筑後で百年続く宿を改修し、九州のアーティストがつくるホテルへ

心臓から送りだされた新鮮な血液は
十数秒で全身をめぐる
わたしはさっきのわたしではない
そしてあなたも
わたしたちはいつも新しい
 
さなぎからかえったばかりの蝶が
生まれたばかりの陽炎の中で揺れる
あの花は
きのうはまだ蕾だった
海を渡ってきた新しい風がほら
踊りながら走ってくる
自然はいつも新しい
 
きのう知らなかったことを
きょう知る喜び
きのうは気がつかなかったけれど
きょう見えてくるものがある
日々新しくなる世界
古代史の一部がまた塗り替えられる
過去でさえ新しくなる
 
きょうも新しいめぐり合いがあり
まっさらの愛が
次々に生まれ
いま初めて歌われる歌がある
いつも　いつも
新しいいのちを生きよう
いま始まる新しいいま

この詩は『MEIJIKAN』の近くにある八女高校出身の詩人、川崎洋さんによるものです。川崎さんは、詩人の茨木のり子さんを誘って詩誌「櫂」を創刊した事や、読売新聞紙上の「こどもの詩」の選者を務め、寄せられた子どもたちの詩に、温かくユーモラスな選評を行っていたことなどで知られています。

詩は、見ることも触ることもできませんが、人の心に届き、揺さぶったり、寄り添ったりして、新しい風景を見せてくれる、とても豊かなものです。そういった意味でアートにとても近いと感じています。筑後は抒情的な詩が多く生まれた豊かな場所です。大人だけじゃなく、これからの筑後を担う地元の中・高校生たちにも触れて欲しいので、詩にも力を入れていきたいと思っています。

いま始まる新しい『MEIJIKAN』。皆さんのご支援、心より感謝しております。一緒に筑後を元気にしていければと願っています。最後までどうぞ、よろしくお願いいたします。