散逸している明治・大正期の彩色木版口絵を後世に残したい!

第十一回目からは文学者・編集者に絡めて、朝日智雄氏のコレクションからデータベースに収録される作品をご紹介させていただきます。饗庭篁村、石井研堂、石橋思案、泉鏡花です。

27.安政二年下谷竜泉寺町で生まれた饗庭篁村は最初読売新聞に入社、その後，朝日新聞へ移り劇評を担当、元禄文学復興に尽力し，根岸派を代表する作家と成る。井川洗厓、月岡芳年、富岡永洗、三島蕉窓の口絵があり，此処では洗厓の口絵を選んだ。

28.福島県出身の石井研堂は，児童雑誌『小国民』編集者であり、明治文化研究家。『明治事物起源』の著者として文化風俗の基本文献を明治41年に出版する。 数は多くはないが口絵付きのものも出している。

29.代々長崎でオランダ通詞を勤める家に生まれた石橋思案は大学予備門時代に山田美妙、尾崎紅葉と硯友社を結成、機関誌『我楽多文庫』を創刊、『文芸倶楽部』の編集も14年間勤めた。此処では武内桂舟の『断腸花』（明治文庫12、博文館）を紹介します。

30.加賀の人、泉鏡花は尾崎紅葉の書生として住み込み紅葉の文体を修行し，観念小説の境地を開き、後に幻想の世界を展開して，永遠の浪漫派と言われた。此処では水野年方画の『外科室』をご高覧ください。