富士宮の歴史を繋ぐゲストハウス掬水が富士山を遊び尽くす拠点に

こんにちは。

取材担当の榎です。

 

今回は、ゲストハウスになる前の

料理屋さんだった頃の掬水について、

そこで行われた、結婚式のお話をご紹介します。

 

 

今回の登場人物は、富士宮在住の芦原さんご夫妻。

 

芦原さんとお会いしたのは、今年5月の中旬。

掬水のラウンジにいらっしゃった、章さんと恵美子さん。

その2人はとても穏やかに、そして丁寧に、

富士宮の歴史を語ってくれました。

 

章さんは今年で79歳。

富士宮で育った章さんは、東京の大学で経済を学び、

富士宮で商社を経営する叔父さんの会社に入社しました。

 

 

当時の富士宮について、章さんはこう話します。

 

「富士宮は当時『富士の奥座敷』とも呼ばれていて、

製糸業や化学工場がある富士市からやってくる客が多かった。

製紙のサンプルができるまで、

東京からやってきたビジネスマンが富士宮で酒を飲んだり、

麻雀をしたり、ゴルフにいったりと、とても賑やかだった。

私も叔父の運転手として、富士宮の料亭には何度も足を運んだ」

と話します。

 

章さんにとって、

当時の掬水は「華やか」な場所だったと言います。

 

「若い自分は酒が飲めなくて、叔父に連れられて

『修行』をするような日々だったが、

掬水は自分にとっては特別。富士宮に数多くあった料亭の中でも、

一番賑やかで華やかな場所だった。

ほかの料理屋と比べて、

掬水は接待や会食など『誰かをもてなす場所』だった」

 

恵美子さんは富士市の出身。

恵美子さんのご親戚が当時の掬水のオーナーで、

恵美子さんの掬水の思い出は幼少期から始まります。

 

「幼いときはよく遊びにきていました。

幼いときには大広間で食事をしたり、

水の間からみんなで釣りをした思い出があります。

今も昔も湧き出る水が美しかったことを覚えています」

と昔を懐かしんでくれました。

 

2人はお見合いで知り合い、翌年に結婚。

章さんは恵美子さんのことを、ひと目で気にいったと感想をはなし、

恵美子さんは当時のことを「初めての場なのでとても恥ずかしかった」

と目を細めて笑います。

 

2人は1966（昭和41）年の10月22日、

この掬水で挙式しました。

当時の結婚式は、自宅で地域の人と一緒にやるのが主流でしたが、

芦原さんご夫婦は親戚の勧めもあり掬水で行うことになりました。

 

章さんは、当時のことを

「当時の富士地域では珍しいこと。当時は結婚式場もなく、

友人同士でパーティーもなかった。

親戚、近所の人、そして少数の友人で結婚式を挙げ、

三三九度を行い親戚の挨拶をする程度のもので、

とても簡単なものだった」と振り返りました。

 

そのあとに恵美子さんが見せてくれたのは、

53年前に撮影された集合写真。

 

 

結婚式場で使われた大広間は、

現在もその雰囲気を残しています。

 

そこで53年ぶりに結婚した大広間に

当時の場所に立ってもらい、記念撮影。

 

 

金婚式を3年前に迎えたおふたりは、掬水と同じく、

美しくかけがえのない歴史を二人三脚で重ねてきました。

 

富士山ゲストハウス掬水も、素敵なストーリーを

年月をかけてこれから紡いでいければと思います。

 

それでは、また次回のインタビューまで。