高野山金剛三昧院 重要文化財の経蔵屋根修復 終了のご挨拶
明けましておめでとうございます
早いもので令和5年がスタートしました。
本年もよろしくお願いいたします。
高野山金剛三昧院の重要文化財の経蔵の屋根修復を皆様に寄付を募ったのは、令和3年10月上旬のことでした。
多くの方からのご支援をいただき、目標を大きく上回る額で終了できました。
改めてご支援いただいた皆様に感謝いたします。
経過の方は定期的にご案内させていただいておりましたが、落慶法会を行った10月8~10日以降、少し連絡が滞っていたので、そのあたりのご報告からさせていただきます。
経蔵の屋根の修復が終わり、ご神木である六本杉や近隣のスギ・ヒノキの枝打ちを行い、その後経蔵の南側に群生していた竹林を伐採し、さらにその南側に植えられていたスギの木を10本程度伐採しました。
これにより日当たりの確保と風通りをよくすることができました。
ちなみに竹はバイオ燃料と経蔵の檜皮葺の釘替わりとして再利用いたしました。
伐採したスギの木は非常に質が良かったため、六本杉と経蔵周りに回廊を設けました。
回廊を設けることによって境内を見渡しやすくなったのはもちろん、六本杉の「根」を踏まれる心配も減りました。
六本杉は境内の真ん中にあり、本坊、経蔵、多宝塔と国宝・重要文化財が周りに建てられているため、どちらに倒れても大変な被害を被ることになります。
金剛三昧院の建立物を護ること=六本杉を護ることだったということです。
回廊は落慶法会の時には全面完成していませんでしたが、春以降残りの工事を行います。
経蔵の南から山を登り、重要文化財の四所明神社の辺りに繋がります。
経蔵正面の回廊も四所明神社に続く階段を改修して繋げます。
皆さまからご支援いただいたお金は
・返礼品の準備・発送でおよそ100万円
・経蔵の屋根吹替工事の所有者負担金でおよそ700万円
・六本杉・経蔵周りの枝打ちでおよそ50万円
・経蔵南側の竹林伐採と整備でおよそ100万円
・経蔵南側のスギ伐採と製材、加工でおよそ600万円
・六本杉・経蔵周りの回廊づくりでおよそ200万円
・経蔵の落慶法会準備金でおよそ100万円
・readyforへの手数料でおよそ450万円
合計2300万円
上記のように利用いたしました。
ありがとうございました。
今後ですが、高野山は今年、真言宗の宗祖弘法大師空海が御生誕1250年の祈念する年を迎えます。
高野山では5月14日(日)~7月9日(日)まで
「弘法大師御生誕1250周年記念大法会」
と銘打って法要を行います。
高野山の寺院は5月14日の開始、6月15日の誕生日当日、7月9日の結願に法要に出仕しますが、毎週日曜日は日本中の高野山真言宗寺院が高野山に集まり法要を行います。
金剛三昧院では4月22日(土)~7月9日(日)まで経蔵の内部特別公開を行います。
実は今年、多宝塔と経蔵は建立800年を迎えるのです。
経蔵は文字通り「お経を収めておく蔵」なのでわざわざ御開帳をする理由がなかったのですが、昨年屋根も綺麗に吹き替えたのと回廊もできたこと鑑みて、金剛三昧院の寺宝の一つである香木を披露することにいたします。
「伽羅」ほどではありませんが「白檀」に勝るとも劣らないと言われている「羅國(らこく)」と言われている香木で、大きさはおよそ60センチ、重さはおよそ3キロほどあるものです。
寺伝では徳川幕府2代将軍の徳川秀忠から賜ったものと言われております。
金網越しの拝観になりますが、その香りを楽しみにしてください。
ゴールデンウイーク中から5月10日ごろまでは、高野山の花であるシャクナゲが境内をピンクに染めます。
秋の紅葉シーズンとともに金剛三昧院がイチオシする季節です。
ぜひお越しください。
また、
7月15日(土)~9月3日(日)予定
10月7日(土)~11月19日(日)予定
は重要文化財の本坊に内拝でき、上段の間に書物・文献・絵画・彫刻などの展示も行います。(昨年は北条政子の書状などを展示)
10月10日は金剛三昧院の鎮守様である毘張尊師(びちょうそんし)という天狗様を祀る大般若転読法会(だいはんにゃてんどくほうえ)を行います。
高野山内で大般若転読法会を行っている寺院は金剛峯寺と金剛三昧院のみです。
こちらも併せて来院をご検討ください。
最後になりますが、改めてこの度の経蔵の屋根修復工事へのご支援、ありがとうございました。
この先は
・皆さんにお越しいただける
・ゆっくりと過ごしていただける
・また行きたいと思っていただける
・行ったことを自慢したくなる
と思っていただける寺院になるように努めてまいります。
誠にありがとうございました。
皆さまにお会いできる日を楽しみにしております。
高野山金剛三昧院
住職 久利 康暢