働く場をコモンズに！　“みんな”の軽トラックを購入したい！

 

はじめに

　

　こんにちは。佐藤光宏です。

　1977年生まれ。神奈川県大和市在住、２児の父親です。

 

　早稲田大学の第一文学部をかろうじて卒業してから、いろいろな仕事をしてきました。どれも長続きしなかっただけ、とも言えます。8年間で7職種。書き連ねてみれば、このようなリストになります。

 

　　・北海道士別市で農業体験生

　　・工事現場の警備員

　　・引っ越し作業員

　　・タウン紙の編集と広告営業

　　・小中学生向け学習塾の講師

　　・庭師見習い

　　・住宅エクステリアの設計と施工管理

 

　ふらふらすることに終止符を打ち、2009年にKirikui（キリクイ）という屋号を掲げて造園業を開業しました。

 

　キリクイとは、切株という意味の古い言葉で、兼好法師の『徒然草』から取りました（中学の国語の教科書に載ってた、きりくひの僧正というあだ名のついた怒りっぽいお坊さんの話です）。伐採と再生を繰り返す雑木林、人の営みと自然の摂理の絶妙なバランスのうえに成り立つ里山のあり方にならう庭づくりをコンセプトに、庭園の設計・施工、庭木の剪定などの仕事をしてまいりました。

 

 

↑これまでに設計と施工を手掛けた庭の一部です

　

　2018年、第1子の誕生をきっかけに（自営業の不安定さに恐れおののき）、事業を休業として、専門学校の教員などをしながら過ごしてきました。

 

　しかし、社会に出て以来、職を転々としながら追い求めてきたものは何だったのかと自問を続けるなかで、事業再開を決意。2022年3月、40代半ばにして、再び小さな舟で漕ぎ出すことになってしまったのでした。

 

 

 

 

 

働く場をコモンズにしたい！　

なぜコモンズなのか？　そもそもコモンズとは何か？

　

　キリクイの再開に当たって、以前と同じように事業を営むのではなく、開業以前からずっと追い求めてきたものを今度こそかたちにしたいと考えました。それを今、言葉に表すのであれば、「働く場をコモンズにすること」となります。

 

　ここ１～２年、「コモンズ」という言葉を耳にする機会が劇的に増えました。コモンズとはもともと、牧草地や森林、漁場など共同で利用する資源や場所を指す言葉ですが、資源などを共同で管理するあり方そのものを指すなど、単なる共有資源という意味を超えて幅広く使われるようになっています。

 

　いわゆる囲いこみ（エンクロージャー）によってコモンズが解体され、寄る辺ない都市労働者を大量に生み出したことが近代資本主義の飛躍につながったといわれています。この過程は形を変えながらグローバルな領域へと拡大し、先進国と呼ばれる国々は“周辺”の労働力や自然を収奪することによって経済的な豊かさを実現してきました。しかし、いまや先進国の内部でも経済格差が大きな問題となり、環境破壊も気候危機というかたちで人類の生存そのものをおびやかす段階まできています。そうした現状を受けて資本主義そのものへの疑問を多くの人が持つようになり、コモンズという、「共同体」や「コミュニティ」という言葉では捉えきれない何かを含んだ概念に高く関心が寄せられているのだと思います。

 

 

 

　

　コモンズとして成立する可能性のあるものは多岐に渡ります。たとえば、電気、水、住居、教育、農地、インターネット、アルゴリズムなど……。そうした生活に不可欠なものを、国家が管理するのでもなく、民営化と称して営利企業（を所有する株主）に任せるのでもなく、共有資源として人々の手で管理運営していくこと、つまりコモンズ化することによって、私たちの生活や人生を再び私たち自身のものとすることができるように思います。

 

　働くということもまた、人生に不可欠なものです。お金が必要だからという意味ではありません。人は、家事や子育て、ボランティアなどを含め、働くことで他者との関係を紡ぎ、自分という人間が何者であるかを知るからです。安定した収入、社会的な信用、そうしたものと引き換えに、自分の時間、家族との時間、ときには健康さえも差し出さなければいけない働き方には、明らかに倒錯があります。大切な人たちとの生活を犠牲にしながら働くなんて……。

 

　働く場そのものをコモンズとしたい。それは、たとえば道具や機械、顧客リスト、就業規則、収益など、一般に会社あるいは経営者のものとされるすべてを働く人全員の共有財産として管理・運営していく、ということだけにとどまりません。「モノやサービスを提供する側」と「消費する側」という立場を分ける境界線もなく、それぞれの人がそれぞれのかたちでコモンズに関わっていけるような場を想像しています。今はまだアイデアに過ぎないものですが、そのような場をGood Scenery Commons（グッドシーナリーコモンズ、景色のいい共有地）と名づけ、かたちになるよう取り組みを進めています。その一つが、このクラウドファンディングです。

 

 

 

 

 

コモンズのシンボルとして、“みんな”の軽トラックを購入したい！　

　

　前置きが長くなりました。

 

　造園・緑化事業を運営していくにあたり必要となる軽トラックの購入資金、これが今回ご協力を仰ぐ目的です。今は仕事が入るたびにトラックをレンタルしていますが、手間とコストを考慮し、購入すべきと判断しました。中古で50～60万円くらいの価格帯のものの購入を検討しています。

 

　ご協力いただいた資金で購入した軽トラックは“みんな”のものと位置付けます。納税その他義務のある所有者には私がなりますが、“みんな”のトラックである以上、私だけがそれを使って利益をむさぼるわけにはいきません（造園業では、むさぼるほど利益は見込めないのが普通ですが……）。

 

　“みんな”のトラックなので、使いたいという人がいれば誰でも使えるようにしたいと思っています。とはいえ、軽トラックを使いたい場面が多くの人にあるとは限らないので、現実的には、コモンズのシンボルとしての役割を果たすことになるだろうと考えています。

 

　クラウドファンディングによる軽トラック購入が、「働く場をコモンズとする」というアイデアを現実にするための大事な一歩目になるだろうと考えています。ご協力のほど、よろしくお願いいたします！

 

 

 

 

リターンについて

 

　平等であることを大切にしたいと考えたため、支援金額にかかわらず、リターンは同一のものと設定させていただきました。①感謝のメール　②月２回のニュースレターの配信　③HPへのお名前掲載――の３点です。何卒ご理解のほどお願い申し上げます。  　

 

 

最後に

　

　たくさんの意義あるプロジェクトが掲載されているなかで、このページを最後までお読みくださり、ありがとうございました。貴重な時間を割いてくださったことに深く感謝申し上げます。

 

　今回のプロジェクトにご支援していただくか否かにかかわらず、今後もこのご縁が続いてまいりますこと、心より願っております。

 

　佐藤 光宏　

 

　

　★Good Scenery Commonsのホームページ　

　（キリクイのページも同じサイト内にあります）

 

　★Good Scenery Commonsのブログ

　（コモンズをどんな場所にしたいか、思いやアイデアを書き綴っています）