皆さん、こんにちは。シャンティ国際ボランティア会(SVA)、ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所の菊池礼乃(きくちあやの)です。現在は、タイ・ミャンマー(ビルマ)国境の街、メーソットに住んでいます。

 

この度は、タイ・ミャンマー(ビルマ)国境の難民キャンプにおける図書館活動をご支援くださって誠にありがとうございます。Readyfor?でのプロジェクトが開始して以降、難民キャンプ出張が続いており、私の言葉で難民キャンプの図書館活動についてお伝えできずにおりましたが、改めて、難民キャンプの現状、難民キャンプでの図書館活動、そして私自身の活動に対する思いをお伝えしたいと思います。

 

   (写真:メラ難民キャンプ)

 

 

<難民キャンプの状況>

 

タイ・ミャンマー(ビルマ)国境の難民キャンプについては、2010年から開始された日本への第三国定住のパイロット事業のニュースの中で耳にされた方がいらっしゃるかもしれません。現在、この国境には、公式に9か所の難民キャンプがあり、私たちの活動はそのうちのカレン族が主流となっている7難民キャンプ、21館の図書館で実施しています。

 

1984年以降、長年が続いてきたミャンマー(ビルマ)での紛争、人権弾圧から逃れるために国境を渡ってタイ側へやってきた難民は14万人に及びます。2005年以降、第三国定住制度で7万人以上の人々がアメリカを中心に第三国へ渡っていきましたが、同時に新しい難民の流入が続き、現在でも難民キャンプの人口は14万人を超えています。タイ内務省の管理のもと、難民キャンプの運営は、難民で構成される難民キャンプ委員会により自主的に行われ、その下には、食糧配給、健康・保健、教育、治安、水・衛生などの小委員会があり、国際機関やNGOと協働しています。難民キャンプへの支援として、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)、IOM(国際移住機関)、20団体近い国際NGO、コミュニティ組織が活動しています。

 

その中で、SVAでは、2000年からタイ・ミャンマー(ビルマ)国境の7か所の難民キャンプでコミュニティ図書館事業を行っています。具体的には、図書館にカレン語、ビルマ語の本を配架し、図書館での読書や貸し出しはもちろん、子どもたちへの絵本の読み聞かせや、本の物語を利用した人形劇、様々なゲーム、お絵かき、折り紙なども行われています。その他、伝統文化活動として、各難民キャンプ10を超える民族の伝統文化公演支援、また、カレン語、ビルマ語での絵本・民話集出版、さらには難民キャンプ青年活動の支援を行っています。

 

  (写真:ヌポ難民キャンプでの青年グループによる絵本の読み聞かせの様子)

 

 

<近年の難民キャンプを巡る変化>

 

2000年からこのような図書館活動を行ってきましたが、この数年、タイ・ミャンマー(ビルマ)国境の難民キャンプをめぐる状況に変化が起こってきました。長年の援助疲れ、そして特に最近のミャンマー(ビルマ)国内の民主化の動きに合わせて、ドナーの目がミャンマー(ビルマ)国内開発に向き始め、難民キャンプで活動するNGOの撤退、支援規模の縮小が余儀なくされています。特に、教育分野では、これまで基礎教育を広く支援してきたヨーロッパに拠点を置く国際NGOが2012年での事業終了が決まり、昨年の段階で難民キャンプでの教師の給与が十分に支払われなくなり、(その他、第三国定住の影響もあり)教師の数が少なくなる、生徒が教育費を払う、という状況が起き始めています。

 

実際、確かにミャンマー(ビルマ)国内では、様々な政治状況の変化があり、昨年よりタイ政府から難民キャンプの閉鎖に関する話も出始めていますが、国境ではたくさんの地雷が埋まっていること、まだビルマ政府と少数民族の間で紛争が起こっている地域があること、そして長年にわたり難民キャンプでの生活を余儀なくされてきた人々のビルマ政府に対する不信感が根強いこともあり、タイ側に住む難民の自主帰還が実現するにはまだ時間がかかりそうです。さらに、これらの難民キャンプからの第三国定住も来年からは縮小される方向にあり、難民の人々が置かれている状況も一層厳しいものとなってきています。

 

  (写真:タムヒン難民キャンプの子どもたち。このキャンプではすでに第三国定住は終了。)

 

 

<図書館活動ができること>

 

このような状況の中で、難民キャンプの図書館活動ができることは何でしょうか。

 

紛争によってすべてを失い、やっと難民キャンプにたどりついた人々にとって、衣、食、住が提供されることはもちろん必要だと思いますが、それだけ満たされれば人は生きていけるのでしょうか。ここからは私自身が難民キャンプでの活動を通して感じていることですが、閉鎖的なキャンプの中での生活が長期化し、将来への展望も見えない状況にある中で、本を通して新しいことを知ること、図書館員や友達との交流を通して自分を表現することを学ぶこと、図書館で本やイベントを通して学んだことを実践/実現してみること、伝統文化活動を通して自分のアイデンティティや文化を大事にすること、等は「人間の生きがい」や「希望」につながるのではないかと思っています。だからこそ、ウンピアム難民キャンプの大規模火災で再度すべてを失った人々が、図書館に来て本を読みながら時間を過ごすこと、図書館員と話すことで「気持ちが少し楽になる」と話してくれたのではないかと思います。

 

  (写真:ウンピアム難民キャンプでの大規模火災後、図書館に来た子どもたち)

 

 

<ご支援、よろしくお願い致します!>

 

先週、難民キャンプに出張した際に、「SVAも他のNGOと同様に、難民キャンプでの活動を終えてしまうのか?」と尋ねられました。その際に「私たちは、難民キャンプがあり続ける限りは、図書館活動を続けていくつもりです。」と答えています。もちろん、国際的な情勢をよく見ていくことも大事ですが、図書館活動を必要としている人がいる以上は、活動を続けていきたいと思っています。

 

今後の図書館活動維持のためにも、特に今回大規模火災で大きな被害を受けたウンピアム難民キャンプの図書館について、ご支援いただけますと幸いです。

 

なお、私の難民キャンプへの出張は今後も続く予定で、その際はインターネットへのアクセスができないため、このプロジェクトは私、SVAミャンマー(ビルマ)難民事業事務所長の小野豪大、SVA東京事務所のミャンマー(ビルマ)難民事業担当の鈴木晶子、その他SVA職員と協力しながら実施しています。今後、このチームで私たちの活動の情報を更新していきますので、どうぞよろしくお願い致します。

 

改めまして、皆さま、ご支援どうぞよろしくお願い致します。

 

菊池礼乃

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