温かな応援とご支援、本当にありがとうございました。
皆さまのご支援のおかげでシリア国内にトイレ棟を建設することができました。これは大地震で被災し、厳しい避難生活を送る方々が衛生的で健康に暮らすために不可欠なものです。12年も続く紛争の影響で、シリアには故郷を追われて厳しい暮らしを強いられている人びとが数多くおいででした。大震災はこうした人びとの厳しい暮らしに追い打ちをかけました。皆さまの温かいご支援は、命を繋ぐためにやむなく避難された方々が、普通の暮らしを取り戻すための第一歩を物心両面から支えてくださいました。クラウドファンディングにご協力くださり、本当にありがとうございました。心から感謝申し上げます。
このクラウドファンディングによるプロジェクトはお蔭様で無事に終了しましたが、今回の大地震の被害は大きく、トルコ・シリア両国で亡くなった方は5万6,000人以上と言われていて、未だ仮設住宅等で避難生活を送る方が大勢おいでです。どうぞ引き続きご支援くださいます様、よろしくお願い申し上げます。
(事務局長・木山啓子)
【避難キャンプでのトイレ棟建設について】
水衛生分野での支援活動の重複や漏れが無いよう、国際機関やNGO等の支援団体が調整を行う「水衛生クラスター」が、事業前に支援ニーズを正確に特定するためのアセスメントを実施。私たちは水衛生クラスターとの協議・調整を行い、以下の基準に基づき、活動場所と活動内容を特定しました。
1. 適切な衛生環境を整えるため、トイレの増設を求めている避難民の方々が存在していること
2. 付近に水源があること
3. 水の供給と供給状況の管理を長期的に担う機関が存在していること
4. 多くの場所で水衛生支援が求められており、全ての支援ニーズに応えることが難しい状況下、限られたリソースに見合ったニーズの規模の場所であること
その結果を受け、北西シリアのサルカン市に位置するアル・アジャミ(Al Ajami)キャンプ内に手洗い場とシャワー室を備えたトイレ棟を建設しました。
北西シリア、サルカン市に位置するアル・アジャミ(Al Ajami)キャンプは、元々紛争の被害から逃れてきた人びとのためのシェルターとして建設されました。震災後は地震の被災者も避難して居住世帯数が増加。キャンプ内のトイレを含む水衛生施設の数が十分でなく、人びとはコレラや腸チフス、下痢等を患うリスクに晒されていました。トイレ棟の増設は喫緊の課題でした。
【トルコとシリアの被災地の現状】
国連の報告では、ジェンが水衛生支援を実施した北西シリアでは、人口の9割の人びとが、生活する上で最も基礎的なニーズを人道支援に頼っているとのことです。その多くは女性や子どもたちです。トルコでも地震から半年以上が経過した現在でも、仮設住宅やテント等に避難して暮らしている方々が多くおり、不安定な暮らしを強いられています。被災された方の中にはシリアの紛争を逃れて難民としてトルコで暮らしていた方や、難民を受け入れていたコミュニティの方がおり、地震以前から物価高騰や新型コロナ感染拡大の影響で厳しい生活を送っていました。ジェンは、厳しい暮らしを余儀なくされた、こうした方々の自立を支える活動を継続してまいります。
【収支報告】
皆さまからクラウドファンディングを通じて託していただいたご寄付106万4,000円は、経費を引いた全額を北西シリアでの緊急支援(水衛生支援)事業に使用させていただきました。また事業実施に際しては、クラウドファンディング以外の形でジェンに託していただいたご寄付も使用させていただきました。
(1) トイレ棟の建設
北西シリア、サルカン市のアル・アジャミ(Al Ajami)キャンプは、シリアの紛争を逃れた人びとのシェルターでしたが、地震後、震災の被害を逃れた人びとも避難しました。人口増加によりトイレ等の水衛生施設の数が不足、キャンプの住民の方のトイレへのアクセスと衛生環境を改善するため、トイレ棟を10基建設しました。結果的に、1,800人以上の方々がこれらのトイレ棟による便益を受けられるようになりました。震災後にキャンプに移り住んだ住民の方からは、「避難当初はトイレの数が十分ではなかった。トイレを使うためには長い間待たなければいけなかったが、事業後には状況が改善し、トイレに行くことがずっと簡単になった」という声が聞かれました。また、このプロジェクトに関わった全ての人に心から感謝しているという声もお聞きしました。
(2)トイレ棟の構造
1基のトイレ棟には、手洗い用のシンクが4つ、シャワー室が2つ、トイレが2つ設置されています。屋根に設置された太陽光パネルで、照明のための発電を行います。
【リターンの発送状況について】
・ 領収書は2023年7月上旬に発送いたしました。
・ 御礼のメールにつきましては、2023年5月26日に配信いたしました。
・ 9月28日頃にニュースレター92号をお送りさせていただく予定です。
【今後について】
ジェンは、2021年よりトルコにて提携団体とともに支援活動を実施してまいりました。不安定で厳しい暮らしを送っていたトルコ国内のシリア難民の方々や難民の受け入れコミュニティの方々は、新型コロナ感染拡大や、物価と食糧価格の高騰を受け、更に厳しい生活を強いられました。こうした方々へ食糧を購入できるバウチャー(プリペイドカード)を配付し、その暮らしを支えさせていただきました。この大規模な地震で被災された方の中にも、難民や受け入れコミュニティの方々がおられ、尊厳と自立のある暮らしを取り戻すための支えを必要とされています。ジェンは、今後もこうした人びとの自立の一歩を支援させていただきます。皆さまが支えてくださった人びとを忘れず、今後もジェンの活動を見守っていただけますと幸いです。皆さまからのご支援に、改めて心から感謝申し上げます。
特定非営利活動法人ジェン