「たけし軍団を作りたいんだ」

 

2010年。春。悪魔のしるし「禁煙の害について」がきっかけで入団しました。劇中、困る状況になると 「回る」システムの装置に背中をくくりつけられた役でした。今まで自分が思っていた演劇観を覆す演出。役者の即興から生み出すストーリー。私小説のような演劇の作り方と、複雑なレイヤー。
自分はキグチさんの演劇に魅了されました。

 

 

同年。夏。瀬戸内芸術祭に、きぐちさん(と、カメラマンの杉田さん。悪魔のしるしメンバー石川さん と金子さんは後から合流)と参加しました。一週間前乗りして、豊島(てしま)という島でひたすら搬入制作に没頭していました。ある夜。「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ」をYouTubeでみていたきぐちさんは、酔って大笑いしながら「森さん!これだ!これこれ!」と仰ってました。どういうことなのかは、よくわかりませんでした。

 

 

2011年。
「森さん、搬入の先にくっつかないか?」と電話がきました。意味がわからなかったけど「はい!」と答えたら、一呼吸置いて、「下手すると森さんが死ぬかもしれないんだ...」と心配そうに言いました。「そこまで心配してくれるんだ」とぼくは感動しました。その後、生命保険会社のリンクが送られてきました。「これはマジだぞ」と感動が散りました。

 

 

無事に、僕は搬入の先端にくくりつけられ、怪我もなく終わりました。僕は、島でキグチさんが「これだ」と言った意味がわかりました。そうか。あのときyoutubeで一緒に見ていた「ビートたけしのお笑いウルトラクイズだ」。と。

 

「 ビートたけし のお笑いウルトラクイズ」より

 

冷静に考えると、最初の舞台の時もほぼこれといえます。ダチョウ倶楽部やたけし軍団が基本的にやらされていたことです。僕は全てを理解しました。キグチさんはよく「たけし軍団を作りたいんだ」と言ってたし。

・・・長い前置き失礼しました。
在籍期間は2年間。そういえばキグチさんとは、普段はほとんど会話したことがなく、舞台が決まって稽古期間に入ったときにコミュニケーションが始まる、というものでした。この稽古期間中の濃密さは、体験したことない人にはわかってもらえないくらい濃密でした。この部分に影響を受けた、とかではなくて、もはや全部に影響を受けました。

この度、コメントの機会を与えていただき、ずっと書けないまま時間が過ぎていきました。何度も書いては消し、書いては消し。キグチさんのことを書こうとすると、キグチさんの「ふふふ...それでいいのか...」という声が背後で聞こえてくるのです。マジで。

 

このツッコミは、悪魔のしるしを退団してからこの5年間、ズーーっとありました。初めて動画を作った時も、何か決断する時も、彼女ができた時も、キグチさんの「ふふふ...それで いいのか...」という声が聞こえてきました。悪魔のしるしの舞台に出ているとき、観客よりもきぐちさんを笑わすことしか考えてなかったので、きっとそれが残り続けているんだと思います。退団したとはどうしても思えず、いまだ悪魔のしるしの舞台に出続けてるような感覚です。正直こんな文を書いてるのも不思議な気分なのです。

 

今回のクラウドファンティング、今後の悪魔のしるしの活動・キグチさんの活動、楽しみにいたしております。思い出話に終始してしまいまして(他にも膨大なエピソードありますが...)、本来の意図とは違ってしまいましたが。しかしまああまりに楽しすぎる日々だったのでつい。

 

締め的な一言を言わせていただくと、僕は後にも先にも観劇したなかで、(贔屓目抜きにしても)悪魔のしるしが一番面白いと思っているのと、まだまだ多くの人に触れて欲しいなということです。今後の活動、応援させていただきます。

(どこからともなく聞こえてくる「ふふふ...それでいいのか...」という声)

 

森翔太(映像作家)

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