散逸している明治・大正期の彩色木版口絵を後世に残したい!

朝日智雄氏のコレクションからデータベースに収録される作品をご紹介させていただきます。第七回目は月岡(大蘇)芳年、筒井年峰、寺崎広業です。

14.明治期の絵師の大家で、東京の錦絵新聞でも有名を馳せた月岡(大蘇)芳年は明治２３年春陽堂刊行の新作十二番で尾崎紅葉著の『此ぬし』を木版口絵として描いている。芳年の口絵作品は寡少、めずらしい作品である。

15.海外で一番人気の口絵作家である筒井年峰は芳年の弟子と言われ、時事新報、新小説、硯友社、梶田の白光会、巌谷の木曜会に属し、川上眉山『神出鬼没 前後』（画像は後編）(嵩山堂 明治35年刊行)を描いている｡

16.東京美術学校で後進を指導しながら画塾として一番人気の天籟画塾を開いた寺崎広業は、本画の傍ら割り切って口絵を描いた。明治２７年博文館 明治文庫の遅塚麗水著『雪月花物語』もその一つである。