【知ってほしい10のこと｜その3】ネコを（野生動物への被害の）加害者にしないために

 

世界では、開発による生息域の減少、密猟や乱獲、温暖化による気候の変動といった様々な理由で多くの野生動物たちが絶滅の危機に追いやられていますが、実は最近、特に小動物の被害でかなりの割合を占める原因は『ネコ』だということを皆様ご存知でしょうか。

 

放し飼いを含む外で暮らすネコの野生動物への被害は、あまり知られていませんが、実は深刻な問題となっています。

 

奄美大島でも絶滅危惧種であるアマミノクロウサギが離乳期にネコに襲われ、数を減らしているという現状があり、また、 2020年の4月にも天然記念物のケナガネズミが猫に襲われて亡くなったことがニュースとして取り上げられました。

 

実際、JWCに保護されてくる野鳥の中でもやはり多いのは『ネコによる被害』です。ネコは、空腹を満たす為に小動物を捕まえるというよりも、『遊び』で狩りをすることが多々あり、鋭い牙や爪が深く突き刺さった場合、見た目より損傷が大きいケースが多く、ほとんどが数日中に亡くなってしまいます。

 

このようにネコが生態系に及ぼす影響は日本に限らず、環境保全の観点からは世界的にも問題視されており、オーストラリアでも環境エネルギー省が2019年に発表した数値で、『ネコの獲物になるオーストラリアの固有種は、全土で野鳥は1日当たり100万羽以上、爬虫類は170万匹以上』と推計されているそうです。

 

日本では、ネコは『イエネコ(ノネコ)』として実は“外来種”とされています。外来種というと、『海外から持ち込まれ、繁殖してしまったもの』というイメージが強いかと思いますが、元々日本に生息していたツシマヤマネコやイリオモテヤマネコ以外のネコは、『飼育下にいるべきものが逃げ出し、繁殖してしまったもの』として、外来種とされるのです。

 

 

その中でも、野生化したイエネコは特定外来生物であるアライグマと同じ、『緊急対策外来種』のカテゴリーに分類され、生態系に及ぼす危険度はハクビシンやドブネズミよりも高く設定されているのです。

 

更に残念なことに、ネコは世界各地でも在来種の減少や絶滅を引き起こす要因に成り得るとされ、 IUCN(国際自然保護連合)の世界のワースト外来種 100 にも入ってしまっています。

 

とは言え、私達は決してネコの駆除などは望んではいません。

 

現在、各所で行われている活動のひとつとして、TNRというものがあります。これは、野良猫を捕まえて(Trap)、避妊・去勢手術(Neuter)を行い、また元居た場所へ帰す(Return)、という取り組みです。

 

それに加え、ぜひ私達としては、『ペットのネコは外に放さない、放し飼いにしないで欲しい』という想いと共に、『野良猫たちに生涯安心して暮らせる温かい家庭を与えてあげて欲しい』という願いがあります。

 

もちろん、保護猫活動をされてらっしゃる方々のお話も伺い、どこも収容頭数が限界を迎えている現状も承知していますが、『理想論』であったとしても提唱し続けることで、誰かひとりでも「里親になってみようかな」「外で暮らしていた野良猫を家に迎える為にはどういった準備が必要なのかな」と考えていただけるきっかけになればと考えています。

 

実は、私の家でもネコを3匹飼っているのですが、みんな元は野良猫でした。うち、2匹はある程度大きくなっていたので、初めの頃は警戒心もありましたが、今ではすっかりその面影もありません。みんな、大切な家族です。

 

 

たくさんの人から愛されるネコを加害者としない為にも、少しでも多くの子が温かい家庭に迎えられることを私達は願っています。