プロジェクト概要

 

今回、私たちは百舌鳥・古市(もず・ふるいち)古墳群にある『野中古墳』出土資料の3D計測を行い、それを世界へ発信するためのプロジェクトを立ち上げます。

 

 

ページをご覧いただきありがとうございます。大阪大学文学研究科考古学研究室の

高橋照彦です。

 

私たちは、日本の歴史、とりわけ古代国家の成立過程の実態を、発掘調査で得られるモノ資料から解明するために、フィールドワークとしての発掘調査やその出土品の研究を行っています。

 

 

 

未だ知られていない大きな古墳の内部を、小さな古墳の調査から探る

 

巨大古墳が集中する大阪府の百舌鳥・古市(もず・ふるいち)古墳群。ここでは、大型前方後円墳の多くが、天皇陵などの形で保護されています。

 

 

実は、百舌鳥・古市古墳群などにある大きな古墳はその多くが陵墓であるために中身がわかっていません。そのため、古墳群の内実を明らかにする上では、陵墓に含まれない小型古墳の調査がとても重要になってきます。

 

しかし、陵墓と異なり小型古墳は戦後間もなくの時期、保護の体制が十分に整っていなかったことから、高度経済成長にともなって激化した宅地開発によって消滅の危機に瀕していました。

 

そのため、私たちはこのような消滅の危機にある小型古墳に対して、緊急調査を行なってきました。

 

 

中でも、昭和39年(1964年)に藤井寺市の『野中古墳』で行われた調査では、5世紀における古墳時代のイメージを作り上げるほどに大きな成果が得られました。

 


野中古墳は古市古墳群に属し、墓山古墳と呼ばれる巨大前方後円墳を取り巻くように(大型の古墳に従属するように)築かれた小型古墳、専門的にいえば陪冢(ばいちょう)の1つです。

 

 

その小さな墳丘にもかかわらず、野中古墳からは、鉄製の甲(よろい)や冑(かぶと)、鉄刀・鉄剣などの武器・武具類をはじめ、総数約2,000点にも及ぶ大量の遺物が発見されました。

 

盗掘の被害をあまり受けておらず、保存状況が良かったことから、10領もの甲冑が一列に並んで出土するという、衝撃的な発掘成果が得られたのです。このような発掘事例は、未だに他にはありません。

 

 

▶︎野中古墳の豊富な出土品からわかること
1領の鉄製甲冑ですら権力の象徴といえるほど希少な当時の文物が、10領以上おさめられた野中古墳。その量や甲冑の構造などの検討から、百舌鳥・古市古墳群を築いた古墳時代中期の中央政権が、大量の甲冑を一元的に製作・管理していたと考えられるようになりました。

 

こうした研究成果を基礎として、全国各地で少量ずつ出土する甲冑もまた、政権により権力の証として配布されたものであると考えられるようになりました。

 

つまり、百舌鳥・古市古墳群が、単純に古墳の大きさだけでなく、質実ともに列島の中心的な役割を果たしていることが明らかになったのです。

 

 

前述した通り、百舌鳥・古市古墳群において、大型古墳のほとんどは埋葬施設などの中心部に対して科学的な発掘調査が行われていません。つまり古墳は数多くあっても、そこに納められた数々の遺品は、あまり世に知られていないことになります。

 

だからこそ、小さな古墳が持っているたくさんの副葬品、ひいては考古学的情報は、当時の政権による軍事的戦略や、政治力・経済力における他地域との差異、政治体制と社会構造などを解き明かす上できわめて重要な手がかりとなるのです。

 

 

野中古墳出土品に対する保存修復の実施

 

これまで発掘された野中古墳の出土資料は、発掘調査の後、大阪大学文学部において保管してきました。しかし、特に鉄製品などは長年のあいだ地中に埋まっていたために、サビが進行して脆くなり、いまにも壊れてしまいそうな状況にありました。

 

