女性の活躍を応援！バングラデシュの生産者に、研修で変革の力を！

 

 

 

 

 

グローバル・ヴィレッジ代表の胤森(タネモリ)なお子です。

 

グローバル・ヴィレッジは、フェアトレード専門ブランド「ピープルツリー」の母体NGOで、1991年に設立、今年で30周年を迎えます。イベントやキャンペーンを通じて貿易や消費社会の問題点を伝え、途上国の立場の弱い人びとの自立を支援するフェアトレードの普及・促進を行うと共に、生産国の教育・環境プロジェクトの支援を通じて生産者をサポートしています。

 

このたび、ピープルツリーの生産者パートナーが多くいるバングラデシュで企画された、女性のエンパワーメントを目指す研修プログラムを支援することになりました。

 

バングラデシュは、10年ほど前から衣料品産業の発展が目覚ましく毎年6%以上の経済成長を遂げていますが、いまだに4人に1人が貧困層であり、一日2ドル以下で暮らす最貧層も7人に１人という状態にあります。

 

女性が首相を務めていることで女性の社会進出が進んでいるイメージがありますが、高等教育を受けている割合は男性の71%に比べて女性は28%。15～25歳の若者のうち就学も就業もしておらず仕事に必要な教育や訓練を受けていない人の割合は、男性10%に対して女性は47%にものぼっています。

 

このような若い女性たちの多くが仕事を求めて向かうのは、同国に7,000ほどある縫製などの衣料品関連の工場です。しかし、農村から首都ダッカに出稼ぎに出て働く女性たちが直面するのは、スラムでの劣悪な生活、週に1日の休みもままならず時には暴言や暴力さえ受ける過酷な労働環境です。

 

 

一方、社会的・経済的に立場の弱い人びとの生活を支援するフェアトレードでは、収入の機会を持たない女性たちが仕事を得て自立できるよう、手工芸品づくりなどの技術の習得、商品開発、商品の販路開拓などを支援しています。

 

フェアトレードにより十分な収入や安全で健康的な仕事の場が確保できれば、女性たちは遠く都会に出稼ぎに出て劣悪な環境に甘んじて働かずに済むようになります。

 

 

バングラデシュのフェアトレード団体のネットワークである「ECOTA」に加盟する36団体で商品づくりに携わる職人は12万人、うち8割が女性です。とはいえ、管理職レベルで能力を発揮している女性はまだ多くありません。

 

 

 

フェアトレードにおける女性の役割の重要性はよく知られています。

 

つくり手の大半は女性であり、女性が主体的に働いて収入を得ることで、家庭や地域で発言権を増し、子どもの教育など次世代への投資により多くのお金が使われます。女性の能力向上をさらに後押しすることが、フェアトレードが目指す「みんなが幸せに暮らせる世界」の推進力になります。

 

ECOTAは、人道・開発NGOの「クリスチャンエイド」の協力を得て、女性のエンパワーメントを目指す研修プログラムを企画しました。

 

36団体のうち、まずは次の5団体がパイロットプロジェクトに参加することになりました。

 

●アーティザン・ハット

●クムディニ・ハンディクラフト

●プロクリティ

●ジュートワークス

●タランゴ

 

このうち4団体は、ピープルツリーの生産者パートナーでもあります。

今回のクラウドファンディングでは、4団体から届けられた商品をリターンとしてご提供します。

 

【アーティザン・ハット】

機械化により、仕事を失ったはた織り職人たちを支援するために設立された組織で、はた織りや手刺繍の伝統的な技術を用いて商品を生み出しています。

 

 

 

 

【クムディニ・ハンディクラフト】

貧しい人びとのための病院と看護学校を運営するクムディニ福祉財団の生産プロジェクトとして発足し、手工芸品や衣料品をつくっています。

 

 

【プロクリティ】

ジュート(黄麻)をはじめとするバングラデシュ産の天然繊維や手漉き紙を活かした、環境にやさしいハンドメイド製品を生産する8つの生産者グループを支援するマーケティング組織。

 

 

【ジュート・ワークス】

ジュートや草、籐、竹、粘土などの自然資源を使用した製品づくりによって生産者に仕事の機会を提供する組織。

 

 

 

 

 

グローバル・ヴィレッジ／ピープルツリーは、イギリスの姉妹NGO「ピープルツリー・ファウンデーション」と共にぜひこのプロジェクトを実現させたいと考えました。

 

プロジェクトを立ち上げるためのリサーチから教材づくり、研修の実施までにかかる費用は280万円。うち3分の2はクリスチャンエイドの協力を得られる見込みです。残りの費用をまかなうため、クラウドファンディングに挑戦します。皆さま、ご支援、ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

フェアトレードは、一般のビジネスに比べれば女性の進出がとても進んでいます。

 

フェアトレード事業者の世界的ネットワークであるWFTO（世界フェアトレード連盟）では、加盟する355団体の52%で最高責任者を女性が務め、管理職レベルも半数以上が女性です。

とはいえ、生産に携わる96万人の74%が女性であることを考えれば、女性が力を発揮する余地はまだまだあるといえます。

 

 

フェアトレードの先駆者的存在であるインドのフェアトレード団体「サシャ」のディレクター、スジャータ・ゴスワニさんは、「男女間の不平等は根深く、様々な形で女性差別に表れています。組織レベルでも現場の生産者パートナーとの仕事においてもバランスのとれた環境を達成するために、たゆまぬ努力と良心が必要なのです」と語っています。

 

同じくインドのフェアトレード団体「クリエイティブ・ハンディクラフト」で生産管理マネージャーを務めるロージィ・ミネシュ・ソランキさんは、フェアトレードで女性が収入を得ることで起こる変化を体現した一人です。

 

2017年9月、READYFORのクラウドファンディングで資金を得て、ロージィさんを日本に招いて全国で講演会を行いました。

 

貧しい家庭から18歳で大家族に嫁ぎ、夫による家庭内暴力で暗い毎日を送っていたロージィさんは、生産者グループに入って縫製の仕事を始めました。仕事ぶりが認められて昇進し、見本作成や品質管理に携わるうちにマネージャーを務めるまでになりました。

 

「2人の子どもは高等教育を受けて自立し、家を建てることもできました。夫も意識が変わり、私のことを誇りに思ってくれ、今はとても幸せです。」と語ったロージィさんは、女性が自立することの意義を問われてこう答えました。

 

「男性が教育を受けると、彼の人生が変わる。女性が教育を受けると、社会が変わる」

 

 

自信と誇りを身につけた女性たちは、地域社会でも発言したり活動するようになります。

生産グループのリーダーを務めた女性が地域の議員に選出された例もあるほどです。

 

今回ECOTAで実施する研修プログラムでは、パイロットプロジェクトで作成する教材やマニュアルを、今後ECOTA内の他の団体、ひいては広くバングラデシュの衣料品・手工芸品産業全体で活用するよう働きかけていきます。 

 

フェアトレードが先導する女性のエンパワーメントが、衣料品工場などで劣悪な労働環境に置かれている、フェアトレード団体に属さない女性たちを弱い立場から救い出す力になっていくことを期待しています。

 

国際女性デーの今年のテーマは、「リーダーシップを発揮する女性たち：コロナ禍の世界で平等な未来を実現する」です。

 

そんな未来の創造への一歩となる、このプログラムにぜひ、ご支援をお願いします。