特別インタビュー企画
「ラブ・アク」
 星モリエ×恋する役者
 『ROMEO & JULIET』参加メンバーが語る、彼らの思いと恋。

ラブ・アクター/アクトレスを略して「ラブ・アク」。ロミジュリを背景に役者たちの愛や恋への思いを探ります。
第10回は吉川瑛紀。HIRUYASUMIでクセのある役といったらこの人!悪役でも人気が高い不思議な愛されキャラの役者です。

 

ラブ・アク 第10回

 


役者:吉川瑛紀(よしかわひでき)
~生きてく、生きてゆく~

 

星モリエ(以下モリエ):なんで今日は外集合なのだ~。しかも公園!吹きさらしで寒いよ~吉川さんはおじいちゃんみたいな人だったよね、確か。(参照:演劇ism第5回:吉川瑛紀)キャラ変してないといいんだけど…

 

吉川瑛紀(以下、吉川):あのぉ、こんにちは。

 

モリエ:あ!吉川さん、どこから現れた!気づいたら背後に立ってますね!公園の入り口ずっと見てたのに来たのわからなかったですよ~。

 

吉川:へへへ、わざわざ自宅まで来てもらっちゃってすみません。

 

モリエ:キャラ変わってなくて安心するぅ!ひでじぃのままだ!ひでじぃの自宅ってここら辺なんですね。

 

吉川:いやぁ、お恥ずかしい限りです。

 

モリエ:じゃあ早速自己紹介してもらってもいいですか?

 

吉川:自己紹介ですか!?恥ずかしいなぁ…えっと…みんなからはヒデさんとか、ヒデって呼ばれてます。

 

モリエ:この前は自分のことひでじぃって言って年を気にしてましたよね。全然ひでじぃとか呼ばれてないじゃないですか!よかったですね~

 

吉川:はい、そうなんです。青テントの源さんとか、元証券マンの山さんとか、今のねぐらの仲間たちはみんな私より年上ですからね。仲間って言ってもまだ3ヶ月くらいの付き合いですけど、へへ。

 

モリエ:青テント…元証券マン…?不穏なワードがちりばめられてるんですけど…もしかして、まさかとは思うんですけど…

 

吉川:あ、はい、そうですね。実は今家がないっていうか、そのなんというか、あるにはあるんですけど。まあさっきも言った通りここが自宅なんですね。段ボールハウスといいますか、いわゆるホームが無い状態です。

 

モリエ:え!?この前お会いしたときは全然そんなことなかったですよね!?この短い間に何があったんですか!?

 

吉川:自分の過去ですか?まあ…昔の話はあまりしたくないっす。いろいろあったんですよね、俺も。あのときああしてればなあ、ってよく思いますよ。今は主に新宿辺りをねぐらにしてます。炊き出しも多いし、人も多いですからね。小銭も稼ぎやすいです。その分取り締まりも多くてね…こないだなんか大変なことがあったんですよ。

 

モリエ:なんでぇ、なんでぇ…こんな急激に人の人生って変わっちゃうの…うぅ…大変なことっていうのは何があったんですか…?

 

吉川:もうね、小銭稼ぎって言ってもなかなか稼ぐのも難しくてね。新しい商売始めようと思って、売れるものは無いかな~ってそれで思いついたんです。公園の砂から砂鉄を集めて小学生たちにおもちゃみたいな感じで売れば少しは稼げるんじゃないかって。今の子供ってそういう昔の遊び方知らないでしょ、お金は持ってるし興味を持って買ってもらえるんじゃないかなって。

 

モリエ:あぁ、確かに小学生なら砂鉄が磁石で動いてるのとか見たら買いたくなるかもしれませんね!

 

吉川:でしょぉ!?それでなけなしの金で磁石買ってね、公園の砂場で来る日も来る日も砂鉄集めましたよ。1キロくらいは集まったんじゃないかな。それを拾ってきた小さい袋だったり薬袋とかそういったものに小分けにして『マジック・パウダー』って子供たちが喜びそうなキャッチフレーズまでつけて公園で売ったんです。

 

モリエ:努力すごい!ひでじぃはやっぱり立ち直れる人間なんだ!

