いじめをなくす！子どもいじめ防止学会の活動費を募集します

私が精神科医・児童精神科医としていじめの問題にきちんと向き合うようになったのは、私自身が若手で未熟であった時にいじめ被害の隠れた影響を把握しきれず、あるお子さんに辛い思いをさせてしまったことです。いじめの被害は被害者のその後の人生に大きな負の影響を残します。成人後も様々な精神疾患の発症リスクになるだけでなく、成人病などの身体疾患リスク、自殺や自傷、薬物アルコールの濫用、労働生産性の低下など、その負の影響は甚大です。いじめ自殺の第三者委員会では、自殺に追いこまれた子ども達の悲痛な叫びのような遺書も多く目にしてきました。「こんな辛い思いを子どもたちにさせてはならない！」、「こんなつらい思いをした子どもたちにどうにかして援助の手を差し伸べなければならない！」そんな気持ちで活動を続けてまいりました。

心的外傷後成長（Post Traumatic Growth：PTG）という概念が有ります。辛い体験をし、その時は激しく傷ついても、その後に素晴らしく人間として成長することがあることです。たとえば親しい人との死別や自身の傷病、災害などのストレスフルな体験の後に、他者との関係の大切さに気づくことや精神的な変容が生じること、人間としての強さを獲得することなどの人間的な成長が生じることです。このようにトラウマには負の側面でない点もあるのですが、いじめ被害ではこのPTGは極めて起こりにくいことを臨床では実感してきました。いじめの問題を少しでも起こさせない、いじめ被害を早期に食い止める、いじめ被害を受けた子どもたちに早期に発見して早期に適切な援助をする、これらがとても重要だと思います。そしてそれを実現するためには単一の職種、単一の機関では極めて困難だということも実感してまいりました。

そんな折に野村武司さん、和久田学さん、奥山清さんといった皆様と横断的学際的な学会を設立しようと動き出すことができました。クラウドファンディングでの資金調達には不安がありましたが、諸手続きなどをしてくださった事務局の子どもの発達科学研究所の皆さんをはじめ、多くの同志の皆さんと共に動き出すことができ、こんなにも多くの賛同者の皆様にご協力をいただくことができました。心からの感謝の気持ちと、皆様の支援の気持ちを無駄にしてはならないという身の引き締まる思いでいっぱいです。今後、一人でもいじめ被害で苦しい思いをする子どもが減るような活動や調査研究を発表できる場をつくり、提言していける学会を皆様と共に作っていきたいと思います。本当にありがとうございました。

クラウドファンディング終了まで、あと12時間を切りました。このチャレンジは残りわずかとなりますが、皆さまどうか最後まで見守っていただけますと幸いです。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

一般社団法人子どもいじめ防止学会
理事　桝屋 二郎