金沢発！未来のがん研究者を育む「がん克服プロジェクト」

がん細胞のシグナルを蛍光イメージングで可視化する

 

 

｜｜担当教員：平田 英周 (がん進展制御研究所／ナノ生命科学研究所)

 

 

｜｜がん細胞におけるシグナル伝達

 

私たちの体はおよそ37兆個、270種類もの細胞から構成されています。これら細胞のそれぞれが巧妙な仕組みによって様々な物質をやり取りし、生命の維持に必要な活動を行っています。また各細胞内においても、細胞としての個々の目的を達成するため、秩序立った活動制御が必要です。この細胞間や細胞内における活動制御のための通信手段をシグナル伝達と総称し、その正体は様々な伝達分子の衝突と変形の連鎖（すなわち連鎖的な化学反応）です。がん細胞では様々な遺伝子の異常により、このシグナル伝達に異常を来しています。例えば、細胞内には増殖するときに必要なERKという分子がありますが、多くのがん細胞では何らかの遺伝子異常によってこのERKが異常に活性化しており、細胞が無秩序に増殖してしまいます。このようなシグナル伝達の異常を標的としたがん治療薬の開発が世界中で活発に進められており、そのうちいくつかは劇的な効果を示しています。
 

 

｜｜本プログラムでは

 

　がん細胞におけるシグナル伝達の基礎を学び、これを生きた細胞の中で可視化する技術（蛍光顕微鏡と蛍光バイオセンサーの原理）を理解します。また実際に蛍光バイオセンサーを発現したがん細胞を培養し、これを最先端の蛍光顕微鏡でイメージングすることで、シグナル伝達の異常を定量的に解析・評価します。

 

蛍光ライブイメージングによるがん細胞のシグナル伝達可視化 

（左）オリンパス社製 IX83倒立型蛍光顕微鏡
（右）肺がん細胞のERK活性を可視化した動画

 

 

体験学習では、実際にがん治療に用いられている薬剤を使用し、
肺がん細胞が薬剤に応答する様子を定量的に解析して頂きます。

 

 

｜｜体験できる内容

 

１）がん細胞におけるシグナル伝達の基礎
２）顕微鏡と蛍光バイオセンサーの原理
３）細胞培養の基本と実習
４）蛍光顕微鏡によるがん細胞のライブイメージング
５）解析ソフトウェアによるシグナルの定量解析