 

吉川:売り始めて1時間で3袋売れたんです。これはやったと思って、小学生たちの前で「寄ってきな、見てきな、不思議なことが起こる粉『マジックパウダー』だよ!」って大声張り上げてたら急に後ろから声掛けられたんです。「警察ですけど、何してるんですか?」ってね。

 

モリエ:ひっ

 

吉川:その後は警察署まで連れてかれて、マジックパウダーってなんなんだって尋問です。「砂鉄です」なんて言ってもなかなか信じてもらえなくてね…脱法ドラッグ売ってるんじゃないかって疑われちゃって。まあ調べてすぐ砂鉄ってわかったから帰してもらえたんですけど、大変でしたよ…。

 

モリエ:涙出ちゃいますね…でもでも、ほら!辛いこともあったけど、ロミジュリに出演するんですもんね。すごいじゃないですか!

 

吉川:いやいや、びっくりしましたよ。もう携帯も無くて誰とも連絡取れない状況でしたのでまた誘ってもらえるとは。

 

モリエ:そんな状況でどういう経緯で出演が決まったんですか?

 

吉川:ここで寝てるときにね、若者にいわゆるホームレス狩りをされてまして、そこで助けていただいたのがHIRUYASUMIの皆さんだったんですね。「お~久しぶり!今度ロミジュリやるからひでじぃ出ない~?」って、その場で誘われちゃいました。

 

モリエ:え?みんなひでじぃの境遇とかへの驚き全くなし?すごくない?ホームレス狩りからの出演交渉そんなシームレスに普通できる?しかも知り合いよ。

 

吉川:人に頼りにされるなんて久しぶりでしたから…即答でしたね。「やります」って。昔取った杵柄でもありますしね。

 

モリエ:そこまでの昔ではないんですけどね。じゃあ続けての質問でひでじぃにとって一番の恋を教えてください!

 

吉川:恋、ですか…まあ俺にもいろいろあったっすからね。恋か。裏切られた記憶しかねえっす、へへ。まあそういう人間なんですよ俺は。裏切られて、人を信じられなくなって、自分も信じられなくなって、んで最終的には路上生活に落ち着くってね。まあ、逃げたんですよ俺は。嫌なことから逃げて逃げてたどり着いたのがこの社会の底辺だったってわけです。もう二度と恋なんてできねえんじゃねえかなあ。

 

モリエ:お願い、泣かせるのはやめてぇ…ひでじぃまた絶対恋できるって!モリエはできるって信じてるよ!だって世の中って「え?なんでこの人結婚できたの?」って結婚指輪見て驚くこととかすごいよくあるじゃん。だからひでじぃだって絶対できるはずなんだよ!

 

吉川:ありがとう、モリエさん…ありがとう…面目ねえな…、こんな若いお姉ちゃんに励まされちゃうなんてよぉ…

 

モリエ:いいんです!人はみな持ちつ持たれすですよ。じゃあ最後に、ひでじぃ出来るかなぁ…ラップってやってもらえますか?みんなにやってもらってて…

 

吉川:ラップねえ。やったことねえけど、頑張ってみますわ。人に頼りにされるっていいもんだな。久しぶりに人の温もりに触れた気がします。

モリエ:ありがとう、ひでじぃ…それじゃみなさん!ひでじぃの魂のラップ、心して聞いてください!

 

吉川:愛なんてねえ 恋なんてねえ 社会に温もりなんてねえ
俺には無理 恋なんて無理 一人で眠り 過ごすこの夜は
裏切られ 逃げて たどり着いた 
この公園で掴む 幸運
信じるの 信じられないの 俺には もう進むしかねえ

 

 


この数年間の間にひでじぃに何があったのか、モリエにはわかりません。でもひでじぃの魂はなんも変わってないんだ。だからひでじぃはもう一度立ち上がれる!そんなひでじぃの社会復帰へのリハビリがこのロミジュリなんだなぁって。HIRUYASUMIに感謝です。

 

※ラブ・アクはフィクションとノンフィクションを織り交ぜてお送りするインタビュー企画です。次回更新もお楽しみに!

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