【朝鮮人被爆者を描いた《原爆の図》　第14部　からす】

私が本作品の制作を決意した時、ひそかに「もしできることならぜひスクリーンに映しだしたい」と願ったことがありました。それは水墨画家の丸木位里と油絵画家の俊ご夫妻が共同作業で描き上げられた《原爆の図》の中の「第十四部　からす」です。

世界的に著名な絵画を私ごときの作品にお借りするのは到底無理だと思いつつもレディーフォーのURLを丸木美術館に送信してご相談したところ、今朝、主旨をよくご理解くださり快諾をいただくことができました。その瞬間、体が震える思いがしました。

広島は位里のふるさとでした。原爆投下から3日後に広島に行き焼け野原と化した光景を目の当たりにした位里は数年間描きあぐねた末、ようやく５年後に『原爆の図　第一部　幽霊』を形にすることができたそうです。その後、32年にわたってご夫妻は「原爆」を書き続けたのでした。

その中の「第十四部　からす」は朝鮮人被爆者の惨状を描いた作品です。以前、展示会で拝見した時、身動きできなくなるほど衝撃を受けたことが思いだされます。

この作品には次のような一文が添えられています。

屍にまで差別を受けた韓国・朝鮮人。　

屍にまで差別した日本人。

共に原爆を受けたアジア人。

美しいチョゴリ、チマが。

飛んでいく朝鮮、ふるさとの空へ。　

からす完成、謹んでこれを捧げます。

合掌。

来月、美術館を訪ねてお礼を申し上げるとともに、改めて《原爆の図》の全貌に触れたいと思います。戦争、原爆、平和、命について真摯に向き合う方にはぜひ訪問されることをお勧めしたいです。

★原爆の図 丸木美術館　ホームページ

https://marukigallery.jp/