとって楽しいことなんです。一貫したポジティブトレーニングの効果がここに現われてくるといえます。新しいことを覚えるのが楽しい、ほめてもらえてうれしいと感じられると、犬に「人と働くことは楽しい!」という経験が蓄積されていきます。さらに、両者の間に信頼関係が出来ていくことは、病院で働く犬にとって、そのまま医療安全にもつながります。
(神奈川県立こども医療センターでニックと平沢がトレーニングをしている様子)
*マリーナ・ロドリゲス
2019年の育成トライアル事業を担ったドッグトレーナー。作業療法士の資格も持ち、国際認証を持つ2つの育成団体、アメリカのアシスタンス・ドッグス・オブ・ハワイおよびアルゼンチンのボカランで使役犬トレーニンング実績をもつ。育成した計52頭のうち、計10頭がファシリティドッグとして日米で活躍中。
**パピーレイザー
犬の幼少期~トレーニング修了までの期間中に飼育をお手伝いいただくボランティアさん。タイとマサの育成トライアル事業では、主に週末や夏季・年末休暇中、ドッグトレーナーに代わって候補犬を預かっていただきました。
(参考文献)
*1 Deldalle, S., & Gaunet, F. (2014). Effects of 2 training methods on stress-related behaviors of the dog (Canis familiaris) and on the dog–owner relationship. Journal of Veterinary Behavior, 9(2), 58-65.
国内育成の本格スタートに向けて<後編>に続きます。
リターン
20,000円+システム利用料

11月18日追加 コラボTシャツ・クリアファイル・ポストカードコース【税制優遇対象外】
■お礼のメール
■JAMMINコラボTシャツ
■ベイリーオリジナルクリアファイル
■ファシリティドッグポストカード6種セット
チャリティー専門ファッションブランドJAMMINと2021年6月にコラボし作成したオリジナルTシャツ、初代ファシリティドッグベイリーのオリジナルクリアファイル、ファシリティドッグポストカード6種のセットとなります。
※Tシャツは白、ベージュ、ブルーグリーン、ネイビーの4色、S・M・L・XL・キッズMサイズ(110-120cm)・キッズLサイズ(130-140cm)の6サイズからお選びいただきます。
※クリアファイル及びポストカードは現在作成中となります。
※Tシャツ、クリアファイル、ポストカードはJAMMIN合同会社より発送いたします。
※このコースは寄付金控除の対象外となります。寄付金受領証明書の発行はでき兼ねますのでご了承ください。
- 申込数
- 32
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2023年5月
3,000円+システム利用料
3,000円寄付コース【税制優遇対象】
■お礼のメール
■寄付金受領証明書
※本コースは、税制優遇の対象となります。今回のプロジェクトへの寄付に税制優遇が適用されるのは、令和4年(2022年)の所得に対してです。税制優遇を受けるための確定申告の時期は、令和5年(2023年)2月となります。
※寄付金受領証明書はご希望の方に郵送します。
※複数口でのご寄付も可能です。
- 申込数
- 708
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2023年2月
20,000円+システム利用料

11月18日追加 コラボTシャツ・クリアファイル・ポストカードコース【税制優遇対象外】
■お礼のメール
■JAMMINコラボTシャツ
■ベイリーオリジナルクリアファイル
■ファシリティドッグポストカード6種セット
チャリティー専門ファッションブランドJAMMINと2021年6月にコラボし作成したオリジナルTシャツ、初代ファシリティドッグベイリーのオリジナルクリアファイル、ファシリティドッグポストカード6種のセットとなります。
※Tシャツは白、ベージュ、ブルーグリーン、ネイビーの4色、S・M・L・XL・キッズMサイズ(110-120cm)・キッズLサイズ(130-140cm)の6サイズからお選びいただきます。
※クリアファイル及びポストカードは現在作成中となります。
※Tシャツ、クリアファイル、ポストカードはJAMMIN合同会社より発送いたします。
※このコースは寄付金控除の対象外となります。寄付金受領証明書の発行はでき兼ねますのでご了承ください。
- 申込数
- 32
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2023年5月
3,000円+システム利用料
3,000円寄付コース【税制優遇対象】
■お礼のメール
■寄付金受領証明書
※本コースは、税制優遇の対象となります。今回のプロジェクトへの寄付に税制優遇が適用されるのは、令和4年(2022年)の所得に対してです。税制優遇を受けるための確定申告の時期は、令和5年(2023年)2月となります。
※寄付金受領証明書はご希望の方に郵送します。
※複数口でのご寄付も可能です。
- 申込数
- 708
- 在庫数
- 制限なし
- 発送完了予定月
- 2023年2月

ファシリティドッグ ドリーム☆サポーターを募集中!
- 総計
- 320人

子どもたちの笑顔のために!こころ病棟にもファシリティドッグを!

#子ども・教育
- 現在
- 27,287,000円
- 寄付者
- 1,827人
- 残り
- 28日

命を繋ぎ、共に生きる。希少猛禽類により良い救命医療と共生環境を!

#子ども・教育
- 現在
- 47,865,000円
- 支援者
- 3,072人
- 残り
- 14日

飼い主のいない犬と猫へ医療費を届ける|ハナプロサポーター

- 総計
- 697人

【緊急】僧帽弁閉鎖不全症 苦しくて息ができない。手術にご協力下さい

- 現在
- 2,173,500円
- 支援者
- 225人
- 残り
- 1日

相次ぐ多頭飼育崩壊から犬猫を救う。アニドネ緊急支援基金の継続へ

- 現在
- 4,060,000円
- 寄付者
- 280人
- 残り
- 14日

残された命に、もう一度温もりを。保護猫たちへ医療支援をお願いします

- 現在
- 3,395,000円
- 支援者
- 284人
- 残り
- 14日