今回、「奇跡の一本松を江戸伝統木版で復活させる」プロジェクトを立ち上げた浮世木版の川崎です。

 

江戸伝統木版というのは、江戸時代の浮世絵から作成技法を引き継がれた木版画です。浮世絵は世界的に有名ですが、それはすなわち、日本にしかない木版画が世界的に有名なのです。

日本人ほど木版画に情熱を傾けた国民は世界に類を見ないことでしょう。

木版画には深い世界があり、私はそれに没頭しているひとりでもありますが、そのデープな世界を私の体験談をもとにご紹介してみたいと思います。

 

過去私が趣味で作った木版画年賀状の例

 

作った木版画年賀状の版木例(5枚構成)

私が小学生の3~4年生の時だったと思います。父親の友人で正月になると年賀状に多色摺りの木版画を送ってくる人がいました。それが何とも魅力的で、印刷では表わせない独特のオーラを発してように感じられました。

好奇心旺盛な時期ですので、私もそれを自分で作ってみようと思いました。

木を彫って絵の具を付けて年賀状に摺る。でも、色を複数付けたいので、彫った木版に色を付ける際に、部分的に色を変えるという方法を取りました。

でも、それだと確かに色は複数付くのですが、彫る都合上、色と色との間隔を開ける必要が出てくるのです。ですから、その出来上がりは、父親の友人のものとは比べ物にならないひどいものでした。

父親の友人の年賀状をよく見ると、色と色は綺麗に隣り合わせになっています。更によく見ますと、色と色が微妙に重なり合ってもいるのです。

そこで気がつきました。

「複数の板を彫って、重ね合わせるように摺ってやればいいんじゃん!」

さっそくやろうと思いましたが、大きな疑問が生じました。

「どうやってズレが出ないように重ね合わせをするんだ?」

そこで位置合わせの方法を編み出したのですが、後年それは「見当」と言われるものであることを知りました。

私の見当は、川崎流とも言うべき自己流で、年賀状の1つのコーナーとそれに隣接したヘリを使って位置合わせを行います。伝統木版的には、コーナーのL字(カギ見当)とヘリ(引き付け見当)を版木に彫って見当を作ります。

ただ、私の自己流も原理的には伝統木版のものと同じものです。

 

参考URL:

https://www.ukiyomokuhan.com/ja/how-to-make-woodblock-print-ja

 

自己流ではあるものの、なんとか重ね摺りの基本的な手順ができましたので、その後毎年40年以上、年末になると次の年の年賀状の木版画作りに没頭してきました。

日本の歴史的にも、この重ね摺りと見当の発明というのは重要で、浮世絵が誕生するきっかけとなったそうです。教科書的にはそれは鈴木春信が編み出した、ということになっています。実際には、鈴木春信が歌会の席で、歌を書く紙に摺ってある木版画の絵に色を付けたいと思い、あの平賀源内に相談したそうです。そして平賀源内がこの方法を編み出して、鈴木春信が普及したということのようです。

ということは、私は小学生にして平賀源内並みの発明をしちゃったかな?

と自負したりもしますが、普通このようなことは人から聞いて覚えるものですね。(笑)

とかく私が在中してる愛知県一宮では、浮世絵レベルの木版画に出会う機会もなければ、その情報ですら当時ではほとんど何も無かったのです。

そんなこともあって、私は浮世絵が木版画であるということすら知らないままに、こんな木版画作りをやっていたのでした。

(次回につづく)

 

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