保存修復の作業が望まれる状況でしたが、これには多くの費用や予備的な作業が必要となります。そうした状況を受けて大阪大学考古学研究室は、研究室の予算や各種の団体からの助成、平成25年度からは「文化遺産を活かした観光振興・地域活性化事業」などとして文化庁の補助金を受けて、科学的な保存処理と修復を実施しました。

 

そしてその保存修復作業の成果を、2014年2月~3月に大阪大学総合学術博物館で実施した企画展『野中古墳と「倭の五王」の時代』で公開することができました。

 

 

小規模な展示スペースであるにもかかわらず、約3,700人もの方にお越しいただき、この展示にあわせて作成した図録(博物館叢書)は、学界のみならず世間に広く野中古墳の重要性を再認識してもらう機会となりました。

 

見学にこられた方々からは、「こうした資料を今後も是非公開してほしい」などの声をいただいています。

 


その後、野中古墳の出土品は、さらなる整理作業を行い、2015年に国の重要文化財に指定されました。保存修復作業がままならないままに、重要ながらも指定を受けていなかった資料が、ようやくその価値に値する形となったのです。
 

そして今年、百舌鳥・古市古墳群がユネスコの世界文化遺産として国内から推薦書が提出されました。全長500mを超える大仙陵古墳をはじめとする、ユニークな形と画期的な大きさを誇る古墳群は、世界的に見ても大変珍しく価値のあるものといえます。

 

 

 

保存修復を終えた野中古墳の出土品を多くの人に公開したい

 

しかし一方で、「古墳があることは知っているが、中がどうなっているかは知らない」「中に何が入っているのか知らない」という声がよく聞かれます。

 

そこで今回、野中古墳出土資料の3D計測を行い、それを世界へ発信していきたいと考えています。

 

 

ープロジェクト内容ー

 

<step1:野中古墳出土資料の3D計測>
野中古墳出土品を対象に、最新の機器を用いて3D計測を実施します。計測およびデータ処理にあたっては、3D計測機器の専門家とその方法について議論しながら進めることで、方法上の問題点・反省点など、計測の方法をブラッシュアップしていくことも目的の一つとします。

 

3D計測の対象としては、達成額に応じて変動する予定ですが、将来的には鉄製武器・武具類、金銅製品を中心に、その他各種の出土品にも広げていくことを予定しています。

 

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<step2:データ処理と3Dモデルの作成>
3D計測データは、考古資料の立体的な形状を理解するうえで非常に有用です。3Dデータをもとに、まるで実物のような3Dモデルを完成させれば、それを回転させることであらゆる角度から資料を観察することができます。特に、鉄製品など脆い資料について、自由な角度から観察することが可能になります。

 

<step3:インターネットサイトを通じた成果の国際発信>
作成した3Dモデルを、インターネットを通じて公開します。これまで行われてきた3D計測の成果は、一部専門の報告書などで公表されていますが、いずれも紙媒体によるものです。インターネットを利用すれば、平面的なものだけでなく、3Dモデルの強みを最大限に活かした成果発信が可能になります。

 

3Dデータおよび関連する考古学コンテンツを含むサイトを作成し、百舌鳥・古市古墳群がどのような遺跡であるのか、その価値はどこにあるのかを紹介します。また、サイトでは、日本語だけでなく英語による文章も併記することで、海外の日本の歴史に関心をもつ人々にも、その価値を発信していきたいと考えています。

 

 

▶︎3Dデータ計測のメリット


さまざまな角度から各部を詳しく観察できるようになる

鉄製の甲冑類などは、たとえ保存の処理をしていても、依然として複雑かつ壊れやすい資料であるため、細部を学問的に詳しく観察するには制約も少なくありません。そこで、正確で詳細な3Dデータを記録しておくことで、様々な方向から観察したい部分を詳細にみることが可能となり、研究の基礎データとすることができます。

 

実物を見ることのできない世界中の人に情報を発信できる

3Dデータを、インターネットを通じて一般向けにも公開することで、実物を見ることのできない世界各地の人に手に取るように観察し、古墳出土品を身近に感じてもらうことも可能になります。

