プロジェクト概要

行方不明の家族を探す女性たちの、勇気ある活動を日本の人々に知ってもらいたい。

 

いつものように朝、出かけて行った娘や息子が帰ってこない。

 

警察に届けても動いてくれない。それどころか、嫌がらせを受けたりもする。

 

家族はいらだちと悲しみを募らせ、街角に張り紙をし、病院や刑務所など、考えられるところをすべてたずねて歩き、さらにもしや遺体が遺棄されていないかと山野を探して歩く…。


行方が知れないだけに、いつか戻るかもしれないと、希望は捨てられない。戸口で物音がすれば、もしや息子かとハッとする・・・。


メキシコでそのような話を女性たちから聞いたとき、その勇気と忍耐に心を打たれ、涙を流す彼女の手を握りながら、自分になにができるのだろう、と考えました。

 

まず問題なのは、メキシコは、私たち日本人にとってなじみの深い国でありながら、これほどの多くの人々が人権を無視され、苦しんでいるという事実が、日本ではまったく知られていないということです。まずはその実情を日本の人々にも知ってもらわなくてはならない、私はそう考えました。

 

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メキシコ・ベラクルス州の行方不明者家族の会「ソレシート」の
メンバーとともに。市郊外の秘密墓地発掘現場にて。


 

「麻薬戦争」が生んだ、3万人を越える失踪者。

 

はじめまして。慶応義塾大学ほかで非常勤講師をつとめております山本昭代です。日本ラテンアメリカ協力ネットワークの会員です。

 

専門は文化人類学ですが、ここ数年来、「メキシコ麻薬戦争」を研究し、その現状を知るべく、メキシコ各地を歩いてきました。そのなかで出会ったのが、行方知れずの家族を懸命に捜す女性たちでした。

 

メキシコでは2006年12月、当時のカルデロン大統領が就任を同時に「麻薬組織撲滅戦争」を宣言して以来、多くの市民の命が奪われ、また行方不明になる人が出ています。

軍や警察に対抗するために犯罪組織は武力を増強し、組織間の抗争も激化して、多くの市民が巻き添えになるようになったのです。

 

身代金目的で誘拐されたり、事業主がみかじめ料を取り立てられたり、貧しい地区の若者が組織に強制徴用され、行方不明になるなど、メキシコ各地で被害が拡大しています。それを報道するジャーナリストも殺害されたり脅迫を受けたりし、メキシコはジャーナリストにとってシリアやアフガニスタンと同程度に危険であるとされています。

この11年余りの間の殺人被害者は20万人以上、行方不明者は約3万4000人とされています。実際には警察に届けていないケースもあるため、その数はもっと多いとみられます。犯罪組織は多くの場合、当局と結託しており、警察に届けると脅しや嫌がらせを受けることがあるからです。

 

アヨツィナパ教員養成大学の校庭に掲げられた
43人の失踪学生たちを描いた垂れ幕。

 

 

自ら荒野に分け入り家族を探す女性たち。遠い日本から彼女らを支援できないか。


そのような中、行方不明になった家族を自ら探しだそうとする人々のグループがメキシコ各地で生まれてきています。ショベルや探査棒を手に荒野を巡り、秘密墓地を探し出そうというのです。活動の主体となっているのは、娘や息子を探す女性たちです。


近年ではその活動は全国的に連携するまでに発展してきました。そのきっかけのひとつとなったのが、2014年9月にゲレロ州で起きた43人のアヨツィナパ教員養成大学学生の強制失踪事件でした。アヨツィナパ事件については、こちらをご参照ください。

 

アヨツィナパ教員養成大学学生43人拉致失踪事件――覆った「真実」①
アヨツィナパ教員養成大学学生43人拉致失踪事件――覆った「真実」②

 

日本では、「メキシコ麻薬戦争」というと、極端な暴力的場面がネットで流れ、また大ボスの脱獄や逮捕劇といったセンセーショナルなニュースが報道されるくらいです。しかし実際には、暴力は一般市民を巻き込んで拡大しており、なかでも地方都市の周縁部など貧困地域の人々が多く被害にあっているのが現状です。

 

このような状況は日本では報道されることが少なく、その一方で近年は日本からメキシコへの企業進出は増加し、経済関係はさらに強化されています。人と経済の交流が深まるなか、いま求められるのは、より多くの人々がメキシコにおける人権侵害の現状を知り、問題の深刻さを認識することではないでしょうか。

 

メキシコで行方不明者捜索の主体となっているのは、当事者である家族、とくに母親たちです。行方不明の家族を捜すことはしばしば危険と背中合わせで、子どもを捜す母親が犯罪組織から敵視され、これまで何人も殺害されています。メキシコ政府は、そのような女性たちをほとんど保護も支援もしてくれないのです。もちろん日本政府も在留邦人に危険情報を伝えるにとどまり、メキシコの人々の人権状況に言及することはありません。

 

日本にいる私たち市民は、彼女らの切実な思いを共有し、資金を集めて寄付することを通じて、地球の反対側にも彼女らの勇気ある活動を支えたい人々がいるのだと、クラウドファンディングを通じて伝えたいと考えています。

 

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写真はベラクルス市郊外の秘密墓地発掘現場。

 

 

行方不明者家族の会の代表女性を日本に招き、講演会を開きます。

 

このプロジェクトでは、2018年8月〜9月にかけて、メキシコ行方不明者家族の会の活動を伝える講演会、インスタレーション、そしてドキュメンタリー映画上映という3つの柱を計画しています。

 

