プロジェクト終了報告(第1ステップ)
横浜市立大学の小島伸彦です。第1ステップの研究終了はもともと2021年11月末でしたが、新着情報でもご連絡させていただいたとおり、開発が遅れ気味でしたのでREADYFORさんとの相談のうえで2022年3月末までと変更と致しました。その後、一部方法を変更することによって研究が進みまして、おおよそ第1ステップを達成したということで、ご寄附の皆様には、リターンとしての報告書を3月31日に配布させていただきました。クラウドからのダウンロードという形になっていますが、もし連絡が届いていないとか、うまくダウンロードできないといった不具合があるといった場合は、クラウドファンディングのシステムを通じてご連絡をいただければ幸いです。
第1ステップでは以下の3点の達成を目標としていました。
(1)赤血球に穴を開け、酵素を封入する条件を検討する。
(2)赤血球に封入する酵素を細胞で大量生産させる。
(3)酵素を封入した赤血球の酵素活性を試験管内で計測する。
(1)については類似研究で報告されている30〜50%を超える、60%以上の効率を達成できる条件を見出すことができました。そのほか、報告書では種々の条件を検討についても記載いたしました。(2)は研究開発に最も時間のかかった部分となりました。当初はウイルスベクターによる動物細胞での大量生産を予定していましたが、これはうまくいきませんでした。いくつかの検討を経て、最終的には大腸菌で組み換えタンパク質として作製・精製するといった方法となりました。(3)は、作製した液体肝臓がちゃんと機能するかどうかの検証ということになります。負荷したフェニルアラニンを減少できるところまでは確認が完了しております。
一方で、作製した液体肝臓の機能は現時点では相対的に低いものとなっていることが課題です。組み替えタンパク質を濃縮するなどして、赤血球あたりの酵素活性を高めるという実験を準備しています。十分に高い活性をもつ赤血球が作製できることがわかり次第、第2および第3ステップに取り掛かります。
収支報告について、詳細は報告書に記載させていただきましたが、一部企業様の試薬等割引きの申し出や節約の努力によって、現時点では少し余裕を持って進んでいる状況です。ただし、濃度の高い組み替えタンパク質の作製を今後の計画に加える必要があることから、余裕の発生は一時的なものであり、最終的には予算はしっかりと執行されることになります。
報告書以外のリターンにつきまして、4月21日に報告会のイベントを湘南アイパークで開催し、同時みオンラインでも配信する予定です。詳細については近日中にお伝えいたします(READYFORさんのシステムを使ってのご連絡+新着情報でのご連絡を予定しています)。また、コロナ禍で実施が困難となっていた小島研究室のラボツアーや出張講演については、今後、機をみて実施してまいります。去年の11月前後はチャンスだったかもしれませんが、なかなか判断がしづらい状況が続いています。
本プロジェクトには、まだ第2ステップや第3ステップが残っています(2023年3月末が終了目標)。また、第3ステップで液体肝臓が実用化されるわけでもありません。その後も、国や企業から適切な支援をうけながら、研究開発を続けてまいります。それらの進捗は引き続き「新着情報」でお伝えしてまいります。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます!