プロジェクト終了のご報告
本プロジェクトを支援してくださった皆様
法隆寺金堂壁画の保存活用活動にご支援いただき、ありがとうございました。
本年度の法隆寺金堂壁画保存活用委員会の活動が終わりましたので、
プロジェクトの終了報告をさせていただきます。
プロジェクトでは、以下の三つの目標を掲げて、皆様にご支援をお願いいたしました。
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①前室設置工事費および調査費
昨年の小規模だった仮設前室から大きく拡充した前室を設置。収蔵庫現地での将来的な一般公開を念頭におき、前室設置の効果を測ります。
②デシカント式除湿機導入工事費および調査費
新たなタイプの除湿機を導入し、データを収集。将来的な一般公開に向けて最適な除湿方式を検討します。
③収蔵庫見学実施に必要な諸経費ほか
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以下、順番にご報告いたします。
①前室設置工事費および調査費
新着情報などでお知らせしていたとおり、昨年度設置したものより大きく、除湿機の性能を生かすことのできる前室が完成いたしました。(写真の建物の中央、壁の色が異なる部分です)
壁自体が箱のような形になっており、その空洞部分に除湿機で調整された空気を送り込み、そこからしみ出させるような形で急激な温度や湿度の変化を防ぎ、壁画の保存に適切な環境を守ります。
②デシカント式除湿機導入工事費および調査費
途中経過をご報告していたとおり、壁画収蔵庫の脇に小屋を設置し、その中にデシカント式除湿機DESICAを設置しました。
壁画の支援者限定公開時だけでなく、壁画の調査で人が立ち入る際にも稼働し、庫内の環境を適切に保ち、より安全に調査・研究を進めることが可能になりました。
③収蔵庫見学実施に必要な諸経費ほか
壁画収蔵庫の見学実施にあたっては、みなさまのご案内や、壁画を守るために必要なスタッフの手配をはじめとして、
金堂壁画について知っていただけるよう、パンフレットなども制作いたしました。
これらも皆様のご支援のおかげをもちまして、不足なく準備を整えることができました。
また、法隆寺金堂壁画保存活用委員会では、以下のような調査も行いました。
金堂内部で被災し、のちの地震の影響もあり断片となっている山中羅漢図の光学調査を行いました。
これにより壁画に用いられていた材料などの解析を目指しています。
また、昨年度に引き続き、壁画の高精細デジタル写真撮影を行いました。
法隆寺昭和大修理の一環として行われた昭和10年の撮影の手法を踏襲・刷新し、
比較研究ができることを意図しています。
今年度は1号壁・9号壁・10号壁の撮影を行い、これで大壁4面の撮影がすべて終わりました。
全図の撮影と分割撮影とを行い、現状を記録するとともに、
壁画の美術史的な研究にも役立てることが期待されています。
また、今年度の法隆寺金堂壁画保存活用委員会の活動を締めくくる、ワーキンググループの全体会合と、年次総会が、3月18日に法隆寺で行われました。
そこで、支援者限定公開の報告があり、またこれまでの調査結果を盛り込んだ「法隆寺金堂壁画の保存と活用に関する提言(案)」について審議されました。
皆様のあたたかいお力添えのおかげで、ここまで研究を進めることができました。
厚く御礼申し上げます。
法隆寺金堂壁画保存活用委員会は、引き続き、将来的な一般公開に向けて歩みを進めてまいります。
今後とも、法隆寺金堂壁画にお心を寄せていただければ幸いです。