クリスマスに寄せて　熊谷家のモミの木の話

昔から「熊谷へ行くには『もみの木』を目当てに行け」とも言われ、高く大空にそびえて萩市中何処からも見え、永く当家を見守ってきたもみの木がありました。父が子供の頃はまだ、直線で3キロも離れた松陰先生誕生地からもはっきり見えていたそうですが、その後も度々の落雷を受け、樹上より段々に枯れていきました。
これも昔の人の生活の知恵で、江戸時代に避雷針の役目を果たす為に植えられたようです。
しかし、防災施設工事により、各棟の屋根の上に付けられた新しい避雷針設備を見て、自分の役目が終わったかのようにこのもみの木は枯れていきました。

往時は4〜50mあったもみの木は、翌58年に切り倒された時は、まだ20mもありました。切り株は直径1.1m、年輪からは2百数十年が数えられました。初代五右衛門が50歳の時にこの地に屋敷を構えてからの年数を語る年輪数でした。

そしてその時、枯れた木の根元に生えていた幼木が、今、熊谷美術館に生えている、この写真のもみの木ジュニアです。

木をむやみやたらに切るものではない。
祖母はよく言っていました。


人も木も、全ては繋がっていると今更のように大切なことを思い出すクリスマスです。

自然の恩恵に感謝を込めて。

ちょっと心が疲れてしまった時は、熊谷美術館の木々達に会いに来てみてください。きっと元気をくれるはずです。

今年もあと僅かとなりました。
どうぞ、元気でいてください。

この虹についてのエピソードは、美術館のフェイスブックページの中村麻美先生のご投稿をご一読ください。

館長より