今回は、私がジャマイカに残ろうと決意したきっかけになったゲットー(ジャマイカの貧困地区)について紹介したいと思います。

友人で、貧困地区に生まれ育ったロビーさんにゲットーの現状を話していただきました。

 

13年前、協力隊でジャマイカに来た時にゲットーの「貧困層が貧困から抜け出せない悪循環・固定化」という現状にすごくショックを受けました。また、物価は日本と変わらないにも関わらず、国の定めた最低賃金が時給150円程度と非常に低く、フルタイムの仕事についたとしても月給3万~4万程度です。さらに、ゲットーではこんなことも起きています。

  • キングストンのゲットーは世界でもトップクラスの銃器殺人率を持つ
  • 身内のレイプが多く、ジャマイカ女性の初体験年齢は10歳前後
  • 健全な教育機会が少なく、給料も安いため、結果若者が犯罪に走る
  • 犯罪に走る若者がギャング組織へ参加し、抗争が起き、住民が巻き込まれる
  • 麻薬がはびこっている
  • 親も教育を受けてこなかった場合が多く、家庭環境も悪い

体操を通じて何かしてやりたい、と思いゲットーの子たちが通う学校から才能のある少年たちをスカウトし、世界を目指して走り始めたのがこのころです。また、貧困地区での教室開催も始めました。

 

スカウトした選手のうちの一人の父親は、殺人犯&麻薬売買の常習犯でした(のちに発覚してビビりました)。練習後に選手を家に送っていくと、直前に彼の兄弟が銃で打たれていて、血の海の現場に出くわしたこともありました。貧困層の子供たちは多くが本当に劣悪で不健全な環境に育っている、と言わざるをえません。

 

貧困地区に住み、家族から金銭的なサポートが受けられない、時にはお金がなく昼ごはんを抜いて練習にくることも多かった選手たち。体操競技を世界レベルに達するまで続ける事自体、日本でも相当難しい事です。普通に考えたら続くわけがなかった貧困層x体操競技の組み合わせです。協力隊に行く前、友人や家族に「ちゃんと帰ってきて日本で教員になるから!」といっていた約束を見事に覆してジャマイカで走り続けて13年。

貧困層の選手を2名、世界選手権に出場させる事ができました。もう一人の選手も世界選手権デビューを目指して、練習に励んでいます。

2009年、貧困地区出身の選手二人と初めてにアメリカ遠征へ。2人ともダントツで優勝しました。
左がダニエル選手、右はジョバーニ選手。

 

2017年の世界選手権には西田ジムからダニエル選手とニコラス選手が出場しました。ニコラス選手はジャマイカ史上初、ダニエル選手はジャマイカ出身選手として史上二人目の世界選手権出場となりました!

ダニエル・ウィリアムス(20)

貧困地区出身の選手の一人で、2017年の世界選手権に出場。大会本番に非常に強く、演技直前でも歌を歌っているような、ジャマイカ人らしい選手です。

 

 


世界選手権なんて大舞台に、オリンピックの次に大きな舞台に自分が来れたという事実に、色んな事に対する価値観が変わりました。

 

この経験は、本当に自分にとってかけがえのないものになったと思います。

友人たちに「世界選手権に出場したぞ」と伝えると、みんな驚き、喜んでくれました。本当に、普通の人には経験できない感覚だったと思います。

 

 

Q. 体操をしていなかったら、今何をしていたと思う?


体操の他に・・・?何も思いつきません。体操以外に。多分、本当に何もしてないんじゃないかな、と思います。体操のない生活なんて、きっと退屈だったろうと思いますね。

 

多分・・・毎日起きて、時々友だちと喋って・・・他に特に何もなし。もし体操してなかったら、多分そんな感じになっていたと思う。

 

西田コーチにスカウトされた日、今思えばあの日は自分の人生で一番幸せな日だったと思います。

 

なぜそう思うかっていうと、サッカーとか、他の事(誰でもできるようなスポーツ)じゃなくて、体操のようなスポーツをする機会をもらえたっていう事。

さらに、月謝も免除してもらってるんです。


僕はこういう機会がもらえたことの意味をよく考えないといけないと思う。

もしあなた(西田コーチ)が、「月謝は払わなくていい。それでも練習に来い。教えてやるから。」と言わなかったら・・・

 

本当に感謝しています。


沢山の友人とか、海外の大会に行ったりとかもできたのも、全部あなたのおかげです。だから、本当に感謝しています。

 

ジャマイカで自分の力で生活をする事による犠牲は今振り返ると相当なものでしたが、同時にジャマイカで活動する中で、日本では経験できなかったであろう貴重な体験、経験をつみ、大切な事を学ばせてもらいました。

 

そんなジャマイカを、そしてジャマイカの人々を健全な方向に向かわせたい。そのために、貧困地区の子供たちを巻き込んだ活動をもっとやっていきたい。そして、その活動を安定して提供できる基盤を作るのが、この体育館建設なのです。

 

建設からその後の活動拡大まで、絶対成功させます。この大きな一歩、皆様のお力添えでより強固なものになると思っています。ご協力、ご支援、拡散、宜しくお願いします!

 

貧困層の子供たちを対象にしたクラス。
体操を通じて礼儀やマナーを教え、彼らが少しでも多く健全な時間を過ごせるように頑張っています!