1. 講演会
メキシコ東部・ベラクルス州の行方不明の家族を探す人々の会「ソレシート」代表、ルシア・ディアスさん(写真)をお招きして、メキシコでの暴力の現状についてお話しいただきます。

 

ルシアさんは、2013年、息子が誘拐され行方不明になり、2014年から同じ立場の女性たちと会を立ち上げました。ベラクルス市郊外では2016年、大規模な秘密墓地が発見され、会のメンバーが自ら発掘作業を行い、これまでに300体近い遺体を発掘しています。これは秘密墓地としては中南米でも最大規模のものです。

 

ルシアさんは、メキシコ人権委員会の「メキシコ人権賞」特別賞を受賞、同年オランダ・ハーグにおける人権活動家に対する「シェルターシティ」プログラムに招へいされました。またソレシートの会は、ベラクルス大学から「栄誉賞」を受賞しています。


※日本滞在は、2018年8月25日~9月6日。東京と京都で講演の予定。

 

<スケジュール>

◆東京

8月20日(月):18:15〜20:00  慶應義塾大学三田校舎 映画上映会

8月26日(日):17:30〜20:00 (17:00 開場) 早稲田奉仕園 バイリンガル演劇グループ セロ・ウァチパ公演 &ルシア・ディアスさんと「強制失踪」を考える討論会

8月30日(木):18:00~20:30 (17:30開場) 慶應義塾大学三田校舎 

「国連強制失踪者デーに考えるメキシコの現状」ルシア・ディアスさん講演 

8月31日(金):18:30~20:30 (18:00開場) 東京ウィメンズプラザ(予定) 映画上映会 ゲストにルシア・ディアスさんを迎えて

9月28日(金):18:15 ~20:00  慶應義塾大学日吉校舎  映画上映会

 

◆京都

9月1日(土):13:30〜17:00 (13:00開場) ひと・まち交流館京都 映画上映会&ルシア・ディアスさん講演会

 

◆大阪

9月3日(月):19:30~21:30頃  (開場19:00) ルシア・ディアスさん講演会(1000円 1ドリンク付き)

スタンダードブックストア心斎橋 (大阪市中央区西心斎橋2-2-12 クリスタグランドビルBF)

※スケジュールが一部変更になりました(2018/07/27:修正済)

 

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「ソレシート」代表 ルシア・ディアスさん

 

 

2. インスタレーション「記憶の足跡」
メキシコ人彫刻家アルフレド・カサノバ氏とそのグループによる作品。行方不明の家族を探す人が履いていた靴の底に、思いのたけを述べた言葉を刻み、天井などからつるし、その版画とともに展示します。これまでにヨーロッパ各国、南米、メキシコ国内各地で巡回展示されてきました。

 

メキシコシティのコヨアカン公園に日曜ごとに集まり、暴力の犠牲者を悼む言葉を刺繍するグループの刺繍ハンカチとともに展示します。

 

<スケジュール>

◆東京

8月27日(月)~9月2日(日):NHKふれあいホールギャラリー

27日(月)14:00~18:00、28日(火)〜1日(土)10:00~18:00、

2日(日)10:00〜16:00(それぞれ入場は終了30分前まで)

 

9月25日(火)~9月28日(金):慶應義塾大学日吉校舎

 

◆京都

9月4日(火)~9月10日(月):ひと・まち交流館京都 

4日(火)〜9日(日)12:00~19:00、10日(月)12:00~17:00

※スケジュールが一部変更になりました(2018/07/27:修正済)

 

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写真は、インスタレーション「記憶の足跡」(ドイツ・ハイデルベルグにて)

 

 

3. ドキュメンタリー映画上映
『ある捜索の記録』(原題:Retratos de una búsqueda)

メキシコ・麻薬戦争の犠牲となり行方不明になった家族を探す3人の女性たち――マルガリータ、グアダルーペ、ナティビダ――がそれぞれの方法で自ら捜査に乗り出し、理不尽な現実に立ち向かう様を追う。
監督:アリシア・カルデロン、メキシコ、スペイン語、 2014年、74分。

 

映画『ある捜索の記録』より

 

 

資金用途

ルシアさん航空券    120,000円

国内移動費         48,000円

宿泊・食費         70,000円

通訳など人件費       66,000円

スタッフ移動費     110,000円

会場費           63,000円

映画上映費         23,000円

メキシコ団体への寄付    300,000円

―――――――――――――――――

          計 800,000円

 

以上、計80万円をこのクラウドファンディングでご支援いただければ幸いです。

 

 

麻薬戦争の犠牲となった人々とその家族に寄り添い、国外から支援することを通じて、メキシコの人々が安心して暮らせる日々を一日でも早く取り戻せるようにしたい。

 

メキシコでの行方不明者問題をはじめとする人権侵害の現状に関しては、国際連合、アムネスティ・インターナショナルなども問題視し、同国政府に対して働きかけを行ってきています。ヨーロッパ各国やアメリカ合衆国の多くの市民団体の間でも、メキシコの被害者家族を支援する動きが広がってきています。


今回のプロジェクトを通じてメキシコの実情を多くの人に知ってもらい、日本からの声を届け、メキシコの人々が平和を取り戻すための一助としたいと思います。
 

アヨツィナパ事件で学生が襲撃された事件現場。
壁には銃弾の跡が残る。

 

 

リターンについて

 

ご支援してくださった方には、イベントへの招待状をお送りし、また資料を無料でご提供させていただきます。イベント終了後には、報告書を送付させていただく予定です。厚いご支援のほど、よろしくお願いします。


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