ミニ情報発信シリーズ2：食物アレルギーの症状と治療

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本日の食物アレルギーのミニ情報です。

食物アレルギーの症状

食物アレルギーの患者さんは、原因となる食物を食べることによって、じんましん、皮膚の発赤などの皮膚症状から、腹痛、おう吐などの消化器症状、咳、喘鳴、呼吸困難などの呼吸器症状などいろいろなつらいことが起きます。

もっとも多いのが皮膚症状ですが、皮膚だけでなく､他の臓器にも症状が拡がる場合をアナフィラキシー、血圧が下がって意識消失する場合をアナフィラキシーショックと言い、生命に関わる重篤な症状です。

症状の起り方や、どれだけ食べるとどれくらいの症状が起るか、などは患者さんによって異なりますが、微量の原因食物でアナフィラキシーを起こす可能性のある人が、より重症と言えます。

原因食物は､年齢によって異なりますが､小児で最も多いのは､鶏卵、続いて､牛乳、小麦で、最近はくるみなどのナッツ類が増えています。

食物アレルギーの予防的治療法 

食物アレルギーに対して、現在、確立された治療法はありません。

もちろん起ってしまったつらい症状を和らげる治療はありますが、症状を起こさないようにする予防の治療がまだ十分ではない、ということです

日本小児アレルギー学会が発行している『食物アレルギー診療ガイドライン2021』では、「食物アレルギー管理の原則」として、「正しい診断に基づいた必要最小限の原因食物の除去」、と書かれています。　

　食物経口負荷試験などを行いながら、症状なく食べられる量を見極めて、安全な量を食べながら、自然に直っていく（耐性ができていく）のを待つ、というのが現在の方法です。ただ、なかなか自然には食べられる量が増えない､非常に微量で症状がでてしまうので、完全除去するしか安全を守ることができない、という患者さんもいらっしゃいます。

　この状況をなんとかしたいと、世界中で研究が行われています。その中に、原因食物を少しずつ食べていくことで､「免疫寛容」を誘導しようという「経口免疫療法」がありますが、残念ながら、ガイドラインでは「一般診療として推奨しない」としています。

「治療中の副反応の頻度は高く、治療中断後の摂取や摂取後の運動により症状が誘発されることや稀に予期せずにアナフィラキシーを含む重篤な症状を誘発することがある」、からです。

　国立病院機構三重病院では､経口免疫療法を行い､多くの患者さんで成果を上げていますが、あくまでも、ガイドラインで規定する以下の厳しい条件の下で実施しています。

経口免疫療法実施施設および医師に求められる条件

（食物アレルギー診療ガイドライン2021）

そこで、私たちは一般診療としても広く行うことができるよう、より安全な治療法の開発を目指すことにしました。これが､経皮免疫療法です。（次回に続く）