本プロジェクトの成果についてのご報告
クラウドファンディングにご支援をいただいた皆様へ
拝啓
陽春の候、皆様に於かれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
昨年の2〜3月に行ったクラウドファンディングでご支援をいただいたおかげで、この1年間、目標としていたプロジェクトの多くを達成することができました。1年間の期限付きのプロジェクトということで、一旦クラウドファンディングのHP上では一つの区切りとなりますので、本プロジェクトの成果についてご報告をさせていただきます。
(1)プロジェクトの成果
まずは、遺伝カウンセラー養成コースの研究室、実習室として2つの部屋の整備を行いました。現在、7名の学生が快適に勉強に集中できる環境を整えることができました(写真1−5)。
また、3名の1期生が今年3月に無事、大学院博士課程前期の遺伝カウンセラー養成コースを修了し、卒業することができました(写真10)。4月から2名がそれぞれ広島市内の基幹病院(一つは広島大学病院)において、遺伝カウンセラーとして勤務を開始しております。半年後の資格試験をめざして仕事をしながらの受験勉強となります。
以下が3人の1期生の修士論文のテーマです。
・「IRUD(未診断疾患イニシアチブ)における網羅的遺伝学的解析により遺伝性疾患の診断が確定した家族の経験」
・「周産期・生殖補助医療に関わる看護職者のNIPT相談支援に関する認識」
・「ファブリー病に対し酵素補充療法を行っている人の経験」
(研究内容の概要に関してましては報告書に記載予定です)
いずれも遺伝医学の領域において、非常に関心の高い研究テーマに対して、鋭い観察力・洞察力でデータ収集し、解析をおこなっており、今後の遺伝医学において大変有用な研究成果が得られました。今年の第47回日本遺伝カウンセリング学会学術集会(2023年7月7〜9日、まつもと市民芸術館で開催)などで発表予定です。
次に、昨年4月に入学した4名の2期生も、国内の学会に参加したり研究活動を開始したりと充実した1年を過ごすことができました。
さらに、今春は3名の3期生が遺伝カウンセラー養成コースに入学し、本日(4月7日)に講義や実習のガイダンスを行いました。このうち1名は、昨年4月、このクラウドファンディングのホームページを見て遺伝カウンセラーに興味をもって本コースへの入学を決意してくれたそうです。3人とも志の高いメンバーで、これから2年間、充実した設備と環境の中で勉強できることを知り、クラウドファンディングの支援者の皆様に感謝しております。
この1年間、コロナ禍のため県外(および海外)での学術・研究活動には大きな制約がありました。そこで、岡山県の川崎医療福祉大学の遺伝カウンセラー養成コースとの合同講義を開催しました。皆様からのご支援のおかげで、学生全員が合同講義に参加して、情報交換などの貴重な交流を行うことができました。
(2)1年間の記録(写真)
1)プロジェクトラボ(遺伝カウンセラー養成コース実習室)
2)研究室の様子(勉強に集中できる環境です)
3)講義の様子(オンライン参加者も一緒に講義を受けます)
4)実習風景(ロールプレイの打ち合わせ)2022年5月頃
5)ロールプレイの様子、実技者(手前)と記録者(奥)
6)広島臨床遺伝セミナー事務局の運営 2022年9月
7)日本人類遺伝学会に参加(2022年12月 横浜)
8)修士論文の原稿ができました 2022年12月
9)修士論文発表・最終試験の会場です(学生も教員も緊張!) 2023年1月
10)学位記授与式(2023年3月23日)
(3)収支の報告(プロジェクトごとの費用)
1. 大学院生の教育・研究に必要な費用
大学院生の研究に必要な書籍類、研究申請費用などとして685,477円を使用しました
2. 学内での遺伝カウンセリング実習室の整備
実習室の整備の目的として、パソコンをはじめ、教室で使う大型液晶スクリーンや、オンライン講義のための通信機器、ロールプレイ実習室のためのビデオ機器などに1,782,685円を使用しました。
3. 国内のナショナルセンターへの出張・学習
新型コロナ感染症のため、多くの学会、研究会がオンライン参加となりましたが、6月の日本遺伝性腫瘍学会(岡山)、7月の日本遺伝カウンセリング学会(東京)、12月の日本人類遺伝学会(横浜)には現地に参加させていただき、多くのことを学ぶことができました(写真7)。学会出張、オンライン講義の参加費として364,775円を使用いたしました。
4. 米国の遺伝カウンセリング技術を学ぶ
新型コロナ感染症のため、海外の施設や学会に参加することはできませんでした。
その他、クラウドファンディング手数料として1,173,150円を支払いました。
ご支援いただいた7,110,000円のうち、これまでに4,006,087円を使用し、3,086,213円を繰り越しております。
(4)リターンの発送について
今後、リターン(ギフト)につきましては、報告レポートならびに研究結果成果レポートへお名前掲載の上、郵送予定です。またオンライン報告会を2023年5−6月に予定しておりますので、また参加方法などをメールでご連絡させていただきます。遺伝カウンセラー養成コースの大学院生や卒業生から、プロジェクトの成果についてご報告させていただきます。
(5)今後の予定
今回のクラウドファンディングで皆様からいただいたご支援のおかげで、遺伝カウンセラー養成コースの体制の整備ができました。今春卒業した1期生が地域の医療機関などに勤務し、そこで活躍することで、皆様からのご恩に報いるとともに、今後益々重要になってくる遺伝医療において、多くのクライエントの皆様、患者さん、そしてそのご家族に寄り添い支援することで、地域の医療に大きく貢献してくれることを期待しております。
今春、3名の高い志を持ったメンバーが大学院に入学してくれました。さらに来年度の入学を希望される方からも何人か既に問い合わせが来ており、今後も毎年数名の大学院生が広島大学で学んでくれる予定です。今後は新型コロナの影響も少なくなり、県外や海外での学術・研究活動も活発になってくることが予想されます。
そこで、今後も皆様からの継続的なご支援をいただきながら、さらに充実した遺伝カウンセリアー養成コースとし、広島大学から世界に様々な情報を発信できる人材を育成していけるよう、教員スタッフ一同、鋭意努力していきたいと思います。この度は、誠にありがとうございました。引き続き何卒よろしくお願いいたします。
敬具
広島大学大学院 博士課程前期 遺伝カウンセラー養成コース責任者
広島大学病院 ゲノム医療センター・遺伝子診療科 教授
檜井孝夫