 

 

 

ー今後の展開ー

 

▶︎3Dデータの活用

例えば、3Dプリンターによって実物大の複製品も作ることが可能となります。複製品であれば、地元の自治体や小学校での展示活用することができ、実物大の複製品を見て、触ってもらいながら、古墳に興味をもってもらうきっかけづくりができます。

 

▶︎実物の常設展示公開

画面上で見て興味・関心を持っていただいた方には、実物を見てもらい、本物を実感してもらう機会も設けたいと考えています。そのため、将来的には展示施設の確保、環境整備を整え、大阪大学で常設的に展示公開ができるようになることを目指していきます。

 

▶︎さらなる研究と公開

今回はあくまで野中古墳に絞りましたが、大阪大学所蔵の「百舌鳥・古市古墳群」出土品は、野中古墳に限りません。それらの出土品が有効に活用できるよう、さらなる研究と公開を進めていきます。

 

 

 

「知る」きっかけをつくることで、遺産を未来へ残していきたい 

 

過去のことを正しく「知る」ことは、現代社会がどのような歴史の流れを経て今のかたちとなったのか、これからの社会がどうあるべきかを考えるきっかけになります。

そして、地域の人々が、身近にある遺跡のことを「知る」ということは、地域としての誇りにもつながると考えています。

 

歴史の遺産を未来へと残し、伝えていく。それが、現代を生きる私たち課せられた大事な役割なのではないでしょうか。

 

私たちと一緒に、百舌鳥・古市古墳群などの稀有な文化遺産を、未来へと伝えていく担い手となっていただけませんか?皆さまの温かい応援・ご支援をお願いいたします。

 

 

ー資金使途ー

 

皆さまからいただいたご支援は、野中古墳出土品のうち主要なものの3Dデータを計測するための費用、それらのデータをもとに簡易に3Dモデルを見てもらうためのホームページを作成するための費用として、大切に活用させていただきます。

 

 

特定寄附金による税制優遇について

 

大阪大学へのご寄附については、税制上の優遇措置が受けられます。
 
- 個人の皆様-
■所得税の軽減
大阪大学への寄附金は、所得税法上の寄附金控除の対象となる特定寄附金(所得税法第78条第2項第2号)として 財務大臣から指定されています。具体的には、寄附金の額(当該年分の総所得金額等の40%を限度とする。)から2,000円を除いた額を所得から控除することができます。
 
■住民税の軽減
大阪大学への寄附金を個人住民税の控除対象としている都道府県・市区町村にお住まいの皆様は寄附金税額控除の適用を受けることができます。具体的には、寄附金の額(当該年分の総所得金額等の30%を限度とする。)から2,000円を除いた額に対し、以下の率を乗じた額が、翌年の個人住民税額から控除されます。
  ・大阪市:10%(府民税2%+市民税8%)
  ・吹田市・豊中市・茨木市・箕面市:10%(府民税4%+市民税6%)
  ・堺市:2%(府民税のみ)
  ・上記以外の大阪府下の市町村:4%(府民税のみ)
 
大阪大学への寄附金は、例えば以下の都道府県・市区町村の個人住民税控除対象となっております。
 
【具体例】
吹田市・豊中市・茨木市・箕面市にお住まいの方は、寄附金の額(当該年分の総所得金額等の30%を限度とする。)から2,000円を除いた額に10%(都道府県民税4%・市区町村民税6%)を乗じた額が、翌年の個人住民税から控除されます。
 
大阪府(個人住民税控除対象外の市町村)にお住まいの方は、寄附金の額(当該年分の総所得金額等の30%を限度とする。)から2,000円を除いた額に4%(都道府県民税)を乗じた額が、翌年の個人住民税から控除されます。
 
- 法人様-
大阪大学への寄附金は、法人税法上の指定寄附金(法人税法第37条第3項第2号)として財務大臣から指定されています。
具体的には、寄附金の全額を、一般の寄附金の損金算入限度額と別枠で、損金算入することができます。

 


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