フェイクニュース問題とは?私たちにどんな関係があるの?素朴な疑問を『信じてはいけない 民主主義を壊すフェイクニュースの正体』の著者、平和博さん(朝日新聞IT専門記者)に解説していただきました。

 

 

Q:「フェイクニュース」とは、どういうものですか。

 

ネットで拡散する、虚偽情報の総称です。デマやプロパガンダ(政治的宣伝)は紀元前からあるといいます。フェイクニュースの特徴は、ソーシャルメディアを通じて、以前とは比較にならない規模と速度で広まる点です。オーストラリアのマッコーリー英語辞典はこう定義しています。「政治目的や、ウェブサイトへのアクセスを増やすために、サイトから配信される偽情報やデマ。ソーシャルメディアによって拡散される間違った情報」

 

Q:フェイクニュースでどんな問題が起きているのですか。

 

フェイクニュースは、昨年の米大統領選で特に注目されました。「ローマ法王がトランプ氏支持を表明」はフェイスブックなどで100万回以上も共有され、「クリントン氏が児童虐待組織に関与」を信じた男性による発砲事件も起きています。そして少なからぬ人々が、このようなフェイクニュースを信じていることも世論調査で明らかになっている。フェイクニュースによる選挙妨害は、民主主義の手続きの破壊につながる問題なんです。

 

Q:誰がどんな目的で、発信しているのですか。

 

主に政治とビジネスの、二つの目的があります。オバマ前政権は、ロシア政府がサイバー攻撃やフェイクニュースを通じて米大統領選に介入し、トランプ氏当選を後押しした、と認定しており、これは政治目的の最たるものです。一方で、東欧・マケドニアの若者たちが、広告収入目当てにトランプ氏支持のフェイクニュースを発信していました。広告目当てのフェイクニュースを、政治目的で転載するケースもあり、複雑に絡み合っています。

 

Q:日本に住む私たちには関係あるのですか。

 

日本でも昨年、IT大手「ディー・エヌ・エー」の医療・健康情報サイト「ウェルク」が、肩こりについて「霊が原因のことも」などと事実に基づかない情報を配信していたことが発覚し、同種のサイトの閉鎖につながりました。ビジネス目的のフェイクニュースといえます。東日本大震災では「製油所火災で有害物質の雨」、熊本地震では「動物園からライオンが逃げた」などのデマもネットに拡散しており、他人事ではありません。

 

Q:フェイクニュースの対策は進んでいるのですか。

 

フェイスブックやグーグルなど拡散の舞台となったIT大手は、フェイクニュースを発信するサイトには広告配信を停止するなど、対抗手段も打ち出しています。また、報道機関などが連携し、フェイクニュースかどうかを事実に基づいて検証する「ファクトチェック」の動きも活発です。日本でも、6月に連携組織「ファクトチェック・イニシアティブ」が発足しています。

 

Q:フェイクニュースに騙されないために、個人ができることはありますか。

 

フェイクニュースを共有する際に、見出しだけを見て本文を確認しない人が、6割から8割にのぼると言われます。ソーシャルメディアで表示されるのは、見出しと画像ぐらいのため、見た目では本物か偽物かの区別がつきません。ただ、フェイクニュースを気軽に友達と共有すれば、友達を騙すことになり、拡散の"共犯"になってしまいます。せめて中身を確認し、フェイクニュース拡散の片棒を担がないように気をつけてほしいと思います。

 

 

新着情報一覧へ